米大手メディアのニューヨークタイムズは12日、読者に誤解を招くようなフェイクニュースや画像の誤った使われ方を防ぐブロックチェーンプロジェクトの進捗を公表した。
昨今のインターネット時代において、オンライン上に1度掲載されたニュース写真は瞬く間にあらゆる場所で反映され、元記事の文脈がない場合や、意図的に誤解を与えるような情報が含まれていることもしばしば見受けられる。
そういった状況を防ぐため、ニューヨークタイムズの研究開発チームはフェイクニュース撲滅を目指す目的で「The News Provenance Project」をIBMと共同で昨年7月に立ち上げた。
このプロジェクトでは、ブロックチェーン上で写真のメタデータを記録し追跡できるようにすることで、その写真の信頼性を明らかにしようと試みている。
プロジェクトのプロトタイプでは、報道機関が写真の出所を把握した上で、その写真を記事に掲載する際に責任を負うものとするシナリオの元、架空メディアとSNSでネットワークを構成し実施。
架空のSNS上には、「写真がどこで誰が撮ったのか」「どのメディアから発信されているのか」といった、使用されている写真に関する情報を確認できる仕組みが採用されている。
プロトタイプをユーザーにテストした結果、同紙は「ソーシャルメディアの写真について情報に基づいた判断をしてもらうのに効果的であった」と説明した。
一方で、ブロックチェーンの有用性を活用するにはまだまだ解決すべき問題もあるという。
プロトタイプでは写真の記録変更が自動承認されるシンプルなスマートコントラクトを用いたが、実際には変更を検証するためにより複雑な仕組みになる可能性がある。
今回は写真についての検証だったが、動画や音声記録についても応用できる可能性があるとのことだ。(提供:月刊暗号資産)