新型コロナウイルスの感染拡大に伴い経済の先行き懸念から2020年2月ごろから日経平均株価の暴落や為替の乱高下などが発生しました。こうしたマーケットの混乱は「コロナショック」とも呼ばれ2008年に起きた「リーマンショック」とよく比較されます。コロナショックでは、「不動産市場にも悪影響が及ぶ」という指摘がありますが実際はどうなのでしょうか。
もしコロナショックにより不動産価格の下落が起きるのであれば、これから収益物件を購入したい人にとっては絶好の買い時になる可能性があります。しかし「買い時到来説」は本当なのでしょうか。この記事はコロナショックによって不動産価格が下落するのではないかという根拠と今後の不動産市場の展望について解説します。(※2020年5月時点での情報を元にしています)
コロナショックによって不動産価格の下落が予想されている3つの根拠
多くの専門家や識者がコロナショックによる不動産価格の下落を予想しています。専門家が指摘している根拠は、大きく分けると以下の3つです。
- 1.リーマンショックとの比較
- 2.J-REITが一時半値近くにまで急落した
- 3.景気後退によって買えない人が増える
1.リーマンショックとの比較
コロナショックはリーマンショックと比較されることが多い傾向です。つまり「リーマンショックで起きたことはコロナショックでも起きる」と考える意見は多くその意見通りになるかを確認するには、リーマンショック直後の不動産市場をチェックしておく必要があります。以下は2005年1~2020年4月までの首都圏エリアの住宅地価格変動率グラフです。
リーマンショックが起きた2007年中ごろから急落しており2008年にはマイナス4%にまで到達。コロナショックでも同じことが起きると仮定すると2020年の後半ごろから不動産価格の急落が始まることになります。
2.J-REITが一時半値近くにまで急落した
J-REITとは、東京証券取引所に上場されている不動産投資信託のことです。市場関係者の中にはJ-REITを現物不動産市場の先行指標であると考える人もいるため、J-REITが下落すると現物不動産にも価格下落が起きるのではないかとの指摘があります。J-REIT全体の値動きを指数化した東証REIT指数の値動き(2020年1~5月)からJ-REIT全体の騰落を見てみましょう。
2020年2月20日につけた最高値の2,250.65からわずか1ヵ月で1,145.53まで暴落しているのが分かります。ほぼ半分になってしまったことからもコロナショックのインパクトがいかに大きいかがうかがえるでしょう。その後値を戻して2020年5月上旬時点では1,600前後で推移していますが高値圏から見るとかなり低い水準です。
先行指標でこの水準が続くようであれば現物不動産も同様の価格下落が起きる可能性があります。
3.景気後退によって買えない人が増える
不動産の価格は需給のバランスで決まるため、コロナショックの影響が長期化して景気が後退すると買い手の減少が価格下落圧力になりかねません。不動産投資に参入したい意向があっても「収入が減ってしまった」「ローンが通らなかった」といった理由で実現できない人が多くなることも考えられます。
コロナショックがあっても不動産投資は堅実性を発揮する
株やFXなど投機的なトレードが可能な投資とは違い不動産投資は「入居者」という実需が相手の投資になります。コロナショックで株を買いたいと感じる人は減るかもしれませんが人がいる限り住居は必要です。東京など大都市圏には依然として多くの人がいるため賃貸住宅への需要がコロナショックでなくなるわけではありません。
もちろん家賃の下落圧力などは考えられますが、その分不動産の価格が下落すれば買い時の到来となり利回りの低下を防ぐことができます。収益物件を安く仕入れることができれば家賃引き下げの余地も広がるため、コロナショックが集客力アップの「武器」にもなるでしょう。こうしたメリットを味方につけることができるのは不動産投資の堅実性であり魅力の一つです。
「コロナ後」の不動産投資で意識しておきたいこと
「コロナ後」の日本経済を展望するとリセッションに入ったといっても過言ではありません。つまり不動産価格の下落が起きるのと同時に家賃の下落圧力が強まるので高値づかみをしてしまうと経営リスクにつながります。また2020年に開催されるはずだった東京オリンピックについて「オリンピック閉幕後に好調な不動産市場がピークアウトするのではないか」という説もあります。
そのオリンピックが2021年夏に延期され不動産市場の動向が読みづらくなっている一面も懸念材料の一つです。「不動産投資は物件選びが成否を決める」といっても過言ではありませんが「コロナ後」ではその傾向がより一層強まるでしょう。不動産価格が下落したからといっても「どの物件を買ってもいい」というわけではありません。
不動産投資会社の提案に対するシビアな目線はもちろんのこと自分自身でもしっかりとコロナ後の影響に関して情報収集をしながら「目利き」を身につけることがより一層重要になるでしょう。(提供:YANUSY)
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