収益物件を選ぶとき、多くの人が重視するのは利回り(=どのくらい収益が上がるか)だろう。ただ、利回りだけに気を取られすぎると、長期スパンで見たときに不安が出てくる。投資を長い目で成功させる物件選びのポイントを解説しよう。

長期的に安定したリターンを生みやすいかの視点が大切

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(画像=PIXTA)

利回りは現時点のリターンを示しているにすぎない。不動産投資の物件選びで大切なのは、「長期的に安定したリターンを生みやすいか」だ。そんな長期的に安定した物件を選ぶポイントは、次の5つに集約される。

  1. 割安な物件か
  2. すでに入居者がいるか否か
  3. リフォームコストがかかりすぎないか
  4. 空室になりにくい立地か
  5. 建物の状態は良好か

ちなみに、これらはマンション・アパート・戸建てなど、あらゆる収益物件選びに共通するポイントだ(ただし2と3は中古物件のポイント)。その詳細を一つひとつ確認していこう。

物件選びのポイント1:割安な物件か――日々のリサーチで相場感を養う

割安で買いを入れることは、あらゆる投資の成功条件。不動産投資の場合、高値で収益物件を購入してしまうと、利回りも売却益も出しにくくなる。

ただ、割安物件を仕入れるのは容易ではない。数多くの投資家が割安物件を必死で探しているため、マーケットに出た途端に売れるケースがほとんどだ。

どれくらいの価格が割安かは、エリアによっても違うし、市場の動向でも変わる。狙っているエリアの物件を常にリサーチし、相場感を普段から養っておくことで、割安物件と出会った時に即時に反応できるようにしたい。

物件選びのポイント2:すでに入居者がいるか否か――賃料が入るまでのタイムラグを生まない

これは、前述の「割安な物件か」に大きく関わってくるポイントだ。

収益物件は、オーナーチェンジ物件と言われる「入居者がすでにいるもの」と、「入居者がいないもの」に大別される。当然ながら、オーナーチェンジ物件は購入直後から賃料が入ってくる。一方、入居者がいない物件は、リフォームや入居者募集に要する期間があるため、賃料が入ってくるまでにタイムラグがある。

傾向的には、オーナーチェンジ物件は安心感があるので割高になりやすい。逆に、空室物件は割安な物件も多い。基本的に、不動産投資ビギナーはオーナーチェンジ物件の選択が無難。再生できるノウハウを持った投資家だけが空室物件に手を出せる。

物件選びのポイント3:リフォームコストがかかりすぎないか――収益物件購入後のメンテナンスも視野に

いくら割安な物件でも購入後にリフォームコストがかかれば、結果的に割高になることも。その物件が割安かは「物件価格+リフォーム費用」で考えなければならない。

具体的には、一棟物件なら壁や屋根の塗り替えや共用設備のメンテナンス時期が近くないか、区分マンションなら住宅設備の交換時期が迫っていないかを考えるのが賢明だ。

前回のリフォームや設備交換から10年以上経過している物件は、近いうちにコストがかかることを想定して経営計画を立てる必要がある。合わせて、マンションの場合は大規模修繕費が積み立てられているかもチェックしたい。

物件選びのポイント4:空室になりにくい立地か――「駅近だから」を盲信しない

これは投資家のほとんどが強く意識しているポイントだろう。ただ、注意したいのは「駅近物件は空室になりにくい」と思い込まないこと。たしかに東京や大阪の中心部のワンルームマンションであれば、駅近がマストだ。

しかし、同じワンルームマンションでも車通勤の比率が高いエリアでは、必ずしも駅近が人気とは限らない。ファミリー向けのマンションや戸建ても同様だ。大型ショッピングモール、病院、学校などが近い郊外が人気なケースも多い。

対象エリアでニーズが高い場所がどこかは、しっかりリサーチしたい。

物件選びのポイント5 建物の状態は良好か――築年数だけで判断しない

築年数は目安でしかない。築浅でも管理が悪く、傷みが目立つ物件もある。逆に、築古なのに管理が行き届き、状態が良好な物件もある。

例えば、外観なら大きなヒビがないか、壁を手でこすった時に塗料がつかないかなどをチェック。ヒビや経年劣化によって雨が内部に浸透し、構造自体が傷んでいる可能性がある。このような物件を買うと、想定よりも大規模修繕費がかかるリスクがある。

築年数を妄信せず、状態の良し悪しを見極めてから収益物件を選ぼう。

オーナー自ら現地調査をすることが大事

長期的な目線で収益をあげたいのであれば、オーナー自身の目で物件をチェックするのが賢明だ。特に中古物件は現地を調査すると、物件情報と内容が違うことも少なくない。

一例では、物件情報では「満室、あるいは稼働率が高い」とうたっているのに、実際に行ってみると空室だらけというケースもある。なぜ、空室なのに満室と打ち出せるかというと、入居率を上げるためオーナーの知り合いが一時的に名義貸しをしているケースもあるからだ。こういった物件は購入直後に退去が相次ぎ、一気に空室率が高まるリスクがある。

不動産投資は、資金のほとんどをローンでまかなうとはいえ、高額な買い物であることには変わりがない。様々なリスクを考慮し、自分の目で確認するようにしよう。

文・本間貴志(不動産・税務ライター)/MONEY TIMES

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