世界の投資マネーが日本、特に東京や大阪などの大都市の不動産に対して熱い眼差しを注いでいます。今後も大規模な投資が相次ぎ、東京や大阪の不動産の資産価値への期待がますます高まりそうです。
イギリスのASIは高齢者向け住宅などで1,000億円の投資
海外の投資機関の日本への投資熱が高まっています。主なものだけみても、イギリスの運用大手のアバディーン・スタンダード・インベストメント(ASI)は、日本向け投資の専門部署を設けて、積極的な投資を目指しています。
ASIはイギリス最大であり、ヨーロッパでも第2位の運用会社で、世界中で幅広く投資を行っています。もともとは株式運用で知られる投資会社ですが、近年では不動産投資も活発で、その不動産関連の運用資産は、全世界で約6兆円にも達しているといわれています。
ASIでは、アジアの主要都市への関心を高めており、なかでも経済、社会が安定している日本の大都市への投資に積極的です。同社のホームページでは、日本市場を次のように取り上げています。
「(日本の住宅の)市場価格は2008年から10年間で15%と比較的緩やかな上昇にとどまっています。しかしながら日本では物件の供給戸数増加のため低層住宅から高層タワー型住宅へのシフトが促進されており、ユニークな市場といえるでしょう」
そのユニークな市場に対する投資の第1弾として、2019年中に高齢者向け住宅への投資をスタートさせる計画といわれます。既存の物件の取得だけではなく、新規の開発にも取り組む意向といわれ、最大では1,000億円程度の投資を見込んでいるようです。
アメリカのKKRは再開発などの大型案件に取り組む
また、アメリカ・ニューヨークに本部を置く投資会社、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は、2005年からアジアでの事業を開始し、現在ではプライベート・エクイティ分野では有数の投資会社に成長しています。
そのKKRは不動産ファンドなどから不動産投資、開発の専門家をスカウト、不動産分野への本格参入の準備を進めています。これまでも不動産の売買などを手がけてきましたが、今後は再開発などによって不動産の価値を高めた上で売却して利益を挙げることも目指すようです。KKRの最大のメリットは資金が潤沢であること。1,000億円単位の大型案件への投資も可能であり、日本の不動産市場に大きなインパクトを与えそうです。
これまでにも、ノルウェーの政府年金基金が東京都港区で1,300億円の複数ビルを購入、香港とフランスの投資会社が共同で1,000億円を投じて物流施設を取得、シンガポールの投資会社が東京都新宿区のオフィスビルを取得など積極的な投資が行われてきましたが、今後はさらに拍車がかかりそうな情勢です。
超低金利の日本は投資先として魅力に満ちている
海外の投資会社や投資ファンドなどが日本の不動産市場に強い関心を示している背景には、日本銀行のマイナス金利政策にともなう超低金利が背景にあるといわれます。低い金利で資金を調達してオフィスや住宅などの不動産に投資すれば、十分な利益をあげることができます。
日本、なかでも最も注目度が高いのは東京です。不動産投資による利回りは都心部で3%~4%前後ですが、2%台のロンドン、1%台のニュヨークに比べれば、まだまだ魅力に富んでいます。それも、世界の成長エンジンといわれるアジアのなかでも政治的、経済的に極めて安定しており、安心して大規模な投資を行うことができます。
実際、日本不動産研究所が行っている『第45回不動産投資家調査(2019年4月現在)』)によると、今後の日本の不動産市場を取り巻く環境においては、グラフにあるように海外からの投資の増大が最も期待されています。
海外からの熱視線を浴びる日本、なかでも東京の不動産の魅力がますます高まりそうです。(提供:YANUSY)
図表 日本の不動産市場を取り巻くポジティブな要因(単位:ポイント)
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