政府の提唱する「人生100年時代構想」にようやく社会も少しずつ反応し始めました。しかし世界に先駆けて「人生100年」と言われても、見えてくるのは定年の引き上げや年金支給額の減少ばかりで、私たちの生活がどのように変化するのか明確にはわかりません。いずれにせよ、高齢化で一番心配なのは、やはりお金の問題です。そこで本稿では、人生100年時代にあたり、老後で生じる大きな支出について解説します。
人生100年時代、超高齢化社会の変遷について
そもそも超高齢化社会と呼ばれて久しく経つものの、実際のところ高齢化はどの程度まで進展しているのでしょうか。内閣府の調査によると、日本における65歳以上の人口は、1950年には総人口の5%に満たなかったものの、45(1970)年に7%を超えてさらなる上昇を続けました。そして2017年時点において27.7%となっています。
一方、15~64歳の人口数は、1995年に8,716万人でピークを迎えた後、下降の一途をたどっています。2013年には1981年と同程度の7900万人にまで下落し、さらに減少を続けています。
また高齢者は人口の増加のみならず、平均寿命の増加も続いています。2017年においての平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳で過去最高を更新しています。また日本人の平均寿命は世界と比較しても女性が2位、男性が3位と非常に高いものとなっています。まさに人生100年時代を象徴する統計結果であるといえるでしょう。
長寿化で変わる私たちの生活
人生100年時代を迎えるにあたり、私たちの生活は実際にどう変わるのでしょうか。これについて政府は「学び直し」と「全員参加社会」の2点を打ち出しています。学び直しとは読んで字のごとく、新しい職業に就けるように学習と育成を応援するというものです。そして「全員参加社会」とは、労働力の減少に歯止めをかけるため、女性・障害者・高齢者など、すべての人が就労できる労働形態の社会のことです。
このように人生100年時代にあたって政府が推し進めていることは労働力の確保であり、私たちは、一旦は定年になったとしても、学び直しを経てさらなる労働を続けなければならないおそれもあるのです。
一方で問題となるのは、高齢化独自の悩みである健康問題です。病気やけが、終末期の対策など、高齢化が進むに伴って健康に関するリスクはどんどん高まってゆきます。なかでも介護費と医療費は必ずと言ってよいほど生じがちな老後の問題です。
老後における2大出費とは
人生100年時代における2大出費。それは「介護費」と「医療費」です。とくに高齢化が進むほど、たとえば認知症など、思いもよらぬリスクが生じてきます。そのような際に生じるものがこれらの出費なのです。
・介護費について
高齢化になるにつれ、たとえば脳梗塞などで身体が思うように動かなくなることは十分あり得ます。このような際、たとえばケアマネジャーを利用して訪問介護をしてもらう必要が出てくるでしょう。またこれに合わせて生活のための自宅の改修や特殊ベッドの購入、さらに療養食の費用なども生じてきます。
介護の形態はさまざまです。自宅で療養を続ける人もいれば、老人ホームに入る人もいるでしょう。生命保険文化センターによると、介護費の平均は月額で7.8万円、介護期間は約5年です。仮に介護費が高額になっても、介護費のほとんどは社会保険で賄うことができるため、まずはこの介護額を用意できるよう、考えておきたいところです。
・医療費について
厚生労働省によると、2018年度における75歳以上の高齢者の平均医療費は年額で94.2万円、1割負担の医療保険を適用した自己負担額は15.8万円となります。月あたりの金額は1万3,000円程度となります。
しかし医療費というものは、人によってまったくかかる金額が違うものです。もし重篤な病などで高額な医療費が生じたのであれば、高額療養費制度などを活用して、なるべく上手にやりくりすることを念頭に置いておきましょう。
従来の老後プランはもう古い?
人生100年時代とは、長生きができて嬉しい日々というわけではありません。私たちの生活には、現状のリスクに加えて、介護費と医療費が重なってくることを忘れてはいけません。将来に備えて、自分なりの老後の対策を講じておくことが大切だといえるでしょう。(提供:Dear Reicious Online)
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