ライフスタイルの多様化に伴い、正社員以外にもさまざまな雇用形態が登場し、働き方を選べるようになっています。フルタイム勤務の正社員と派遣社員の違い、メリット・デメリットは何でしょうか。「今は派遣社員だけど、できれば正社員になりたい」と考える方もいらっしゃると思います。収入面や待遇の違いも比較しながら、派遣の働き方について考えていきましょう。
派遣社員になるメリット5選
総務省統計局の「労働力調査結果2019年7月分(速報)」によると、派遣社員として働く人は140万人だそうです。派遣社員になるメリットには、どんなものがあるでしょうか。
1、サポート体制が充実している
派遣社員は、人材派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の会社で働く形態です。仕事上の悩みや不満があったときに、人材派遣会社が派遣先の会社との間に入ってくれたり、どうしても合わない場合は別の派遣先を探してくれたりするなど、サポートがあります。
2、条件に合った仕事が探せる
職種や仕事内容、勤務時間や就業場所など、様々な条件の求人情報が豊富にあるので、希望に近い仕事を探しやすいです。また、残業の有無や会社の雰囲気など、表面では分からないことも教えてもらえるので、「こんなはずでは」というミスマッチが起こりにくいとも言えます。
3、正社員にはない視点が備わる
大手企業から中小企業まで、会社規模の違い、業種の違いなどで、同じ職種の仕事でも仕事のやり方は違うはず。会社で慣例となっていることも、外から見れば非効率だったり、他により良い方法があったりすることもあります。多くの会社を経験するからこそ、色々な視点を活かして仕事に取り組めます。
4、未経験分野の仕事にもチャレンジしやすい
正社員の場合は「入社したら長く勤めなければ」と思うため、職種変更は勇気が必要です。しかし、自分の可能性を広げるためには、色々な仕事にチャレンジしてみたいですよね。派遣で働く場合は「もし合わなかったら」と躊躇せず、自分にあった仕事を見つけることができます。
5、キャリアを活かした仕事を選べる
キャリアがあっても、「正社員の求人が少ない」「子育て中なので正社員では働きたくない」などの理由から、職探しが思うようにいかないことがあります。その点についても、派遣社員ならスムーズにいくことがあります。今までのキャリアを活かせたら、給与面などでの待遇も違ってきます。
その他、期間を決めて働けることや仕事の負担が少ないことから、正社員になるまでのスキルアップ期間とすることができる点もメリットではないでしょうか。
派遣社員と正社員のメリット・デメリットを比較
派遣社員と正社員のメリット・デメリットを比較してみましょう。
給与面の違い
派遣社員の収入は、厚生労働省「労働者派遣事業報告書(2017年度)」によると、賃金(8時間換算の平均)が1万3,831円です。月20日の勤務と考えると、月収は27万6,620円、年収は331万9,440円となります。
一方、正社員の年収は国税庁「民間給与実態統計(2017年分)」より、男性547万5,000円、女性376万6,000円であり、女性の場合は正社員も派遣社員も収入の差は少ないと言えます。
「派遣社員はボーナスがない」と思うかもしれませんが、ボーナスが出る場合もあります。また、2020年4月から施行される改正労働者派遣法では、同じような業務につく正社員と派遣社員の待遇の差をなくすための改善がみられています。派遣社員でも、ボーナスや各種手当て(役職手当、休日手当て、食事手当てなど)が受けられるようになり、給与面での差は少なくなると言えるでしょう。
福利厚生の違い
派遣社員の福利厚生は、登録している派遣会社によって違います。社会保険や有給制度の他に、定期健康診断や優待価格で旅行や映画を楽しめる福利厚生サービス、ベビー用品の割引や保育施設の割引などの育児支援サービスなどがある会社もあります。
また、無料のビジネススクールでスキルアップ支援をしてくれる会社もあります。中小企業に比べると、福利厚生は充実しているかもしれません。
仕事のやりがいの違い
派遣社員は、派遣会社と派遣先との契約により業務内容が明確になっているので、正社員のように予期せぬ業務が増えることがありません。厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況(2014年)」で、仕事のやりがいに関する満足度を比較してみると、派遣社員は58.8ポイントに対し、正社員は59.0ポイントとなっています。働き方による満足度は正社員と変わらないようです。
専門的スキルを身につければ、そのスキルを活かした仕事を紹介してもらえるので、さらにやりがいを追求していくことも可能です。
ただし、派遣社員はいつ契約が終了するか分からず、「雇用の安定」という点では正社員の方が安心できますね。
派遣社員から正社員になる方法はある?
2015年の労働者派遣法の改正では、同一の派遣先で働ける期間の限度を3年と定めた、「3年ルール」があります。契約期間が終了した際に、派遣社員の申し出があれば、契約期間を無期としたり、正社員へ登用したりするなどの措置を求められるため、正社員を目指す派遣社員にとっては、雇用の安定につながる嬉しい法改正と言えるでしょう。
派遣社員の無期雇用派遣とは、労働者と派遣会社が期間を定めず雇用契約を結ぶ形態です。有期雇用派遣の場合は、派遣先との契約が切れて次の派遣先が見つからない場合は無給となってしまいますが、無期雇用派遣の場合は、派遣会社との契約なので、給与が発生します。
また、給与派遣社員の場合は時給制なので、休日の多い月は収入が減ってしまいますが、無期雇用派遣の場合は、月給制となることが多く、収入が安定することもメリットです。
しかし、実際に派遣会社で無期雇用となったのは、派遣社員の約0.6%と狭き門になっています。逆に派遣先で直接雇用となる割合は1.6%と無期雇用よりも高くなっています。3年ルールを前に、雇用期間終了を前に契約を打ち切られることもあり、派遣社員は正社員に比べると安定という点では心配が残ります。
それ以外にも、「紹介予定派遣」といって、契約期間終了後に派遣元の正社員や契約社員として直接雇用を目指す求人を探すこともできますが、紹介予定派遣を申し込んで、実際に派遣された人は約26%と、派遣社員から正社員への道のりは厳しいようです。
派遣社員にもメリットはある!上手に利用して
派遣社員は正社員と変わらないことも多くありますし、自分の適性やスキルを見極めて自由な働き方ができるという点が何よりのメリットです。派遣社員という働き方を上手に利用して、キャリアデザインをしていきましょう。
文・冨士野喜子(ふじのFP事務所所属)/fuelle
【こちらの記事もおすすめ fuelle】
>せこくない、苦しくない、続く「節約術」まとめ
>これで10%オフ!デパコスのオトクな買い方3選
>免税店でさらにお得に買い物する3つの裏ワザ
>イオン系列の株主優待「徹底活用術」生活費を浮かせる3つのポイント
>えっ、知らないの?ヨーロッパでオトクに買い物できる「デタックス」活用法