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(画像=フレンチやイタリアンの名店で料理長として腕をふるってきた寺内シェフ)

自分らしい料理を求めて、最終的に行き着いたのが炭火焼き

下北沢や西麻布のフレンチレストランのシェフとしてキャリアを積んだ寺内シェフ。料理人を続けていくうちに、素材を生かす料理へと感心が向くようになった。そして、フレンチより食材を生かす料理が多いイタリアンの技術を磨き、青山で店を開く。

「店の母体が、イタリアなどの製品を扱う靴屋さんだったのですが、そちらの社長さんと、イタリア北部を中心に色々な店をみてまわったんです。トスカーナのお店を視察していたとき、炭火焼きに出合い、『これをやりたい!』と考えるようになりました」

青山の店で提供した炭火焼きは、大人気。厚さ4~5cmにカットした短角牛を豪快かつ繊細に焼き上げていく「短角牛の炭火焼き」といった人気メニューができ、お客さんが絶えない店となった。

「炭火焼きの一番の特徴は、他の調理法と比べて熱源となる炭火に水分が少ないため、カリッと仕上がるところです。他にも遠赤外線効果や火力の強さという魅力もあります」

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(画像=名物の「短角牛の炭火焼き(2,400円)」。これを目当てに訪れるお客さんも多い)

「上質な普通」を提供できる店に

料理人として40年も働くうちに、「そろそろフレンチやイタリアンといった看板をはずしてもいいかな」という気持ちになってきたという寺内シェフ。そこで開店したのが祖師ヶ谷大蔵の『てら屋』だ。

「経験を積んでいくうちに、型にとらわれず、リラックスしながらお酒を楽しめる空間を作りたいと考えるようになったんです。僕は焼酎が好きで、妻は日本酒が好き。そんな二人の好きなお酒を、それに合う料理と一緒に提供できればと考えるようになりました」

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(画像=焼酎や日本酒との相性抜群の「地鶏の炭焼き(2本、780円)」)

祖師ヶ谷大蔵を選んだ理由は、食に対する意識が高い街だから。頑張って働いて、美味しいものを食べよう……という気持ちを持った方が多いのだという。「お酒や料理を楽しみたいという年配の方が多いのも魅力の一つですね」と寺内シェフは語る。

現在、『てら屋』で提供しているお酒は、ワイン20種類(赤白半々)、日本酒と焼酎で30種類ほど。それに合わせ料理も、刺し身や、もつ煮込み、牛すじ煮込みなど様々なものを作る。もちろん、大人気の炭火焼きも、少ないポーションからいただくことができる。

「食材は最高のものを揃えています。いい食材とそれに合う厳選したお酒を、高級レストランよりぐっと安価で楽しめるところがうちの魅力ですね。あとは、お客さんに、洗練されつつも肩肘張らずに楽しめる『上質な普通』を提供できればうれしいです」

この5月で、オープンからちょうど1年となる『てら屋』。寺内シェフは今後について次のように意気込みをみせる。

「祖師ヶ谷大蔵はお年寄りが元気な街。商店街で尊敬している焼き鳥屋のご主人は、80代でバリバリ現役なんです。僕も今年で還暦になりますが、あと30年は頑張っていきたいですね!」

フレンチからイタリアン、そして居酒屋へ。熟練の技から生み出される「上質の普通」は、祖師ヶ谷大蔵に新たな食の価値観を生み出していくだろう。

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(画像=新宿から電車で20分、祖師谷大蔵の商店街を歩いて10分程の場所にある『てら屋』)

『てら屋』
住所/東京都世田谷区祖師谷4-1-21
電話番号/03-6411-2027
営業時間/17:00~23:00
定休日/日曜、第4月曜
席数/12

(提供:Foodist Media

執筆者:立岡美佐子