シンガポールの19年3月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て、通関ベース)は前年同月比14.3%減(前月:同2.2%増)と大きく低下した。輸出の伸び率は、主力の電子製品と石油化学製品の低迷が続くなか、3月は牽引役だった医薬品も減少し、マイナス幅が拡大した。なお、総輸出額は前年同月比5.8%減(前月:同0.2%減)、総輸入額は同1.5%減(前月:同1.7%増)となり、それぞれ低下した。結果として、貿易収支は28.8億ドルの黒字となり、前月から1.0億ドル黒字が拡大した(図表11)。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品は同28.8%減(前月:同10.5%減)と、4ヵ月連続のマイナスとなった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同24.5%減)とPC部品(同4.3%減)が2ヵ月ぶりに減少したほか、PC(同47.9%減)やダイオード・トランジスタ(同21.4%減)などが低迷した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同21.4%減(前月:同0.6%減)とマイナス幅が拡大した。化学製品の内訳を見ると、石油化学製品が同17.6%減(前月:同8.5%減)、医薬品が同38.4%減(前月:同9.2%増)となり、それぞれ大幅に減少した。
フィリピンの19年3月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比2.5%減となり、前月の同0.1%減からマイナス幅が拡大した。輸出の伸び率は昨年主力の電子製品を中心に緩やかな増加傾向が続いていたが、12月に大きく下落して以降マイナス圏で推移している。一方、輸入額は前年同月比7.8%増(前月:同2.6%増)と上昇した。結果として、貿易収支は31.4億ドルの赤字となり、前月から3.9億ドル赤字が拡大した(図表13)。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同3.7%減(前月:同0.8%増)と低下し、2ヵ月ぶりのマイナスとなった(図表14)。電子製品の内訳を見ると、電子データ処理機(同0.2%増)がプラスに転化、家電製品(同8.7%増)が堅調に拡大したものの、主力の半導体デバイス(同3.1%減)を中心に減少した。その他9品目は総じて増加した品目が多かった。バナナ(同81.5%増)とイグニッション・ワイヤーセット(同20.3%増)、その他鉱産品(同13.6%増)、金(同12.6%増)、化学(同5.9%増)、精錬銅(同2.0%増)が増加する一方、機械・輸送用機器(同10.2%減)やその他製造品(同8.1%減)、金属部品(同1.2%減)が減少した。
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斉藤誠(さいとう まこと)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 准主任研究員
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