NISA(少額投資非課税制度)を使って株式投資を始めてみようと考える人は多いのではないでしょうか。しかし2019年12月末時点で東証銘柄だけでも3,706銘柄という膨大な数の中から理想の投資先を見つけるのは容易ではありません。そこで利用したいのが、データから理想の銘柄を検索できる「銘柄スクリーニング」です。

本記事では銘柄スクリーニングの基礎知識や活用方法について具体的に紹介します。(記事中のデータは2020年1月29日現在の数値です)

銘柄スクリーニングとは何か

株式,銘柄スクリーニング
(画像=gopixa/Shutterstock.com)

銘柄スクリーニングとは、「配当利回り」「自己資本比率」などの投資指標を自分が理想と考える数値範囲を入力することによって該当する銘柄を検索できるサービスです。主に証券会社にログインして口座を持っている会員だけが利用できる本格的なものと、株式情報サイトなど誰でも利用できる簡易的なものがあります。では株式指標の中でも重要な項目のチェックポイントについて確認してみましょう。

高配当利回りの落とし穴

キャピタルゲイン(売却益)よりもインカムゲイン(配当金等による収入)を重視するなら「配当利回り」は最も重要な指標です。銘柄スクリーニングにおいても配当利回りの高い銘柄を検索する人は多いかもしれません。しかし一見高配当利回りに見える銘柄でも確認する際は注意しなければならない点があります。

なぜなら検索する銘柄の予想配当金額は、決算期が更新されるまで原則として一定なのに対し利回りは株価が上下することによって日々変動するからです。したがってお目当ての対象銘柄に業績下方修正などの悪材料が出て株価が急落した場合、表面的な配当利回りは高くなります。しかしその後予想配当金額が減配になった場合はどうなるでしょうか。

実際に受け取る配当利回りは銘柄スクリーニング時に閲覧した数値よりもかなり低下してしまうでしょう。そのため銘柄スクリーニングで高利回りの場合は配当利回りだけでなく直近の業績や株価の推移などもあわせてチェックしてから投資判断することが重要だといえるでしょう。

PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)をどう見るか

次に注目度が高い項目は、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)です。

・PER(株価収益率)
PERは、Price Earnings Ratioの略で1株利益に対して株価が何倍に買われているかを表す指標になります。 例えば2019年12月末日時点の東証1部全体の加重PERは15.9倍です。そのため、東証1部銘柄であれば、おおむね15倍以下なら割高ではないと考えられます。

・PBR(株価純資産倍率)
一方のPBRはPrice Book-value Ratioの略で株価を1株あたり純資産で割って現在の株価が割高か割安かを表す指標です。1株あたり純資産は解散価値と同じといわれPBRが1倍であれば純資産と同じ価値に株価が買われていることになります。2019年12月末時点の東証1部全体の加重PBRは1.2倍です。解散価値の1倍に近いですが、2倍を超えるとやや割高な印象があります。

・ROE(自己資本利益率)
最近ではPERやPBRに加えてROE(自己資本利益率)を重視する投資家も増加傾向です。ROEはReturn On Equityの略で自己資本(株主資本)を使ってどれくらいの利益を上げたかを表す指標になります。ROEが高いほど株主の資本を効率よく使って利益を上げていることになるため、稼ぐ力がある会社と評価することができるでしょう。

銘柄スクリーニングの具体例

実際に銘柄スクリーニングを使ってみましょう。ここでは誰でも利用できる株式情報サイト「Stock Weather」の銘柄スクリーニングを利用します。投資金額10万円以下、配当利回り4%以上、PER15倍以内、PBR1.0倍以内、ROE10%以上という理想的な条件を入力して検索した結果、以下の銘柄が抽出されました。

証券コード会社名市場株価配当利回り(予想)PERPBR
1451KHC東証2部910円4.84%6.320.67
1814大末建設東証1部977円4.09%4.490.60
1887日本国土開発東証1部601円4.66%7.290.88
1994高橋カーテンウォール工業東証ジャスダック710円4.23%4.490.75
2768双日東証1部350円4.86%6.080.68
3284フージャースHD東証1部703円4.98%8.260.91
3294イーグランド東証1部834円4.56%7.320.76
5742エヌアイシ・オートテック東証ジャスダック852円4.58%9.240.97
8002丸紅東証1部800.2円4.37%5.790.69
8903サンウッド東証ジャスダック585円4.27%5.960.67
8999グランディハウス東証1部498円4.62%6.980.71

※投資金額10万円以下、配当利回り4%以上、PER15倍以内、PBR1.0倍以内、ROE10%以上をスクリーニングした結果(2020年1月29日大引時点)

いずれも100株10万円以下で投資できる銘柄です。投資資金を増やせば選択肢はさらに広がります。今回スクリーニングした銘柄は、株式市場で人気になっている花形株ではなく内容が良いにもかかわらず安値に放置された割安株の可能性があるため、中長期で気長に持つのに向いているのかもしれません。投資の際は銘柄スクリーニングをうまく活用して自分の理想的な銘柄を探してみてはいかがでしょうか。

※上記の銘柄は検索時点の一例であり、数値は日々変動します。参考程度にお考えください。(提供:Incomepress


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