ネット証券のメリットはなんといっても「取引手数料の安さ」だ。しかし「取引手数料」だけでなく、取引ツールや提供サービスにも注目することで、自分の投資スタイルに合ったネット証券を選ぶことができる。ここでは注目したい5つのポイントを紹介していこう。

目次
ポイント1,手数料は安いか?
ポイント2,「取引ツールやアプリ」はあるか?
ポイント3,「取扱商品」は自分にあったものであるか?
ポイント4,「提供されているサービス」はあっているか?
ポイント5,「セキュリティ」は確保されているか?
ネット証券の賢い選び方

ポイント1,「取引手数料」は安いか?ランキングで紹介

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(画像=ArtOfPhotos/Shutterstock.com)

「業界最安値」「業界最低水準」「格安手数料」などの言葉で、ネット証券のトップページでアピールされることの多いのが取引手数料。正確には「国内現物株式・1注文の約定代金に応じて課せられる取引手数料の最低額」のこと。この現物株式取引手数料の最低額だけで口座開設するネット証券を決めてしまうのは早合点だ。まず自分がどの程度の頻度で売買するのか、どのくらいの予算で売買したいのかを考えてから、約定代金の価格帯と手数料が併記された手数料表をチェックすることが大事。

例えば1日または週に1回程度の取引する人が、1回の約定代金の予算をおおよそ5万円以下、10万円以下、50万円以下、100万円以下として見積もった場合では、それぞれの価格帯で手数料が違ってくる。さらに同じ予算でも1日に何度も売買を繰り返すデイトレーダーであれば、1日の約定代金の合計額に対して手数料がかかるコースを選んだ方が手数料は安くなる。また信用取引も考えているのなら、信用取引の手数料表も確認したい。

1注文ごと取引手数料最安ランキングTOP3(2020年3月1日現在)

順位 ネット証券名 1注文あたり約定代金

5
万円

10
万円

20
万円

50
万円

100
万円

150
万円

300
万円

3,000
万円
3,000
万円超
1 楽天証券 0円 110円 261円 468円 559円 886円 936円
2 DMM.com
証券 株
55円 88円 106円 198円 374円 440円 660円 880円
2 ライブスター
証券
55円 88円 107円 198円 374円 440円 660円 880円
3 SBI証券 55円 99円 115円 275円 535円 640円 1,013円 1,070円

※対象はインターネット専業証券会社で、一般的な単元株取引ができる証券会社に限定。対象ネット証券ホームページで取引手数料を比較の上、上記ランキング表を作成した

1日定額制取引手数料最安ランキングTOP3(2020年3月1日現在)

順位 ネット証券名 1日定額制取引手数料
~50万円 ~100万円 ~200万円 ~300万円 300万円超
1 SBI証券 0円 838円 100万円増加ごとに440円ずつ加算
2 岡三オンライン証券 0円 880円 100万円増加ごとに550円ずつ加算
3 楽天証券 0円 943円 2,200円 3,300円 100万円増加ごとに1,100円ずつ加算

※対象はインターネット専業証券会社で、一般的な単元株取引ができる証券会社に限定。対象ネット証券ホームページで取引手数料を比較の上、上記ランキング表を作成した

ポイント2,「取引ツールやアプリ」はあるか?人気ネット証券のツール一覧

ネット証券にはたいていパソコン向け/タブレット向けの専用の取引ツールと、スマートフォン向け専用アプリが用意されている。スピード感のある取引を求めている、あるいはデイトレーダーにとっては利用価値が高いので、事前にツールやアプリの使いやすさを確認しておきたい。

どのネット証券のツールやアプリでも、さまざまな投資情報の表示や銘柄検索、チャート表示、テクニカル分析、リアルタイムの板情報、最良気配値の表示、ワンクリック注文画面といった機能を備えている。また機能性や操作方法、目的別ツールの内容などに違いがあるツールやアプリが多数リリースされている。

その中でも代表的なものを紹介しよう。基本有料だが高機能高性能なトレーディングツールであるSBI証券の「HYPER SBI」。取得できる投資情報量が多い楽天証券の「MARKET SPEEDⅡ」。無料で使え一人ひとりに最適な資産設計プランを提案してくれる資産分析・設計ツールであるマネックス証券の「MONEX VISION β」。過去2年間の勝ちトレードデータやチャート、株価データから見られるシグナルと勝ちに入るタイミングから勝ちパターンを分析できるauカブコム証券の「勝ち株テクニカル分析」がある。

