再びフェイスブック (NASDAQ:FB)が下押し圧力を受けている。人種差別に抗議する米市民団体が同社への広告停止を呼びかけており、一部の大企業は同社から広告を引き揚げている。

さらに、新型コロナウイルスの影響で広告費が減っており、同社の業績見通しが不透明であることも懸念されている。

これらを受け、同株は値を下げており、過去5営業日で8%以上下落した。

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FB週足チャート(画像=Investing.com)

フェイスブックでの広告停止を発表した大企業はどんどん増えている。

ユニリーバ (NYSE:UL)とコカ・コーラ (NYSE:KO)がフェイスブックでの広告を一時停止すると発言した後、スターバックス (NASDAQ:SBUX)やリーバイ・ストラウス (NYSE:LEVI)、ペプシコ (NASDAQ:PEP)もフェイスブックでの広告を停止すると発表した。さらに、フォード (NYSE:F)とクロロックス (NYSE:CLX)も広告の停止を表明した。

この広告ボイコットは、米国の公民権団体などが今月開始した「#憎悪を利益にするな(#StopHateforProfit)」というキャンペーンである。

スターバックスは28日、ヘイトスピーチの拡散を停止するために内部で協議を行う間、全てのSNS上での広告出稿を停止すると述べた。

株価は低迷、業績は?

このキャンペーンを受け、フェイスブックの株価は値を下げている。実際、先週245.19ドルの高値に達した後、29日の終値は220.64ドルとなっている。

焦点となっているのは、これらの広告撤回が、既に新型ウイルスの影響を受けている同社の業績に、どれほどダメージを与えるのかである。

他のソーシャル・メディア企業とフェイスブックの違いは、多様な広告主である。フェイスブックの800万人の広告主の大半は、ユニリーバやコカ・コーラのような大企業だけでなく、中小企業である。

昨年、同社の広告売上高は世界全体で697億ドルとなっている。多くの企業にフェイスブックでの広告を停止する余裕はないだろう。

これこそが、同社のマーク・ザッカーバーグCEOが、中小企業に注力している理由である。同社の26億人の顧客基盤を活用して、新たな成長分野を模索しているのだ。

Eコマース

その一環として、フェイスブックは先月、「Facebook Shops」をリリースした。このサービスは新型ウイルスの影響を受けた中小企業をターゲットとしている。このサービスによって、中小企業はフェイスブックとインスタグラム上でEコマースを開始することができる。

Facebook Shopsでは、企業がフェイスブックやインスタグラムのページ上に製品カタログを設定することができる。企業は製品カタログのみで、フェイスブックの膨大な顧客基盤にアクセスできる。

とはいえ、ヘイトスピーチに関する同社に向けられたキャンペーンは、信頼を損なう可能性が高いだろう。

Wedbush証券のアナリストであるBradley Gastwirth氏は「フェイスブックへのキャンペーンを考えると、同社のビジネスは大きく影響を受ける可能性がある」と述べた。

また、「フェイスブックは広告停止の流れに対して、迅速かつ効果的に対処する必要がある」と語った。

大企業の広告停止や新型ウイルスによる中小企業の低迷など、同社の業績は下押し圧力を受けている。同社は第2四半期売上高が1%増、第3四半期売上高が7%増と予想されており、業績の伸びが急激に鈍化したことが示唆される。

総括

フェイスブックへの広告停止キャンペーンが7月以降も続く場合、同株は他のハイテク銘柄をアンダーパフォームする可能性がある。フェイスブックはヘイトスピーチやフェイクニュース対策のために、大きな改革が必要となるかもしれない。

とはいえ、今回のキャンペーンによるダウンサイドリスクは限定的である。企業がフェイスブックを完全に離れることは難しいだろう。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス・アンワル