福岡で9店舗を展開し、今秋には東京進出が決定しているCOMATSUグループ。2019年3月にオープンした『China Stand 二兎』は、福岡・警固の中華料理店『MANDARIN MARKET文華市場』とのコラボによって生まれた店で、福岡の飲食業界でも話題となっている。今回の出店の経緯や店づくりについて、COMATSU代表の松村宗孝さんと『MANDARIN MARKET文華市場』オーナーシェフの山北裕児さんに話を聞いた。
中学の同級生だった2人が再会。互いに信頼し合う仲に
松村さんと山北さんは中学の同級生。同じクラスになったことはなかったが、松村さんはバスケットボール部、山北さんは剣道部と、互いに運動部に所属しており、当時から仲は良かったという。卒業後は別々の高校に進学し、松村さんは久留米でバーテンダーとして働いたのち上京、山北さんは福岡市内の調理専門学校へ進んだ。二人が再会したのは、松村さんが福岡にUターンし、ONOグループに入って少し経った頃。山北さんは調理専門学校を卒業後、シーホークホテル&リゾートに就職し、中華料理部門『龍殿』で修行を積んでいた。松村さんは当時のことを次のようにふり返る。
「ONOグループに入ってほどなく店長を任されたのですが、東京から戻ってきたばかりで人脈もほとんどありませんでした。お客様も少なく、同郷の友人を頼ろうと電話したのが彼だったんです」
一方、山北さんに当時のことを聞くと……。
「彼の店に行ってみたらすごくいいお店で。深夜まで営業していたので、シーホークの同僚たちと行くようになりました。あるとき、彼にこう聞いたことがあるんです。『お客様から困った質問をされたときにどう答えると?』って。そうしたら彼は『ほかのお店に行って同じ質問をしてみて、その答えを勉強する』って言ったんですよ。彼は常に勉強熱心。あれよあれよとGMまで昇格しました。私はいずれ久留米で居酒屋をしようと考えていたので、ホテル退職後に久留米へ戻り、ラーメンのチェーン店に就職。新店舗立ち上げなど多忙な日々を過ごしていたのですが、あるとき電話で悩んでいることを伝えると、軽トラで駆けつけてくれたのが彼でした」
2人は当時から互いに全幅の信頼を置く間柄だったのだ。その後、山北さんもONOグループに合流。2人で中華レストラン『HAKATA ONO』(天神・イムズ13階)を立ち上げ、人気店へと育て上げる。そして松村さんは2011年11月に独立。一方、山北さんは同じく2011年11月に開催された「日本中国料理協会 料理コンクール 全国大会」で日本一となる金賞を受賞するなど活躍し、2015年4月に『MANDARIN MARKET文華市場』をオープンさせた。
互いに独立してからもそれぞれの悩みを相談し合うなど、親交を深めてきたが、今回のコラボが決まったのは、昨年9月のことだったという。2人は自宅も近く、仕事帰りの松村さんが『MANDARIN MARKET文華市場』に立ち寄り、一緒に歩いて帰ることも多いのだとか。
「人づてにあの場所への誘いがあることを聞いていたので、ある日の帰り道に『ところで、あの場所はどうすると?』と聞いたんです。すると、『あのエリアでやったことがないし、うちの業態でするイメージがつかんけん断ろうと思う。あんたがやるなら受けるけど』って言われて」と山北さん。
すると即座に松村さんがこう言った。「軽く言ってみたけど、じつはやるならそれしかないとは考えていました。そしたら、『あんたが本気でするならやるよ』と軽く返ってきたんです(笑)」。
こうして、COMATSUグループとしては未開の地だった東比恵エリアに『MANDARIN MARKET文華市場』とのコラボ店がオープンすることが決まったのだ。