上海で行われた第12回陸家嘴フォーラムのセッションで、シンガポール通貨管理局(MAS)の孟文能(Ravi menon)長官が「デジタル通貨分野で中国と協力できることを楽しみにしている」と発言し、中国が開発しているデジタル通貨(CBDC)に協力する方針を示した。

孟氏は陸家嘴フォーラムで、中国がデジタル通貨開発を盛んに行なっていることについて触れ、シンガポールはこの点で中国と情報の共有を積極的に行い、中国と協調する準備がすでにできていると発言した。

パズル
(画像=月刊暗号資産)

現在、シンガポールではシンガポールドル(SGD)をブロックチェーン上で発行する「Ubin Project」が進行している。

孟氏は、このプロジェクトの目的はセキュリティを確保しつつ、国境を超えた取引時の決済コストと時間の短縮をすることだと説明している。

Ubin Project構想のプロトタイプは、世界的投資銀行のJPモルガンとシンガポール政府の投資企業Temasekが共同で開発をしている。

MASはプロトタイプのプラットフォームに関して昨年、企業のコスト削減の手段という目的に沿っているか見極め、他のブロックチェーンアプリケーションとの互換性を確認するテストを行っていると説明していた。

孟氏はフォーラムで、Facebook社が主導する独自暗号資産「Libra」についても言及。

中央銀行システムへの大きな挑戦だとしたものの、大きな柔軟性を持っていると指摘し、Libraの価値を拒絶するのではなく、より多くの議論をすべきだというスタンスを示した。

Libraプロジェクトでは当初からシンガポールドルも重要視されており、Ubin Projectに関わるTemasekもLibra協会への参加を表明している。

これに関してTemasekは「(プロジェクトの中枢である)Libra Associationにメンバーとして参加することで、コスト効率の良い決済システムを構築するための、規制に沿った国際ネットワークに貢献することができる」と発言している。(提供:月刊暗号資産