株式業界の専門家、不動産業界の重鎮、投資家など、お金のプロたちも仕事を忘れて楽しんでいるカジノのVIPルーム。そんな彼らに聞くと、「日本では一切ギャンブルには手を出さない」という。なぜ、彼らにとってカジノだけが特別なのか? そこにはギャンブルとしてのカジノの優位性、そしてカジノ人脈から発展するビジネスへの期待があった。

 (取材、文・三枝裕介 ZUU online magazine編集長)

カジノVIP
(画像=Elite Studio/shutterstock.com,ZUU online)

そのほかのギャンブルに比べ、圧倒的還元率のカジノ

数年後、日本にもカジノが誕生することになる。カジノ解禁に向けては「ギャンブル依存症対策」が常に議論されるが、元来、日本は、競馬や競輪といった公営ギャンブルに加え、駅前にはパチンコ屋が乱立するギャンブル天国でもある。

ちなみに、海外のカジノVIPである日本人富裕層たちに尋ねると、「日本ではギャンブルには手を出さない」という人がほとんどだ。カジノでプレイすることを目的にわざわざ海外にまで出向き、数十万円、時には数百万円や数千万円もの大金を投じる彼らが、なぜ身近な日本ではギャンブルに手を出さないのか? 総資産数十億円を有する投資家であり、世界中のカジノのVIPでもある山下武夫氏(仮名)は言う。

「カジノを知ってしまったら、競馬などの公営ギャンブルはばかばかしくてやってられません。すべてのギャンブルには必ず胴元が存在し、彼らは絶対に損をしないようになっているのです。たとえば、日本で行われている競馬や競輪などの公営ギャンブルの還元率は75%で、残りの25%が胴元の取り分となっています。カジノでいうところの『ペイアウト率』や『ハウスエッジ』と呼ばれるものです。

これが宝くじになると、還元率は46%。もちろん。公営ギャンブルや宝くじの収益金の一部は社会貢献に回されているのですが、この還元率の低さによって勝ちづらくなっているのです。一方、カジノの還元率はとても高くて、バカラであれば約98%、ブラックジャックなら期待値に沿ったストラテジーでプレイすることで限りなく100%に近づけることができるのです。極端な話、競馬であれば10万円分の馬券を買った時点ですでに2万5000円分負けているということなのです。競馬でよく人気の馬の複勝払い戻しが1倍だったというのはこのためです」

●ギャンブルの還元率

競馬 約75%
競輪 約75%
競艇 約75%
宝くじ 約46%
パチンコ 約80%
バカラ 約98%
ブラックジャック 約99.5%
スロットマシン 約95%