カジノにしても投資にしても、誰もができる必勝法があれば、公にはならないはずだ。仮にそれを発見した人物がいたとすれば、彼はその必勝法を墓場まで持っていくのではないだろうか。一方で、負けないためのテクニックや効率よく勝ちを収めるための方法はいくつか存在している。カジノと投資、勝つための方程式を考えていきたい。
(取材、文・三枝裕介 ZUU online magazine編集長)
ギャンブル必勝法の落とし穴とは?
「ギャンブルの必勝法は負けたら賭け金を2倍、次も負けたらさらに2倍にする。そうすれば配当(払い戻し)が2倍以上である限り、的中したときには必ずプラスになる」――これはギャンブルの世界では「マーチンゲール法」と呼ばれる賭け方だが、前述のようにまことしやかにマーチンゲール法を説く人の多くは、ギャンブルとは縁遠い人物か、もしくはギャンブル初心者であることが多い。
というのも、マーチンゲール法は連敗したときのリスクがあまりにも大きいからだ。たとえば、配当2倍のバカラの場合、最初に2万円をベットし負けたら4万円、次は8万円とベットしていくと、10連敗したときに失う金額は2046万円。10回目の賭け金に至っては1024万円だ。もし運よく10回目で的中したとしても、合計の投資金額2046万円に対して、配当は2048万円。つまり、最初にベットした金額(この場合2万円)しか儲けることはできないのである。
さらにカジノではベットできる上限金額が決まっており、負け続けるとすぐこの金額に達してしまう。もっとも、2万円ずつベットするような人が、9連敗したときに次のゲームに1024万円の大金をテーブルに置くことができるだろうか?
おそらく、5連敗目で張る32万円もムリなのではないか。マーチンゲール法が有効なのは、無限に資金を持っていて、さらに賭け金の上限がないギャンブルだけだ。競馬などは無限に賭けられるが、賭け金によってオッズが変わってしまうため基本的にマーチンゲールは通用しない。
ちなみに、シンガポールのVIPルームにあるバカラではミニマムベット(最低賭け金)は500シンガポールドル(約4万円)、マックスベット(最高賭け金)は50万シンガポールドル(約4000万円)だ。つまり、10連敗すると次回はマックスベットをオーバーしてしまう計算になる。
理論的には1024分の1でも可能性はゼロではない
プレイヤーもしくはバンカーのどちらかの勝利にベットするバカラの場合、当たる確率は2分の1。10連敗する確率は理論上「2の10乗」である1024分の1だが、筆者の経験上、10連敗は十分にありうるし、すでに何度か経験もしている。
たとえば、プレイヤーが10回続く確率も理論上1024分の1だが、このような出目が出ている台は頻繁に存在するからである。では、カジノで勝ち続けているプレイヤーはいるのだろうか? 世界各国のカジノの販促として多くのVIPと接してきた矢沢秀樹氏(仮名)は言う。
「ほとんどのVIPの方はトータルでは負け越しています。でも、私の知っている限り、2人だけは勝っていると思われる方がいらっしゃいます」