株式投資において最も大事なことの1つであり、最も難しいものの1つと言われるのが、買った株を「売る」行為だ。中でも損失を確定する「損切り」は、投資のリスクをコントロールする上で欠かせない。今回はその「損切り」の具体的な金額の設定方法について述べていこう。
「損切り」とは?損失を限定するために株を売却すること
「損切り」とは、保有している銘柄に損失が出ている状態で売り、損失を確定させる行為だ。もちろん株式投資では損をしないに越したことはないが100%の勝率を維持することは不可能だろう。保有している銘柄が今後も値上がりが見込めない場合、損失が大きくなる前に株を売却してしまう必要がある。
「見切り千両、損切り万両」という相場格言があるが、これは損失が小さいうちに見切りをつけることには千両の価値があり、持ち続けて損失を拡大させるより売却を選択することには万両の価値があるという意である。
損切りのポイントは「買う前に損切りラインを設定すること」
しかし株価が下がればいつかは損切りをしなければならない、といっても実際に行うのは難しい。「損をしたくない」「もう少し待てば株価が反発して損が小さくなる」という気持ちが損切りに踏み切ることを躊躇させてしまう。投資をしている人なら、誰しもこのような感情に見舞われた経験があるだろう。
損切りするためには、株を購入する前に「損切りライン」の株価を設定することが大切だ。株価がそのラインに達した時点で機械的に損切りを実行すると決めておく。最初のうちはためらいが出るかもしれないが、何度か繰り返せば慣れてくるだろう。
またネット証券の注文方法の1つ「逆指値」を活用するのも一手である。逆指値とは、「1,000円まで下落したら売る」「1,500円以上になったら買う」という注文方法だ。
株を買った直後に「逆指値」で売る株価を設定しておけば自動的に損切りが実行されるため、自身で考える手間もなくなる。逆指値注文は大手のネット証券であればほぼ利用可能だが、念のため自分が取引している証券会社の注文方法を確認しておこう。
損切りラインの3つの設定方法 パーセンテージ、株価の節目、購入理由
問題はその「損切りライン」をどこに設定すればいいのかということだろう。損切りラインの設定方法は大きく分けて以下の3つがある。
(1)パーセンテージで区切る
パーセンテージで区切る手法は、例えば「購入した価格から20%下げたら売る」などと決めておくことだ。株価の節目を自分で判断するのが難しければ、この方法にするべきだろう。
値動きの荒い銘柄であれば15~20%程度、値動きがそれほど大きくない銘柄であれば10~15%程度下がったところを損切りラインに設定するというのが一般的だろう。
(2)株価の節目で設定する
節目とは投資家の多くが意識する価格水準のことだ。相場が一気に値上がりしたり値下がりしたりするポイントになる。過去の高値や安値、1,000円や5,000円など切りの良い価格水準が節目となり、それを超えるかが今後の株価の推移を示す一つのカギとなる。
節目をよむ方法は、ローソク足チャートやその他のさまざまなテクニカルチャート、出来高の多寡、銘柄ごとの株価のクセなど、挙げればきりがない。銘柄によって適した節目の設定が変わってくるため、こちらは上級者向けと言える。
(3)買っている理由がなくなったときで設定する
また買っている理由がなくなったときも損切りのポイントとしてよいだろう。例えば「高い利益成長」を理由に買ったのなら、成長の減速が確認された時点で売るといった形だ。
これは、損切りに限らず利益を確定するときにも活用できる。買っている理由がなくなったときに、損失が出ていれば損切り、利益が出ていれば利益確定売りになるからだ。
損切りを制するものは株式投資を制す
損切りをした直後に株価が反転し、「やっぱり売らずに持ち続けておけば良かった」と悔やむのはよくあることだ。その場合は後悔するのではなく、再びその上昇波にのるべく買い戻せばいいだけだ。
やってはいけないのは、損切りをせず株価が下がっているのに踏ん切りがつかず持ち続けることだ。損切りをして新たな投資資金を確保し他の銘柄に再投資するほうが、資金効率的にもはるかに良い。株式投資をする上で損切りは非常に重要な行為だと覚えていただきたい。
文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES
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