FX取引に興味はあるけれど、難しい専門用語ばかりで何から始めてよいのか分からない、とんでもない損失を出してしまいそうで怖い、などと考えている人も多いのではないだろうか?
今回は、FX未経験者に向けてFXの基本や難しいと感じてしまいがちなポイントについて解説していく。
FXの基本的な仕組みとは
FXとは「Foreign Exchange」の頭文字であり、日本語訳すれば「外国為替証拠金取引」ということである。
より簡単に言うと、通貨トレードのことで、具体的には、1ドル=100円のときに1ドル買って、1ドル=110円のときに売り、10円の利益を出すという取引である。
FXを単なる通貨トレードと考えると、「高額の投資金がないともうからない」と思ってしまうかもしれないが、FXは、始める際に大きな額の元手が必須というわけではない。
FX取引には「レバレッジ」という考え方がある。これは「投資金を何倍にして取引をするか」を設定する倍率で、日本国のFX取引所では上限が25倍に設定されている。つまり用意した投資資金が1万円でも、実際の取引では25万円分の取引ができるということになり、少ない資金でも挑戦することが可能なのだ。
ただし、少額で大きくもうけることができるということは、大きな損失を出す可能性もあるということだ。FXは失敗すると損失も大きいだけに、失敗するのが怖くなり、FXは難しいと感じてしまうこともあるだろう。
続いて、FXを難しいと感じてしまう代表的な理由をいくつか挙げて個別に解説していく。
FXが難しいと感じる理由1:リスクが高い
FXに対してよいイメージを持っていない人の中には、FXはいわゆるギャンブルであり、非常にリスキーなものだと考えている人もいるだろう。
リスクが高いと感じているのであれば、取引する際のスタンスを変えるのが有効だ。つまり、「FXで大きくもうけよう」と考えるのではなく、「FXで損をしないように取引をしよう」と考えるだけで状況はかなり変わってくる。
ほかにも「レバレッジを高く設定しすぎない」「証拠金をしっかり確保して投資する」など、細かい部分でリスクヘッジを行うことが可能だ。FXは短期間で大もうけするための投資ではないという認識で取り組んだほうがよいだろう。
「これでいくらもうかる」ではなく、「いくらまでならマイナスになっても耐えられる」という考えで挑むと、リスクは最小限に抑えられるはずだ。
FXが難しいと感じる理由2:失敗談が多い
FXでの失敗談を探そうと思えば、ネット上にいくらでも転がっている。確かに失敗してしまうことは怖いし、実際に失敗してしまった人も多いだろう。しかし、失敗するのには、それなりに理由がある場合がほとんどだ。
失敗の理由でもっとも多いのは「失敗するタイミングでトレードをしているから」という点だ。為替トレードにはそれなりに判断材料があり、レートが上がるのか下がるのか多方面から検証したうえで予想する必要がある。
FX取引で多額の損失を出してしまう人の多くは、判断材料を吟味することなくトレードを行った結果、損失を被っている。つまり、しっかりと知識をつけたうえで、取引に臨めば失敗は防げる、もしくは最小限に抑えることができるということになる。
FXが難しいと感じる理由3:メンタル面の課題
FXを難しいと感じる理由に、レベルアップすると取引額が大きくなるというものもある。FX取引はレバレッジを使うことができるため、仮に投資した資金は1000円でもレバレッジ25倍ならば2万5000円の取引をしていることになる。
FXの経験が浅い人にとって、大きい金額の動きを見守るというのはメンタル面に大きなプレッシャーがかかるだろう。メンタルが安定していなければ、冷静な判断をすることが難しくなり、大きな損失を生むのではないかという不安がよぎる。
こういった不安も知識不足からくるものがほとんどであろう。自分が今どのような状況にあり、どの程度の利益(損失)が出ているかを冷静に考えることができれば、メンタルも安定してくるはずだ。
FX取引に限らず、多くの投資はまず始めることで、どんな知識が不足しているかを理解することができる。知識を増やすことで自分のスタイルを築くことができ、自分のスタイルがあるからこそメンタルも安定する。このようなサイクルを築いていくことが重要だ。知識を増やすことでメンタル面の課題も克服できる可能性は高くなるだろう。
FXが難しいと感じる理由4:自分のスタイルを見つけられない
FXトレードを行う場合、自分の長所を生かしたトレードスタイルを持つことも重要なポイントの一つだ。しかし、この「自分なりのスタイル」というのがFX取引を難しいと感じさせてしまうポイントにもなっている。
FXに関する知識は一見難しそうだが、実際にきちんと勉強すればさほど難しくない。毎日しっかりニュースを見ていれば十分理解できる範囲である。また、急いですべての知識を詰め込む必要もなく、FX取引をしながら徐々に身に付けていけばよいだろう。知識については構えすぎずに、まずは始めてみるのがオススメだ。
FX取引に必要な知識とはどのようなものか?
