サードパーティーの商品・サービスを利用し、必要な時にだけAI(人工知能)を利用できる「AIaaS(Artificial Intelligence as a Service)」。専門知識を備えた人材の確保やコスト面を理由に、AIの導入を躊躇している企業間で需要が増え、2025年には8兆円を超える市場規模に成長する見込みだ。

現時点においては、AmazonやGoogle、IBMなど大手IT企業が市場をリードしているものの、革新的なアイデアをもつスタートアップが、市場の流れを変えるゲームチェンジャーとなる可能性も否定できない。一方、こうした競争から生まれるメリットも期待されている。

「as a Service」とは?

Golden Sikorka/ shutterstock.com, ZUU online
(画像=Golden Sikorka/ shutterstock.com, ZUU online)

近年、IaaS、PaaS、SaaSなど、様々な「as a Service(サービスとして)」が登場している。共通するのは、商品そのものではなく、インターネット経由でサービスだけを提供・利用する点だ。

IaaSは、アプリの動作環境を快適に保つハードウェアやOSなどのインフラ、PaaSはアプリソフトを稼働させるための基盤であるプラットフォーム、SaaSはソフトウェアのサービスを指す。これらは、自社内でインフラやプラットフォーム、ソフト、専門知識を備えた人材を確保する必要がないため、「導入・維持に必要な費用や人材を抑えたい」という企業間で、需要が伸びている。

AIaaSを検討中の企業は、既にAIを採用している企業より多い?

新たな「aaS」であるAIaaSは、さしずめ、「AIのアウトソーシング」といったところだ。

エンタープライズ用のアーキテクチャーツールなどを提供する、米ソフトウェアベンダー、LeanIX が、146人のIT専門家を対象に行った調査結果は、AIaaSの需要が他のaaS同様、今後、大幅に伸びる可能性を示唆している。

IT意思決定者の56% が、AIの有用性を評価し、最初のプロトタイプをテストしているものの、実際にAIを採用している企業は11%しかない。一方、AIaaSに関しては、57%が「まだ利用していない」、17%が「利用を検討している」と回答した。AIの普及状況や需要は地域や産業により異なるため、一概には言えないが、この調査結果を見る限り、「AIの専門家を雇用したり、導入・維持コストに投資するより、AIaaSを利用する方が効率的」と考える企業が多いということだ。

現時点において、AIクラウドソリューションが最も利用されている領域のトップ3は、顧客サービス、生産、金融・会計。同様の傾向は、今後も続くと予想されている。

AIaaS市場の急成長が予想されるアジア太平洋

こうした背景から、国際市場調査企業Allied Market Researchは、AIaaSの市場規模が2018年から2025年にかけてCAGR(年平均成長率)56.7%のペースで成長し、2025年には770億 ドル(約8兆4787億円)を突破すると予想している。

同社のデータによると、2017年の時点でAIaaSの市場規模は、23億9700万ドル(約2639億4151万円)に達していた。世界市場の収益の47%を北米が占め、アジア太平洋地域は2位だったものの、今後、北米を超える飛躍的な成長が見込まれている。

AIaaS市場で存在感を増すスタートアップ

これまでのところ、Amazon(AWS)やGoogle(Cloud Platform)、Microsoft(Azure) 、IBM(Developer Cloud)など、大手勢がAIaaS市場を制覇しているように見えるが、スタートアップも着実に存在感を増している。

既に実績を積んでいるスタートアップを、いくつかご紹介しよう。