中小企業では、知財はまだまだ必要ないと思われる企業も多いだろう。しかしこれからの時代、知財は大いなるビジネスチャンスを秘めており、知らないことは大きな損失である。その点について、弁理士であり「貧乏モーツァルトと金持ちプッチーニ」「知財マネタイズ入門」(どちらもサンライズパブリッシングより出版)の著者・正林 真之氏に、知財の基本と心構えを伺った。
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中小企業はもっと外にでてきてほしい
ーー中小企業のオーナーさんに向けて、正林さんからお伝えしたいことはありますか?
「貧乏モーツアルトと金持ちプッチーニ」のタイトルを決めた気持ちにたって、やっぱりお金儲けに対して恥じないでほしいということですね。
「お金持ちになりたい」と大きい声で言えない世の中でも、「俺は貧乏モーツアルトは嫌だよ」となら言えますよね。もし自分がお金儲けをしたとしても、「自分は弁理士として三流でもなんでもないし、中小企業のオーナーとしても三流でもないと。単純に貧乏モーツアルトになりたくなかっただけ」だと。
だから、金もうけを自分に許すときに、そういったキーワードを使ってください。何か迷ったときは、「貧乏モーツアルトになりたいの? なりたくないの? それで終わりたいのか、それとも終わりたくないのか」って考えてください、というのがひとつですよね。
あともうひとつは、最初に言ったとおり、一軒のラーメン屋みたいに、そこで終わるんだったらそれでいいけど、本当にそれでいいですか? そういうつもりじゃないでしょう? ということですね。もう一歩足を踏み出せば、いくらでも広がるのです。そういったチャンスを逃さないでほしいですね。
この今の世の中って、すごいチャンスがあるところなのですよ。昔「秦」というとても強い国が中国にありました。そこで最終的に宰相、つまりナンバー2になった季欺という人が、自分の故郷を出るときに、「我鳥獣にあらず」って言ったのです。自分は鳥や獣じゃないと。鳥や獣というのは、目の前のものを喰うことしか能がなく、ただ今日を生き延びるためだけに生きているのだと。
人間でいえば何も勉強せずに、単純に日々の用をこなしているだけの状態、これは鳥や獣と同じだと言っているのです。そうではなく、自分は人間として、チャンスがあったら自ら積極的につかんで、どんどん勉強する、そう言って故郷を出てきたのですね。こういう人間って現れていいと思うのですよ。
私自身もわかりますけど、人間、住むところによってかなり違いますよね。「住めば都」というふうに、住んでいれば都になるんだからってことなのですがそれよりも、「住まば都」ってことなのです。つまり、「住めるんだったら都にしろ」ということで、どんどん都会に行けっていう。
私と同じような人は地方にもたくさんいるのですよ。その人がそのまま地方を出ることなくそこそこで終わるなら、それが「住めば都」という状態です。それにとどまらず「住まば都」って、成功するために都会に出てきた人を誘導したい。
中小企業もそうなのです。本当なら、「住めば都」で満足してちゃいけないです。「住まば都」で、すこしでも挑戦をはじめてみる。そのなかで、世間づきあいが大事だ、近所づきあいが大事だっていいながら、もまれていくわけですよ。
ちょっとでも金持ちになると、「あの人は商売人だから」と言われたりするのですよね。そういう雰囲気に屈することなく、自分のビジネスを都会に来てさらに大きくやってみる、広げてみるというのが大事だというのがひとつありますよね。