ネット証券会社を選ぶ上で最も気になるのが手数料の安さ。SBI証券と楽天証券が人気だが、2社と同等またはさらに安い手数料で現物・信用取引できるのが松井証券、ライブスター証券、DMM.com証券(DMM株)、GMOクリック証券だ。これら4社の手数料やサービスの特徴を紹介しよう(手数料は税抜き)。

ネット証券と総合証券の手数料の違い

証券口座,口座開設
(画像=Bro Crock/Shutterstock.com)

ネット証券が人気の原因の一つに、総合証券よりも手数料が安いという理由がある。口座開設をする際に気になるのはやはり手数料。ネット証券と総合証券でなぜ大きく手数料が異なるのだろうか?

手数料が異なる原因

そもそもネット証券の手数料が総合証券に比べて安いのは、店舗を持っておらず、営業担当者による対面取引も行っていないことが大きな理由だ。ネット証券では店舗運営の維持費や営業担当者の人件費が発生しない分、手数料を下げても利益を確保できるわけだ。

総合証券でも近年はインターネット取引にも力を入れており、対面取引契約でもインターネット取引ができるだけでなく、インターネット取引専用契約も可能だ。そのため総合証券では、店舗取引手数料体系と割安なインターネット取引手数料体系の2本立てが一般的になっている。

SBI証券と野村證券を比較

ネット証券と総合証券の取引手数料の違いについて、ネット証券最大手のSBI証券と老舗総合証券の野村證券を例に挙げて実際に比較した。

国内現物株式取引で約定代金が50万円になる場合の取引手数料は、2019年8月8日現在、SBI証券では250円に設定されている。一方、野村證券では店舗取引手数料7,020円、インターネット取引手数料なら515円、電話での取引手数料は4,424円だ。

約定代金が100万円の取引手数料になると、SBI証券は487円、そして野村證券の店舗取引手数料が1万1,967円、インターネット取引手数料は1,029円、電話での取引手数料は7,509円となっている。

野村證券のインターネット取引手数料は店舗取引手数料の10分の1以下まで割安になるが、それでもSBI証券の格安な手数料には及ばないのが現状だ。

これから投資を始める人やコストを抑えて投資をしたい人がネット証券に注目すべき理由は、手数料の安さにある。

取引手数料の手数料の種類 1約定ごとと1日定額制手数料の2種類

国内株式の取引手数料には、1約定ごとに手数料が発生する手数料と、1日の約定代金合計額ごとに設定されている1日定額手数料の2種類がある。ネット証券によって2種類の手数料コースからお好みのコースを選択できる場合や、あるいはいずれかの手数料しか設けていない場合もある。

選び方だが、数日に1回または月に数回取引する程度であれば、業界最低水準の手数料を設定するネット証券で1約定ごとの手数料コースを選ぶとよい。デイトレードならば1日定額手数料コースを用意しているネット証券を探すのがおすすめだ。

2種類の手数料コースが用意されているネット証券では、途中でコースを変更もできる。まずは格安の1約定ごと手数料コースで取引を開始して、株式取引に慣れてデイトレードに変更するタイミングで、1日定額手数料コースに乗り換えるのもよいだろう。

信用取引の取引手数料も要チェック

取引手数料の安さが問われるのは、国内株式を対象にした現物取引だけでなく信用取引についても同じだ。

個人投資家による国内株式売買のうち、信用取引が60%を占めているという実態や、信用取引には金利や貸株料、品貸料といった費用が別途必要になることを考慮すると、信用取引の取引手数料が少しでも安いネット証券を選ぶほうが望ましい。

信用取引にも現物取引同様に1約定代金ごとの手数料と1日定額手数料を用意しているネット証券も多い。

SBI証券や楽天証券、ライブスター証券をはじめとする大口信用取引の手数料が無料になるケースや、松井証券のように日計り取引(新規買い・新規売りした銘柄をその日のうちに決済すること)の手数料が無料になるケースなど、信用取引の手数料無料サービスや値引きサービスもさまざまである。