ここまで解説したように、FXにおいて失敗を防ぐ、もしくは損失を最小限に抑えるためにはきちんとした「知識」を備えておくことが不可欠である。では具体的にどのような「知識」が必要とされるのだろうか。ここではFXにおいて代表的かつ基本的な事柄について、簡単に紹介していく。
スプレッド
「スプレッド」は分かりやすく言うと、「買値と売値の差」となり、実質的な手数料のようなものと考えるとよいだろう。
スプレッドはFX取引所において、取引する通貨ごとに定められている。例えば1ドルの売値が105.441円、買値が105.438円となっていれば、スプレッドは0.3銭ということになる。
この設定で1ドルを購入してすぐ売ると、手数料として0.3銭分損をするということになってしまう。「スプレッドはごくわずかだから気にならない」と思われるかもしれないが、多くの取引所では最低通貨単位が1000通貨単位(ドル円なら最低1000ドル)程度に設定されているので、最低額の取引でも3円の手数料が発生することになる。
スワップ
一般的にFX取引において「スワップ」と呼ぶ場合は「スワップポイント」のことを指している。スワップポイントとは「金利差による損益」ということになる。
すべての通貨には「国政金利」という金利が設定されている。仮に日本円の金利を0.1%、オーストラリアドルの金利を2.0%として、具体例を挙げて説明しよう。
日本円で持っていれば金利(年利)は0.1%しかつかないが、この日本円でオーストラリアドルを購入すれば、金利(年利)は2.0%となり、金利によるもうけが大きくなる。ただしオーストラリアドルにしたからといって、2.0%を丸々もらえるわけではないことに注意しよう。
オーストラリアドルの金利(2.0%)から、日本円の金利(0.1%)を引いた差額が得られるということになり、実際に受け取れる金利は1.9%となる。この1.9%を「スワップポイント」、「スワップ」というのだ。
スワップで気を付けたいのは、このオーストラリアドルで日本円を買ってしまうと、マイナスの金利となってしまい、差額を受け取れるどころか支払う必要があるという点だ。スワップの幅が大きいときに買って、小さいときに売るなど、状況判断が必要となるので注意したい。
FXの知識を学ぶ方法
ここで紹介したもの以外にも、為替変動に関連して押さえておかなければいけない知識は数多くある。しかし、先述したとおり自分のペースで、実践的な方法で学んでいくとよいだろう。
具体的にFXを学ぶ方法についても解説していく。
FX取引で利益を生むためには、さまざまな知識を学ぶ必要があるが、すべての知識を独学で身に付けるのはかなりの時間と労力を要するだろう。
書籍などを利用して独学するのもよいが、FX初心者向けのセミナーを開催している団体や企業も多いので、自宅や勤務先の近くで開催されているようであれば、参加してみるのもよいだろう。
また、「デモトレード」という方法もある。これは擬似的にFX取引を体験して、感覚をつかむというもの。「デモ」という言葉がついていることから分かるように、実際に資金を使わずに、トレードを体験することができる。
多くの企業が、このデモトレードを用意していることに加えて、最近ではデモトレードが体験できるスマートフォンのアプリなども増えている。これらを一度体験してみるのもFXを学ぶよい方法だろう。
まとめ
FX取引を始めるには、さまざまな知識やカタカナの難しい用語などを知る必要がある。しかし、実際にFX取引を始めてみると、自然と知識や専門用語は身に付くものだ。また、実際に始めてみなければ分からない部分もあるだろう。
FXも他の投資と同様に、利益が出ることもあれば、損失を出してしまう場合もある。FXで大きな利益を出している人も、勝率100%ということはあり得ないし、負けるときは負けてしまう。不測の事態が訪れれば、大損してしまうようなこともあるだろう。
ただし、大きく勝っている人は、負けるときは小さく、勝つときは大きくというトレードの仕方を実践している。そして大きく利益を出せている要因の一つは、知識の量やマインドセットを含めた事前の準備だ。しっかりとした準備をして臨めば、FXも利益を出していくことが可能な投資なのだ。
FXは難しいと感じている人は、それだけ慎重な取引ができる人ということでもある。じつはFX取引において重要なのが、「慎重さ」だ。一発大逆転を狙う人より、負けを小さくするという考え方ができる人のほうが、FXでは結果を出していることが多い。「FXは難しい」と感じている人こそ、チャンスがあると考えることもできるだろう。