米大手格付け会社ムーディーズによると、投資家は市場が強い時でさえ、より安価なパッシブ運用を好むという。 1月はアクティブ運用の株式投資信託にとって残酷な月だった。インベストメント・カンパニー・インスティテュートによると、2019年の景気低迷以降、1月は最も好調な月にもかかわらず、今年1月は金融危機以来で最悪の月次資金流出となり、1月として過去最大の流出に見舞われた。
アクティブ運用株式投資信託からの純資金流出額は、昨年の3620億ドルに続き、今年1月には推定460億ドルとなった。
ムーディーズ副社長Stephen Tu氏は、声明の中で、アクティブ運用担当者にとって、「資金流出はマイナスである。収益の伸び、顧客需要の欠如、損失を抱える顧客などに基づき、資産管理基準が厳格化される」と述べた。同社によると、1月の資金流出は特に驚くべきもので、通常は投資家は市場が好調な時にはアクティブ運用投信の相対的に高い手数料を見過ごしてしまうからだ。
投資家は手数料の低い株式インデックス投信などを好むようだ。これらの株式投信もほとんどがパッシブ運用である。2019年に、パッシブ運用株式投信は1億6200万ドルの純資金流入を記録したが、パッシブ運用およびアクティブ運用の債券投信は4570億ドルの純資金流入を記録した。このうち約3分の2がアクティブ運用債券投信に流入した。
ムーディーズ社は、アクティブ運用株式投信からの資金流出や、パッシブ運用およびアクティブ運用債券投信への資金流入は、投資家の安全への逃避とは考えていない。パッシブ運用株式投信へ資金が流入しているほか、パッシブ運用債券投信への資金流入がアクティブ運用債券投信よりも速いペースで増加しているためだ。
消費者は低コストのパッシフ運用投信を選好
Tu氏は、「パッシブ運用株式投信およびパッシブ運用債券投信への資金流入は、市場環境の変化にかかわらず、消費者が低コストのパッシブ運用商品を引き続き選好していることを示す明確な市場シグナルであると解釈している。手数料の低いパッシブ運用投信への資金流入が、手数料の高いアクティブ運用投信への資金流入を上回っている背景には、資産市場動向、ボラティリティー、量的緩和・引き締めといったマクロ要因よりも、消費者の選好が変化していることがある」と述べた。
同氏は、アクティブ運用株式投信は、引き続き手数料が最も高いカテゴリーであるため、信用への影響は長期にわたって続くと予想している。ムーディーズ社は昨年3月、米国のパッシブ運用投信が、2021年までにアクティブ運用投信の資産を上回る見込みと報告した。
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