ネット証券9社の取引ツールと株アプリ比較一覧(2020年3月1日現在)

ネット証券会社名 主な取引ツール スマートフォン専用株アプリ
SBI証券 HYPER SBI SBI証券 株アプリ
  ・国内株式、先物・
オプション取引に利用できる
・ドラッグ&ドロップの
マウス操作でスピード
発注ができる
・即時性、専門性、情報量に
秀でた機関投資家向け
「プレミアムニュス」を
個人でも利用できる
・銘柄選びに役立つ
多彩なランキング情報
・豊富な情報を
グラフや表で表示
・「テーマキラー!」
取引ができる。
楽天証券 MARKET SPEED iSPEED
  ・国内株式、米国株式、為替、
日経225先物、オプション、
海外先物の取引ができる
・20種類以上の分析チャート
・多彩なニュースに加えて
日経テレコンや四季報の
閲覧もできる
・MARKET SPEED for Mac、
MARKET SPEED Ⅱなどもあり
・最短3タップのシンプル注文
・PC並みの豊富な情報量
・15種類のカスタマイズ
可能なチャート
・最大1,000銘柄の
お気に入り登録
松井証券 ネットストック・ハイスピード 株touch
  ・注文発注と照会機能が
一体化した
「株式Trading Center」画面搭載
・注文条件を事前設定する
「スピード注文」機能
・高値、安値などの株式
近接率分析の一覧表示
・株式、先物、オプション、
NISA口座取引ができる
・株価ボード、先物ボード、
オプションボードを閲覧できる
・株価ボードは最短0秒で
自動更新
マネックス証券 マネックストレーダー マネックストレーダー株式
スマートフォン
  ・株式、先物、
オプション取引向けツール
・1つの銘柄の板情報や
ニュースなどを
1画面に表示できる
「Trading One」機能搭載
・設定した条件に合致した
銘柄を一覧表示する
「株式市況アラーム」機能
・株価はリアルタイム更新
・使いやすさとスピードを追求
・銘柄検索画面に20銘柄の
直前閲覧履歴も表示
auカブコム証券 kabuステーション® kabuステーション®
  ・現物、信用、先物、
オプション取引向け
発注機能兼情報サービス
・利用状況に応じて、
より高度な投資情報や
高機能発注サービスを
追加で利用できる
・PC向けkabuステーションと
同等の機能性に加えスピードと
操作性を追求
・「2WAY注文」「板発注」
などの多彩な発注方法
・PC版とのリスト連携で
2,000もの銘柄情報を
同期できる
岡三
オンライン証券
岡三ネットトレーダーWEB2
  ・PC、スマートフォン、タブレットで同じ
画面構成なのでマルチデバイスで利用できる
・シンプルな操作性で直感的に取引できる
・豊富な取引情報と注文機能
DMM.com
証券 株
DMM株PRO+ DMM株スマホアプリ
  ・インストール型ツールで
ありながら、Macにも対応
・34種類のテクニカル指標
・最大32銘柄のチャートを
同時に表示できる
・かんたんモードと
ノーマルモードの
2つのモードを
切り替えて使用できる
GMOクリック証券 スーパーはっちゅう君 iClick株/株roid
  ・すべての板情報を
リアルタイムで表示
・「信用スピード注文」で
スピーディーな信用取引
発注ができる
・それぞれの環境の
特性を活かして、
iPhoneにはiClick、Androidには
株roidを提供
・即時入金サービスを利用できる
ライブスター証券 livester R2 livestar S2
  ・先物、オプション、
NISAの取引ができる
・気配比や出来高を
表示可能なできる発注板搭載
・スマホアプリと
お気に入り銘柄を共有
・NISA発注対応
・ドロワーで機動的な
画面切り替えができる
・音声による銘柄検索機能あり

※対象ネット証券ホームページで取引ツールと株アプリの情報を参照し、上記比較表を作成した

ポイント3,「取扱商品」は自分にあったものであるか?一覧で比較

現物株式や投資信託への投資に慣れ、今度は外国株式やFX、先物、オプション、CFDなどにも興味があるのなら、ネット証券がそれらの金融商品を取り扱っているのかも確認したい。

