テスラ (NASDAQ:TSLA)の株価は、他の自動車メーカーを大きくアウトパフォームしている。同株は年初来で約3倍となっている。
1年前の同社は株価が235ドル、時価総額が約400億ドルであった。しかし、現在の株価は1208ドルを上回っている。
また、現在の時価総額は2240億ドルで、トヨタ自動車 (NYSE:TM)を上回っている。
この背景にはいくつかの要因があるだろう。1つは、同社が黒字化したことである。イーロン・マスクCEOが従業員に向けたメールによると、4-6月期は新型コロナの影響でカリフォルニア工場が閉鎖されていたものの、損益分岐点を上回る可能性があるとのこと。
さらに、同社が2日に発表した4-6月期出荷台数は9万650台となり、アナリスト予想の8万3000台を上回った。
この報道を受け、同株は9.7%高の1228ドルとなった。3日の終値は1208.66ドル。近年、テスラほど市場から高い評価を受けた自動車会社はなかった。
しかし、1年前の同社は深刻な危機に陥っていた。キャッシュは流出し社債利回りは上昇、小売戦略も混迷していた。2019年3月時点のテスラの現金は22億ドルであったが、現在は80億ドル以上となっている。
EV市場をリード
テスラ株の高騰の要因として、電気自動車市場における優位性である。他社がテスラにEV市場ですぐに競合するのは難しいと見られている。
電機自動車のバッテリーに特化したコンサルティング会社のCairn Energy Research Advisors社によると、テスラは品質の良いバッテリーを低コストで製造することができるという。また、テスラの技術的優位性は、円筒型のバッテリーセルやバッテリーを制御するソフトウェアにあるとのこと。
Wedbush証券のアナリストであるDan Ives氏は、目標株価を1250ドルに設定している。また、今後12カ月から18カ月の間にEVの販売が加速するとの予測や、ギガファクトリー3で生産される革新的なバッテリーを考慮すると、テスラ株の高騰は正当化されると考えている。
Ives氏は「我々の意見では、新型コロナが流行する中での9万台を上回る出荷台数はとても素晴らしく、今後も株価は上昇を続けるだろう」と述べた。
「我々の分析に基づくと、中国の工場が4-6月期の出荷台数に大きく寄与した」
Ives氏によると、中国におけるモデル3への高い需要は「世界におけるマクロ的環境が暗い中、同社の希望となる」とのこと。
しかし、テスラの時価総額を正当化することは難しいかもしれない。アナリストの平均的な目標株価は現在の水準を40%以上下回っている。
実際、マスクCEOでさえ、同社の株価は高すぎると示唆している。4-6月期の出荷台数が9万台を上回ったとはいえ、前年同期を下回っている。
1-3月期決算では、売上高が3億5400万ドル、純利益が1600万ドルとなった。しかし、同四半期のフリーキャッシュフローはマイナスとなっていた。
総括
留意すべきことは、テスラのこれまでの値動きは右肩上がりではなかったことだ。2018年以降、2度の大きな売り圧力を受け、その度に株価は50%程下落した。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス・アンワル