銀座高級クラブのホステスは、月に100万から200万円、場合によっては500万円以上も稼ぐ人がいる。一方、そこまで到達するには、多額の先行投資や、継続的に自分を磨いていく必要があり、決してラクな世界ではない。
にもかかわらず、彼女たちを突き動かすものとは何なのだろうか。黒服歴20年の前田さん(仮名)から、クラブで働くホステスのモチベーションについて探った。(聞き手 くすいともこ ZUU online編集部、DAILY ANDS編集長)
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・黒服が語る 稼ぐホステス、稼げないホステスの違い
銀座のホステスとして稼ぐ厳しさ
——あらためて、稼ぐホステスになるには、何が必要だと思いますか?
見た目の良さ、打たれ強いメンタルの強さ、そして世渡りが上手なことです。この3つがそろっている子は上にいくことができる可能性があります。
お客さんは何が好きかというと、自分の成功体験を語ることや遊びの与太話なんです。自慢して女の子に「すごいですね」と言われるのが好きなので、こうしたことをうまくできる子がいいです。
物を売る商売ではないので、そこが大変なんですよ。自分自身に興味を持ってもらわなければいけませんから、お客さんに気に入られることが一番重要です。でも、これは努力してなかなかできるものではありませんからね。だから、ワインのようなグルメ話ができるようになったり、株やFXのような知識をつけたりして、引き出しを増やしておくことが必要なのです。
——育ちは関係しますか?
一概に言えませんが、幼少期に貧しい暮らしをしていた子は、ガッツがある子が多いように思います。ハングリー精神があるということかもしれません。
——メンタルの強さも必要ということは、ストレスもかなり多いのではないですか?
接客業ですから、当然ストレスはあります。どの業界もそうだと思いますが、対人関係がある限り仕方のないことですよね。
中にはそのストレスのはけ口を僕たちのような黒服に向ける子もいます。よくあるのは、お客さんがいる時に、お客さんを上手に使って黒服に向かって怒るんですよ。僕らとしてもお客さんの前ではたとえ自分が悪くなかったとしても「すみません」と言うしかありません。
店側の立場としても、何かあった時にホステスのせいにするとあまりいいことがありません。女の子は店の商品なので、そのせいにしてしまうと店を否定しているようなものですから。黒服のせいにして「すみませんでした」とおさめることは多いです。
——黒服を大事にするホステス、黒服に絡むホステスに違いはありますか?
いいお客さんを持っているホステスは黒服も大事にします。逆にあまりいいお客さんを持っていないと、黒服に絡みやすい傾向があります。例えば絡んでくる子は、嫌なお客さんに席で触られたりしている状況なのに、店側がなかなかシャッフルしなかったりという理由でストレスを抱えていたりします。いいお客さんを持っている子はあまりそういうことがないので、ストレスがたまらないかもしれませんね。
——そんなに大変な環境だと、心が病んでしまいそうです。
顧客1人あたりの単価は5万円から10万円と決して安くはありません。嫌なことも半分以上ありますし、時にはわがままなお客さんを納得させないといけません。
確かにホステスの過半数ぐらいは心が病んでしまっているような気もします。対人関係というのは理不尽なものですから。銀座で稼ぐということは、大変なことなんですよ。
ホステスは何をモチベーションにしているのか?
——銀座のような大変な環境で稼ぐために、女性たちがモチベーションとしていることは何だと思いますか?