これからマンション経営を始めようとしている人は、経験がないだけにいろいろな不安を抱えていることでしょう。家賃の滞納率はどれくらいだろうか、礼金は取らないほうがお客さんはつきそうだけど、それは一般的なのだろうか……このような素朴な疑問に回答し、解説します。

家賃滞納率を知ってマンション経営のリスクに備える

家賃滞納は、マンション経営の失敗を招くリスクの一つです。家賃の支払いが滞っていたとしても、契約があるため新たな入居者を募集できません。

なお、マンション経営をしているオーナーは毎年確定申告をする必要があり、税金の計算上滞納されている家賃も「未収入金」として売上計上する必要があります。つまり、家賃が入っていなくても、本来受け取るべき家賃に対する税金を負担しなければならないのです。

マンション経営にとって大きなリスクとなる家賃滞納ですが、どのぐらいの割合で発生しているのでしょうか。

日本賃貸住宅管理協会の賃貸住宅市場景況感調査によると、2018年の月初における家賃滞納率は全国で6.5%です。つまり、15戸に1戸の割合で家賃滞納が発生しているということです。保有しているマンションの戸数にもよりますが、家賃滞納は決して他人事ではありません。

家賃滞納率を地域別に見ると、首都圏で7.2%、関西圏5.8%、その他の地域6.2%と報告されています。2017年のデータでは首都圏7.3%、関西圏7.8%、その他の地域5.8%、全国6.6%でした。地域によっては変動が大きいところもありましたが、全体としては大きな変化はなかったことがわかります。

礼金なし・フリーレントの実施状況は?地域による違いも解説

最近、賃貸の管理業者は入居者獲得の競争力を高めるために、様々な施策を打ち出しています。代表的なものに、「礼金をゼロにする」「フリーレント期間を設ける」などがあります。

フリーレント期間とは、家賃が発生しない期間のことです。平均的なフリーレント期間は、1~3ヵ月です。このほかに、ごく短期間のフリーレント(日割り家賃がなくなるなど)や、6ヵ月などの長期に渡るフリーレントもあります。

引越しをするとなると引っ越し費用はもちろん、敷金・礼金や不動産会社への仲介手数料など様々な費用が発生します。数十万円の出費となると負担が大きいため、住んでいる物件に不満があっても引越しをためらう人は少なくありません。

礼金をゼロにすることやフリーレント期間を設けることは引越しのハードルを下げ、入居を促す効果があります。最近では、賃貸住宅の検索サイトでフリーレント物件の特集が組まれることもあります。

借主にとって魅力的な礼金なし物件やフリーレント物件ですが、収入に直結するため実施をためらうオーナーも多いのではないでしょうか。

前出の調査によると、2018年は礼金なし物件が前年比で39.1%増えており、フリーレント物件も40.5%増えています。

地域別に見ると、礼金なし物件は首都圏で前年比33.3%増、関西圏で56.3%増、その他の地域で38.5%増でした。特に関西圏では礼金なし物件が歓迎されているようです。

フリーレント物件は、首都圏で前年比34.9%増、関西圏で26.9%増、その他の地域で49.0%増でした。フリーレント物件は、首都圏や関西圏以外の地域で増えていることがわかります。

家賃滞納の督促や客付けは不動産会社の得意分野

家賃滞納については、不動産会社に賃貸管理を任せることである程度防ぐことができます。不動産会社に管理を依頼すれば、請求・取り立てをオーナーが行う必要はありません。

家賃滞納を防ぐ最も効果的な方法は、滞納が発生した時に繰り返し事務的な連絡をすることです。個人でこれを行うのは非常に手間がかかりストレスも大きいですが、不動産会社なら確実に催促してくれます。

効率的なマンション経営には、信頼できる不動産管理会社の存在が欠かせません。不動産管理会社との契約内容によっては客付けも委託できるため、オーナーはその分情報収集や経営判断に時間を割くことができます。

マンション経営を取り巻く環境は、常に変化しています。そういった変化に対してアンテナを張りつつ、信頼できる不動産管理会社と二人三脚でマンション経営に取り組みましょう。

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