日本銀行は30日、「中央銀行デジタル通貨の技術面での基本事項に関する情報提供依頼」と題した文書を発表した。

文書発表の狙いは、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の開発にあたり技術面での検討を行う際に参考にするため「ITシステムの開発や製品・サービスの提供を行う事業者」に対し、情報提供を求めるためだ。

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(画像=Shutterstock)

文書の冒頭では、「日本銀行は、現時点においてCBDCを発行する計画はありません」と断りを入れた上で、「決済を取り巻く技術環境の変化のスピードは速く、今後の社会のニーズの変化に的確に対応できるよう、中央銀行としてしっかりCBDCについて検討していくことが重要であると考えています」と、「検討課題」であることを明らかにした。

今回の文書発表にあたり、日銀は情報提供者に対し「情報依頼書」を貸与する。依頼書の交付期間は7月30日から8月31日までとし、情報提供資料の提出期限は9月18日までとしている。

日銀は、「現時点でCBDCを発行する計画はない」と表明しているものの、水面下では、世界各国が開発を進めているCBDCに乗り遅れないように強く関心を寄せている模様だ。

29日、日本記者クラブで行われた日銀の雨宮正佳副総裁の講演では、CBDCについて「将来必要になった時に的確に対応できるように準備する観点から、一段ギアをあげて検討を進めていく必要があると考えています」と述べられている。

雨宮副総裁は同講演の中で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により「キャッシュレス化・決済のデジタル化への関心をさらに高めることを通じて、決済システムの面でもイノベーションを促す可能性があります。日本銀行としても、デジタル社会に相応しい決済システムのあり方をしっかりと考える必要があります」と言及。その上で、この点に関して、中央銀行が発行するいわゆる「中銀デジタル通貨」も重要な検討課題の1つです」と述べている。

また29日付の朝日新聞で、日銀の決済機構局長である木村武氏がインタビューに答える形で、決済機構局内に今月20日、約10人のデジタル通貨グループを設けたことに触れ「(CBDCの検討は)日銀として当面の最優先事項の1つと位置づけて取り組む」「準備のステージから一段レベルを引き上げて検討を進める」と語っている。

日本におけるCBDCの発行は、日銀だけでなく日本政府も本腰を入れ始めている。17日、閣議決定した経済財政運用の指針「2020年度の骨太の方針」において、初めて中央銀行デジタル通貨について言及。

「日本銀行において技術的な検証を狙いとした(CBDC)の実証実験を行うなど、各国と連携しつつ検討を行う」との表現で、日銀に対しCBDCへの取り組みを求める姿勢を明確にした。

今年に入ってから、CBDCについて政府や日銀の関係者から言及されることが増えてきている。また、「検討」という言葉が多く使われ始めてきた。

これまでCBDCについて、政府や日銀にとって調査段階だったものが、最近になって検討課題になった。これを受け、日銀はCBDCの開発・発行について、技術面の課題を見つけるために実証実験も開始する予定だ。

今月に入って日銀の幹部が、CBDCについて「一段ギアをあげて検討を進めていく必要がある」「準備のステージから一段レベルを引き上げて検討を進める」と述べるなど、本格的に取り組む姿勢が見られてきた。

日銀は、今回発表した文書の中で「決済を取り巻く技術環境の変化のスピードは速く、今後の社会のニーズの変化に的確に対応できるよう、中央銀行としてしっかりCBDCについて検討していくことが重要であると考えています」と、同行の見解を述べている。(提供:月刊暗号資産