人工島に誘致する計画の大阪
橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会では、大阪へのカジノ誘致に積極的な姿勢を見せています。大阪府と大阪市は今年度予算に調査費用として800億円を計上しました。大阪市では、かつては五輪誘致の候補地であった、湾岸部の人工島「夢洲(ゆめしま)」をカジノの建設予定地としています。IRの誘致によって、夢洲と海を隔てたユニバーサルスタジオジャパンを鉄道で結ぶ構想も持ち上がっています。
関西空港に近い好立地であり、東京オリンピック前の大阪でのカジノのオープンが実現すれば、関西空港を利用する外国人を中心にした来訪が期待できます。さらに、多くの世界遺産のある京都や奈良、神戸など近隣自治体への外国人観光客の増加という波及効果も見込まれ、経済が低迷している関西圏の復権にもつながることが想定されます。
夢洲の地価はお台場の4分の1程度というコスト面でのメリットもあり、東京の消極的姿勢からも、都市型カジノの候補地として、大阪は有力候補地に躍り出ました。
アジアでの国際リゾートを目指す沖縄
アジアでの国際リゾートとしての地位を確立したい沖縄も有力な候補地です。沖縄は小泉政権下でも、沖縄の振興策として、カジノ特区を設立する機運が高まったことがあります。当時から仲井眞弘多沖縄県知事も積極的な姿勢を示していました。
カジノ誘致と引き換えに、普天間基地から辺野古への米軍基地移転を沖縄県が容認するのでは、という見方もされています。米軍の規模縮小は、沖縄経済にとって大きな打撃となるとともに、宜野湾市の中心にある普天間基地は、カジノの立地として優れています。
北海道は小樽、苫小牧、釧路が誘致
北海道では、苫小牧、小樽、釧路3市が2013年に名乗りを上げたことから、道の今年度予算では、調査費として2000万円が計上されました。4月の中松小樽市長と岩倉苫小牧市長による韓国の済州島の視察に続き、8月には、高橋はるみ知事がシンガポールのセントーサ島のカジノ施設を訪問しました。北海道では、自然を生かしたリゾートとカジノを複合化した施設を掲げています。
ただし、道内には反対意見も根強く、自然を生かしたリゾートとギャンブルの共存、小樽の風情ある街なみにカジノ客は合わないのではといった意見も出ています。
現状は大阪、沖縄はほぼ当確、東京は五輪や知事の方針が影響
まだ、カジノを合法化する法案は成立しておらず、何か所が認可を受けるか、不透明な状況です。この4道府県以外にも、ハウステンボスのある長崎、フェニックス・シーガイア・リゾートを抱える宮崎などを有力候補地とする考え方もあります。
しかし、7月26日付の日経新聞の報道で、大阪と沖縄はほぼ当確とされたことからも、この大阪は都市型の候補地として、沖縄は地方型の候補地として、確実視されています。東京は、都知事の消極姿勢や、まずは東京オリンピックの成功を優先させる考え方もあり、当初の開業の地に選ばれない可能性も出て来ました。カジノのもたらす功罪について、議論を尽くしてからの法案の採決が望まれます。
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