松井証券――1日の約定代金合計10万円まで手数料無料

松井証券は、創業100年の歴史と実績がある証券会社である。サービスの特徴は、1日の約定代金合計10万円まで手数料が無料であることだ。特に少額から投資を始めたい人には嬉しい手数料設定である。手数料は現物取引と信用取引を合わせた1日の約定代金合計で決まる。

現物・信用取引の手数料
1日の約定金額合計……手数料
~10万円……無料
~30万円……300円
~50万円……500円
~100万円……1,000円
~200万円……2,000円
100万円増えるごとに……1,000円加算
1億円超 ……10万円(上限)

松井証券はサポートにも定評がある。HDI-Japan(ヘルプデスク協会)主催の2018年度サポートポータル格付け(証券業界)にて、8年連続となる三つ星を獲得している。

様々な投資情報ツールが無料で提供されており、スマホ版リアルタイムトレーディングアプリも利用できる。PC版ツールは初心者向けと高機能なものをそれぞれ用意。さらに、「Amazon Echo」などのAlexa対応スマートスピーカーで利用できる、音声情報提供サービスもある。

ライブスター証券――信用取引1約定ごと300万円超は手数料0円

ライブスター証券 の手数料は、現物・信用ともに1注文ごとの約定代金で手数料が決まる「一律(つどつど)プラン」と1日の約定代金合計額で手数料が決まる「定額(おまとめ)プラン」がある。現物の取引手数料は、両プランともにSBI証券などに比べ安く設定されている。さらに信用取引の手数料は特徴的で、一律(つどつど)プランでの300万円超の約定では手数料0円になる。

信用取引の手数料

・一律(つどつど)プラン
約定金額……手数料
~300万円……80円
300万円超……0円

・定額(おまとめ)プラン
~100万円……400円
以降100万円ごとに……400円ずつ増加

手数料の安さが目立つライブスター証券だが、トレードツールも見逃せない。スマホ版アプリlivestar S2は、ドロワーで機動的に画面切り替えができ、トップ画面のカスタマイズ対応や最大600銘柄まで登録できるグループ機能などを持つ。PC版ツールは、高機能なダウンロード版と初心者でも直感的に操作できるWebブラウザ版がある。

DMM.com証券(DMM株)――VIPコースでは信用取引1約定ごと手数料0円

DMM株 の手数料は、ライブスター証券の「一律(つどつど)プラン」と同等の低額に設定されている。特徴は信用取引手数料にVIPコースがあることだ。VIPコースでは、当日の信用新規建約定代金合計が5,000万円以上などの条件で、約定金額にかかわらず手数料が0円となる。

信用取引の手数料

・1約定ごと(一般コース)
~300万円以下……80円
300万円超……0円

・1約定ごと(VIPコース)
約定金額にかかわらず……手数料0円

また、手数料の1%が株ポイントとして貯まるのも魅力だ。

取引ツールは、スマホアプリとPCツールともに操作が簡単で高機能なものを用意している。スマホアプリはお気に入り銘柄を2000銘柄まで登録でき、PCツールとの連動が可能だ。PCツールのDMM株STANDARDは、シンプルかつ使いやすさにこだわったWebブラウザ版取引ツールで、DMM株PROは、多彩な注文方法を搭載したインストール型取引ツールである。

GMOクリック証券――SBI証券や楽天証券より安い手数料を実現

GMOクリック証券の手数料は「1約定ごとプラン」と「1日定額プラン」がある。現物取引と信用取引にて、両プランともにSBI証券や楽天証券より安い設定となっている。

スマホ版アプリでは、流れるようにスムーズな注文が可能だ。PC版ツールは、インストール不要でクリックだけで注文できるLASER TRADE(レーザートレード)や、フル板対応でテクニカル指標による分析を強力にサポートするスーパーはっちゅう君などがある。

また、ファンダメンタル分析をするツールも用意されており、企業価値がひと目でわかる株価分析やグラフ化された財務三表、収益性が直観的にわかる経営分析、成長率や利益率のシミュレーションなどに対応している。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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