不動産投資から得られるキャッシュフローを増やすためには、規模の拡大を検討することになるでしょう。規模を拡大すると家賃収入が増えますが、必要な経費も増えます。ただし、収益に対する経費の割合が下がることも多いです。
もちろん、無計画な規模拡大はおすすめしません。特に賃貸経営を始めたばかりの人は、徐々に拡大していくほうが無難です。今回は、将来家賃収入のみで生活することを目指している人に向けて、規模の拡大によって家賃収入が増えること以外のメリットについてお伝えします。
不動産投資におけるスケールメリット
不動産投資のスケールメリットついて、具体的な事例を交えて説明します。賃貸経営の営業サイクルには、入居者募集や原状回復などがあります。
仲介業者は、連絡を取る回数が多く、入居者募集の依頼が多いオーナーに対して優先的に入居者を紹介する傾向があります。
物件管理も行っている仲介業者に規模が大きいことを伝えておけば、「募集活動を頑張れば自分の会社に管理を任せてくれるかもしれない」と考え、小規模の場合と比べて募集活動を積極的に行ってくれるかもしれません。
また物件管理を委託する場合、所有物件の数が多いほど管理手数料の交渉において有利です。スケールメリットを上手く活用して、5%の管理手数料を3%に下げることができた事例もあります。
入居者退去後に必ず発生する原状回復費用についても、規模が大きいほうが交渉によって1回あたりのコストを下げられる可能性が高くなります。内装業者からすると、年に1回しか発注しない大家より、年に10回発注する大家のほうを大事にしたくなるものです。
具体的には、ルームクリーニング費用が1回あたり5,000円下がる、1平方メートルあたりのクロス張替え費用が50円下がるなどの事例があります。
このようにスケールメリットを上手く活用すれば、原状回復費用をはじめとする修繕費が下がり、キャッシュフローが改善します。上記以外にも規模が大きいことによって削減できるコストがあります。
投資エリアを分散していたとしても、全国展開している業者であれば交渉できますが、スケールメリットを多く享受するためには、投資エリアを集中するドメスティック戦略のほうがベターです。ただし、次項で説明する自然災害リスクも考慮する必要があるでしょう。
規模を大きくすることがリスク分散につながる
近年日本では台風の被害が多く発生しています。そもそも日本は、台風だけでなく地震も多い災害大国です。
原状回復費用の削減については、投資エリアを集中することでメリットを多く享受できると説明しましたが、災害時のリスク分散という観点では、投資エリアは分散すべきと言えます。
例えば所有物件が東京に集中している場合、首都直下型地震が起こるとすべての物件が損壊するリスクにさらされます。物件が全国各地に分散していれば、たとえ東京で大地震が起こっても関東以外の物件が損壊することはありません。
いずれにしても、スケールメリットを上手く活用するためには、投資エリアの方針はしっかりと決めておく必要があります。すべて自分で管理できる範囲内で不動産経営をしたい場合は一極集中型を、少しでも災害リスクを減らしたいなら分散投資型を検討すべきでしょう。
スケールメリットは活かすも殺すも自分次第です。規模拡大を考えているのであれば、戦略を立てて着実に実行するようにしましょう。(提供:YANUSY)
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