リタイア後、退職金をはじめ、「浮いている老後資金をさらに増やしていきたい」と考える人は少なくありません。しかし、老後資金の運用は高いリスクをとってまで行うことは避けた方が良いでしょう。本稿では、老後をさらに豊かにするための老後資金の運用法と注意点について説明します。

退職後、安定した生活が始まったら

老後の資金,運用
(写真=fizkes/Shutterstock.com)

例えば、30代などで不動産投資を始めて65歳の定年を機にローンが完済できたとします。定年以降は、年金とともに不動産投資による家賃収入が得られ、複数の収入源があるため悠々自適な生活に入ることが期待できるでしょう。この場合、よほど豪遊しない限りは年金と家賃収入で生活はまかなえるため、退職金をはじめとする資産に余裕ができます。

年齢を考えると無理に働く必要はありませんが、お金に働いてもらう分には問題ありません。人生100年時代と呼ばれるようになった現代、厚生労働省が発表している「2017年簡易生命表」によると2017年の平均寿命は男性81.09歳、女性87.26歳です。65歳から平均寿命までの年数は、男性が約16年、女性は約22年もあります。

そのため、リタイア後も約16~22年間の余剰資金の運用方法を考えていくことは重要です。不動産投資などを始めて老後に差しかかった後、蓄えた資産運用を通じてさらにステップアップしてゆくのも大切といえます。

老後の資産運用にはどのようなものがある?

老後の資産運用を行ううえではなるべくリスクを取りすぎず手堅くいきたいものです。そう考えると、なるべくリスクを分散できるような安定した投資が望まれます。では、安定した投資にはどのようなものがあるでしょうか。以下にその一例をピックアップしてみましょう。

1.投資信託
たとえば、サラリーマンを続けつつ不動産投資をしていたものの、株式などの投資経験はない人もいるかもしれません。このような人には、プロが運用してくれる投資信託がおすすめです。投資信託にも、さまざまな種類がありますが、安定を目指すのであればインデックスファンドのような指標連動型や、株式や債券などに分散して投資してゆくバランスファンドなどが優れています。

2.NISA
本格的に投資に取り組みたい方は、NISAを活用してみましょう。通常は、株式で利益が出た場合に税金がかかりますが、NISA口座(年間120万円、5年間)で株式や投資信託などを購入し利益が出た場合は、非課税になります。ただし、NISAを活用するにしても損失が発生したときに特定口座や一般口座と合算できないというデメリットもあります。

非課税というメリットだけでなく、制度のデメリット部分も把握して利用することが大切です。

3.つみたてNISA
つみたてNISAは、NISAと同様の非課税制度ですが、非課税の上限額が40万円と低いかわりに20年の非課税期間があるのが特徴です。つみたてNISAの商品は、金融庁が定めた安定感が高い商品が多く、安心して投資に取り組めます。2019年5月7日時点のつみたてNISA対象の商品数は、163種類です。文字通り、万一の際の「つみたて」と考えてコツコツと貯めてゆくことを心がけてみましょう。

なるべく避けたいリスク運用

金融商品にはさまざまなものがあります。なかには大儲けできる可能性があるかわりに大損をする可能性のある、ハイリスクハイリターンの金融商品も少なくありません。一例としては、先物取引やFXなど、レバレッジをかけられるものが挙げられます。しかし、老後資金はハイリスクハイリターンの商品で運用することはおすすめできません。喪失してしまうおそれの高いものはなるべく遠ざけることが賢明です。

また、サラリーマンから一念発起し定年後に大枚をはたいて事業を開始する人もいます。しかし、事業というもののリスクは決して低いものではありません。これについても慎重に先行きを考えることが大切です。ずさんな計画では、大切な資産を運用するどころか失ってしまう可能性が高まってしまうでしょう。

利益よりも安定感を重視しよう

株式投資やFXなど、短期で運用していくには独特の中毒性があります。なぜなら、短期間で資産が大きく増減することは、投資というより投機に近くギャンブルと変わらないからです。しかし、本当の投資の真髄は不動産投資のような長くコツコツと行う長期投資です。老後の資産運用は、利益よりも安定性を重視して運用先を選定しましょう。(提供:Dear Reicious Online

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