つみたてNISAや一般NISA口座は銀行や証券会社の総合口座とは違うルールや制約がある。「つみたてNISA・一般NISAの併用は不可」などは広く知られているが、分かりにくい点も多い。いざというときに後悔しないように知っておくべきルールをまとめた。
つみたてNISAの口座「だけ」を作ることはできない
これまで取引のなかった金融機関でつみたてNISAを始めたい場合は「総合口座」も同時に開設することを求められる。抱き合わせのようなシステムだが、総合口座がないとNISA口座が作れない仕組みになっている。銀行の場合は総合口座に加え「投資信託口座」の開設も必要だ。
NISAは「1人1口座」、選べる金融機関は1つだけ
NISA口座は、「1人1口座」が原則だ。普通口座であれば複数の金融機関でそれぞれ口座を持てるが、NISA口座はどこか1つにしか開設することはできない。複数のNISA口座を持つことで非課税の恩恵を重複して得られない仕組みとなっている。
どの金融機関から申し込んでも既にNISA口座を保有していないか税務署が必ずチェックしている。一度NISAで買い付けをするとその年は金融機関の変更もできないので、どこでNISA口座を開設するかの選択が重要になるのだ。
つみたてNISAと一般NISAは年単位の選択制 併用は不可
どこの金融機関でNISA口座を開設するかを決めたら、次は「一般NISA」と「つみたてNISA」のいずれかを選択しなければならない。同時には運用できないが途中で区分変更は可能だ。変更は年単位で認められているため、今年までは一般NISA、翌年からはつみたてNISAといった運用もできる。ちなみにNISA口座を開設する金融機関も年単位で変更可能だ。
つみたてNISAで一度でも買い付けすると翌年まで区分や金融機関の変更はできない
その年にNISA口座で一度でも買い付けをすると、一般NISA・つみたてNISAの区分変更や金融機関の変更は翌年までできない。特につみたてNISAの場合は自動的に買い付けがなされるので変更を検討している場合は注意が必要だ。10〜12月までに手続きが完了していれば翌年から変更が適用になる。ちなみに商品の売却をする分には問題ない。
その年にまだNISA口座での買い付けがない場合は、9月末までに手続きを完了すれば年内の区分変更や金融機関の変更が可能だ。
つみたてNISA・一般NISAの区分変更後も変更前の非課税期間は適用される
一般NISAからつみたてNISAに区分変更しても、一般NISAで買い付けた商品は継続して保有でき、取得後5年間の非課税期間も適用される。一般NISAとして新規に追加購入はできないが、売却は可能だ。
一般NISAからの区分変更後につみたてNISAでの運用を始めると、こちらでは購入した商品には20年間の非課税期間が適用される。「併用は不可」とされる一般NISAとつみたてNISAだが、非課税期間が並行しているケースは普通に存在するのだ。
課税口座からつみたてNISA口座への商品の移管はできない NISA口座から課税口座は可能
特定口座や一般口座といった課税口座で保有している商品は、残念ながらNISA口座には移せない。一般NISAでもつみたてNISAでも、NISAは当該口座で買い付けた銘柄のみ保有することができる。
逆に、NISA口座から課税口座への移管は可能だ。移管後の商品の運用益は課税対象となるが、課税口座ではNISA口座ではできない「損益通算」ができるというメリットがある。今後の売却益も配当も期待できない銘柄をロールオーバー(翌年の非課税投資枠に移すこと)せずに課税口座に移すことで、利益と相殺するといった運用が可能だ。課税口座に移す場合は移管日がその銘柄の取得日、取得価格は移管時の時価となる。
つみたてNISA・一般NISAの間で商品の移管はできない
つみたてNISAで買い付けた商品は一般NISAに移管できない。逆もまた然りだ。そもそも一般NISAとつみたてNISAでは取り扱う商品が大きく異なり、一般NISAで扱われる商品はつみたてNISAの対象外であることが多い。
つみたてNISA口座の金融機関を変更しても商品は移管できない
つみたてNISAの金融機関を変更する場合、元々保有していた商品を変更後の金融機関のNISA口座に移すことはできない。一旦つみたてNISA口座から課税口座に移管し、新しい金融機関の課税口座に残高移管するまではできるが、当然非課税メリットは失われてしまう。
つみたてNISA口座はジュニアNISAと併用できない
ジュニアNISAもNISA口座の一種なので、つみたてNISAと併用することはできない。そもそもつみたてNISAの対象年齢が20歳以上、ジュニアNISAは0歳から19歳なので実現不可能だ。ただし夫が一般NISA口座、妻が「つみたてNISA」口座、子どもが「ジュニアNISA」口座のように、家族でそれぞれが持つことはできる。世帯全体で資産計画を立てるといいだろう。
文・篠田わかな(フリーライター、ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES
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