「日産自動車」は日本を代表する自動車メーカーで「ノート」「セレナ」などの人気車種を有する。近年、元代表取締役であるカルロス・ゴーン氏や次期代表取締役になった西川氏の不正など経営陣の不祥事問題で揺れる同社だが、その知名度は健在だ。実際の平均年収はいくらなのか、最新の有価証券報告書から見ていこう。

日産自動車の平均年間給与は約815万円

2019年3月期の有価証券報告書によれば日産自動車の平均年間給与は、815万4,953円となっている。また平均年齢は41.8歳で平均勤続年数は18.4年だ。(2019年3月31日現在における提出会社単体の数字)同年3月期におけるトヨタ自動車の平均年収851万5,525円、本田技研工業の平均年収819万8,000円とほぼ同水準である。

2019年10月28日時点で日産自動車の時価総額は約2兆8,726億円だ。一方、トヨタ自動車の時価総額は約24兆4,170億円、本田技研工業は約5兆3,437億円と両者に水をあけられている。しかし年収面では拮抗しているといえるだろう。2015年度の平均年間給与は795万212円から2016年度の816万4,762円と少し上昇を見せたものの、以後横ばいが続いている。

<過去5年間の日産自動車の平均年収推移>

日産,年収
(画像=※日産自動車の有価証券報告書を元に筆者作成)

子会社を含めた連結ベースの売上高は、2016年3月期12兆1,895億円に対して2019年3月期は11兆5,742億円(前年度は11兆9,511億円)と減少傾向だった。一方、当期純利益では2018年3月期の7,468億円から2019年3月期は約3,191億円と大きくマイナスとなっている。販売台数に関してもアジアでは販売台数を伸ばすも欧州、米州での販売台数は減少している状況だ。

日産の今後の課題は「技術開発」と「ガバナンス強化」

日産自動車の今後の展望は、決して明るいものではない。外部環境、内部環境ともに課題を抱えており大きな転換点にある状態だといえるだろう。外部環境での大きな変化は、CASEと呼ばれる次世代自動車の開発競争が激化していることだ。新しい自動車の開発は、「自動運転」「電気自動車」「シェアリング」など、これまでの自動車業界とはまったく異なるアプローチになってきている。

競争相手もこれまでの自動車メーカーだけではない。IT業界からGoogleやテスラなども加わってきている。日産自動車も「Nissan Intelligent Mobility」をテーマに自動運転技術や新時代のバッテリーなどにおいてさまざまな取り組みを精力的に行っている最中だ。しかし日産自動車は2018年に46億米ドルの研究開発費を投じているが、これは投資している研究開発費用のランキングでは世界で37位。

Googleは2位で162億米ドル、フォルクスワーゲンは3位で158億米ドル、トヨタ自動車が11位で100億米ドルを研究開発に投じている。これらと比較しても決して潤沢に開発費があるとはいえないだろう。もちろん研究開発費だけが今後の自動車業界の命運を握っているわけではないが、楽な競争環境ではないということは理解をしておきたい。

もう1つ課題になるのがコーポレートガバナンスの問題だ。日産自動車のCEOであったカルロス・ゴーン氏、西川氏ともに自身の不正でCEOを辞めざるを得ない状況であった。このことを鑑みると2019年時点で自社のコーポレートガバナンスが適切に機能しているとは言い難いだろう。不正を受けて日産自動車は新しい経営体制を発表した。

同時に指名委員会等設置会社に変更するなどしてコーポレートガバナンスの強化を図っている。外部環境が厳しさを増す中、業績の立て直しおよび内部のガバナンスも求められている日産自動車。彼らの今後の業績に注目したいところだ。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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