例えばIPO投資の場合は、IPO取扱銘柄数の多いSBI証券やカブドットコム証券を選ぶといいだろう。低リスクで長期間資産運用できる投資信託ならば、SBI証券や楽天証券。米国株や中国株に興味があれば、米国株と中国株あわせて5,000超もの銘柄を取り扱うマネックス証券がおすすめだ。

ネット証券9社の取扱商品比較表(2020年3月1日現在)

ネット
証券名
国内
株式
外国株 IPO 単元未満
株取引
テーマ
投資
先物・
オプション
CFD 債券
SBI証券
(ネット
証券最多の
全9ヵ国
取扱い)

(ネット
証券最多の
取扱銘柄数)

(S株)
楽天証券
(米国株、
中国株、
アセアン
諸国株)
松井証券
マネックス
証券

(米国株と
中国株、
米国株
取扱銘柄数は
ネット証券
第1位)

(ワン株)
au
カブコム
証券

(プチ株)

(外債のみ)
岡三
オンライン
証券
DMM.com
証券 株

(米国株)
GMO
クリック
証券

(2019年
以降の取扱い
なし)

(外債のみ)
ライブスター
証券

※対象ネット証券ホームページで各社の取扱商品を参照の上、上記一覧を作成した

ポイント4,「提供されているサービス」はあっているか?

仕事が終わってから、夜に落ち着いて取引したいという人には、夜間取引を行っているSBI証券、楽天証券または松井証券がいいだろう。入出金の利便性が高くなる銀行との口座連携サービスだとSBI証券や楽天証券。投資または提携クレジットカードで貯めたポイントで投信積立をしたいのであればSBI証券や楽天証券、松井証券。提携クレジットカードでポイント優遇ならマネックス証券など、あると便利なサービスを提供しているかも判断材料になる。

ネット証券9社の主なサービス比較一覧

ネット証券名 主なサービス
SBI証券 ・住信SBIネット銀行との口座連携サービス
・夜間取引あり
・Tポイントを貯められる
・Tポイント投資ができる
楽天証券 ・楽天銀行との口座連携サービス
・夜間取引あり
・楽天スーパーポイントを貯められる
・楽天スーパーポイント投資ができる
松井証券 ・電話によるマネープランサポートなど、
充実したサポート体制
・夜間取引あり
マネックス証券 ・米国株関連投資情報と取扱銘柄数が豊富
・米ドル/日本円の為替手数料はネット業界最安値
・貯まったマネックスポイントを、
Amazonギフト券やnanacoなどの他の
ポイントサービスのポイントに交換できる
auカブコム証券 ・auじぶん銀行との口座連携サービス
・ネット証券屈指の豊富な自動売買
・信頼性の高いMUFG独自レポートを閲覧できる
岡三オンライン証券 ・対面(電話)サポートコースあり
DMM.com証券 株 ・手数料は証券業界最安値
・取引手数料で貯まったDMM株ポイントを
出金または取引に利用できる
GMOクリック証券 ・GMOあおぞらネット銀行との口座連携サービス
ライブスター証券 ・手数料は証券業界最安値

※対象ネット証券ホームページで各社の代表的なサービスを抽出し、一覧表示した

ポイント5,「セキュリティ」は確保されているか?

ネット証券はインターネットを介した取引のため、セキュリティが堅牢でバックアップ体制が確立されているというのは重要な条件だ。暗号化通信(SSL通信)が整備されていることやログイン時に2つのパスワードによる二重チェック体制がとられていること、さらにサーバーや回線障害があっても取引が中断しない代替サーバーや回線が装備されているかなど調べたい。

SBI証券、カブドットコム証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券といった5大ネット証券ではこのようなセキュリティ体制が通常整備されているが、安心して口座開設、取引できるように実際に各社のサイト上でセキュリティについても確認することをおすすめする。

ネット証券の賢い選び方

ネット証券は手数料の安さだけに着目するのではなく、今後の取引の可能性を見据えた取引ツールや取扱商品のラインアップ、各種サービス、安心できるセキュリティ環境など総合的に比較する必要があるだろう。最初にネット証券の選び方を間違えないようにしたい。

文・近藤真理(フリーライター)/MONEY TIMES

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