2019年も残すところあとわずかとなった。本特集では新たな年のはじまりを前に、金融業界の各テーマごとに、この一年を振り返っていきたい。

第1回のテーマは「IPO」。RAKAN RICERCA 代表取締役社長の若杉篤史さんに寄稿いただいた内容をお届けする。

若杉篤史(わかすぎあつし)
RAKAN RICERCA 代表取締役社長
帝国データバンク、金融情報サービスのフィスコを経て、投資関連のコンテンツ作成を手掛けるRAKAN RICERCAを設立。日経CNBCなど各種メディアへの出演実績、『ダイヤモンドZAi』『ZUU online magazine』といったマネー誌への寄稿も。夕刊フジの人気企画「株1グランプリ」17年6月大会では、1カ月間で約3倍高のパフォーマンスで優勝。相場テーマの需給動向の検証、企業業績の分析に強みを持ち、個別銘柄の選別には定評。

IPO社数は86社でマザーズが圧倒

IPO,新規公開株
(画像=Feylite/shutterstock.com,ZUU online)

2019年も終わりに近づいているが、個人投資家に人気の新規公開株(IPO)は活況を迎えている。この1年間のIPOを振り返っていきたい。

まず、2019年のIPOした社数は合計で86社となる予定だ。2018年は90社だったから、前の年に比べて4社減少した形だ(重複上場の場合は東証でカウント。テクニカル上場、TOKYO PRO Marketへの上場数を除く)。

上期(1〜6月)は38社で、36社だった2018年を若干上回るペースだが、下期(7〜12月)は若干失速。とはいえ、高水準は維持しているといえる。

これを市場別で見ると、2018年と変わらずマザーズへの上場が64社と抜きん出ている。2018年と異なるのは、JASDAQへの上場が14社から6社へと急減した一方で、2部の上場数が5社から11社に増加している点だ。

2部は地味なイメージを持たれがちだが、相場環境が2018年と比較して難しかった中でも、上場した銘柄は総じて堅調な初値形成となったものが目立った。なお上場中止となった銘柄は、2018年の4銘柄から2銘柄に減少している。

創業支援の成果が表れ始めた地方市場