新型コロナウイルスが世界で再び猛威を振るってきた。米テキサス州では過去最多の入院患者を記録したほか、中国・北京市でも第2波の懸念を強めている。ブラジルなど新興国でも感染者が増加傾向にある状況。検査体制やワクチン、治療薬の開発動向を整理したい。

新型コロナ,ワクチン
(画像=PIXTA)

欧米では新型コロナの患者数の増加ペースが落ち着いてきたことから、ロックダウン(都市封鎖)を解除し経済活動を再開する動きが相次いでいた。その効果は目覚ましく、直近5月の米小売売上高(季節調整後)は前月比17.7%増と1992年の統計開始以来の最大の上昇を記録した。

ただ、人々の活動が盛り上がるのと同時に、新型コロナが再燃している。全米第2位の人口を抱えるテキサス州では17日の入院患者数が2793人と11日と比べて約30%拡大した。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、新型コロナの世界全体の感染者数は、18日時点で826万人に達した。

ただ、感染拡大を遅らせるのに有効だったロックダウンの経済への悪影響はあまりにも大きい。カドロー米国家経済会議(NEC)委員長はロックダウンを再導入しない考えを示しており、第2波への対抗手段としてはワクチン開発が最重要になる。日本でも、厚生労働省が新型コロナの抗原検査の検体に、唾液(だえき)の使用を認めて保険適用にする方針だと伝わった。

この日は、イワキ(8095)が子会社の手掛ける抗炎症薬「デキサメタゾン」投与による新型コロナの死亡率低下を材料に年初来高値を更新した。アンジェス(4563・M)も大阪府が30日にも臨床試験を開始するとしたことを手掛かりに再注目された。各国がワクチン確保に向けた取り組みを強化しており、関連銘柄からは目が離せない。

富士フイルムホールディングス(4901)は治療薬候補「アビガン」の生産増に向けて動いている。原料を手掛けるデンカ(4061)、中間体のダイトーケミックス(4366・(2))も引き続きマークしたい。「フサン」と関連するイワキや日医工(4541)も有力だ。

このほか、「フオイパン」の小野薬品工業(4528)や「オルベスコ」の帝人(3401)のほか、ワクチン製造のタカラバイオ(=タカラBIO、4974)、治験支援のアイロムグループ(2372)、米メルク<MRK>と共同研究に入ったペプチドリーム(4587)なども押さえておきたい。また、抗原検査のキットでは、富士レビオを傘下に擁するみらかホールディングス(4544)が強い。(6月19日株式新聞掲載記事)

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