米国株に比べると情報量が少ない中国株でも、ETFならそれほど気にせず購入し、保有し続けることができる。ここでは、初心者でも気軽に買える中国ETFランキングTOP10を紹介する。高い成長率で脚光を浴びる中国市場のETFを購入する際のポイントや、注意点も含めて紹介していこう。

目次
1,中国ETFの5つの特徴
2,中国ETFを選ぶ3つのポイント
3,初心者におすすめの中国ETFランキングTOP10!
4,中国株を購入するときの2つの注意点
5,中国ETFで気軽に世界中の企業に投資する

1,中国ETFの4つの特徴――香港ドル資産でリスク分散、リターンにも期待

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(画像=MQ-Illustrations/stock.adobe.com)

香港証券取引所に上場する中国籍のETFを選んで投資する理由は、中国ETFが持つ特徴にある。まずは、中国ETFの特徴とメリットをしっかり確認しておこう。

特徴1,香港ドル資産なので、円資産とのリスク分散ができる

香港市場に上場するETFを保有することは、香港ドル建ての資産を保有することでもある。中国ETFを保有することには、資産を円資産と香港ドル資産にリスク分散できるというメリットがあるのだ。

特徴2,立会時間中なら、いつでもリアルタイムで売買できる

同じようなファンドでありながら、投資信託よりETFのほうが優れている点は、取引所の立会時間中なら、いつでも売買できることだろう。まずは、中国市場で取引ができる時間を確認しておこう。

中国ETFを取引できる時間帯

  日本時間 現地時間
オープニング・セッション 10:00~10;30 9:00~9:30
前場 10:30~13:00 9:30~12:00
昼休み 13;00~14:00 12:00~13:00
後場 14:00~17:00 13:00~16:00
クロージング・オークション・
セッション
17:00~17:10 16:00~16:10

中国と日本の時差は、1時間しかない。そのため中国株や中国ETFの取引は、日本の日中の時間帯に行うことができる。

日本の昼休みの時間帯でも取引ができる。また日本が祝日でも、中国市場が開いていれば取引ができる。米国市場と違って中国市場は、日本の日中にリアルタイムで取引できることが強みだ。

特徴3,情報収集の難易度を下げてくれる

中国ETFも他国のETFと同様に、対象指標の値動きに連動するように設計されている。そのため、テレビで報道されるマーケット情報の株価指数を見れば、わざわざ個別のETFの値動きを確認する必要がない。特に中国市場は日本や米国のマーケットと違って情報収集が難しいため、個別銘柄よりもETFのほうが初心者には安心だろう。

保有している間は運用会社がすべて管理してくれるので、対象指標の株価指数をチェックするだけで済むので簡単だ。

特徴4,少額投資でもリスクを分散できる

中国ETFを含むETFがベンチマークとする株価指標は、さまざまな国または地域、業種の多くの銘柄で構成されている。そのため、ETFに組み込まれている銘柄も複数にわたるため、ETFを1売買単位(数万円~30万円弱)だけ保有しても、分散投資をしたことになる。

中国通ならいざ知らず、中国企業についてあまり詳しくない人は、まずは中国ETFの購入を検討するといいだろう。

2,中国ETFを選ぶ3つのポイント――信託報酬、流動性、純資産額

香港証券取引所に上場するETFは、米国ETFや国内ETFほど多くない。出来高が極端に少ない銘柄や、純資産総額が小さい銘柄もある。

安全で希望に沿った中国ETFを購入するために、以下の3点をしっかりチェックすることをおすすめしたい。

チェックポイント1,同一指標に連動する銘柄は信託報酬が最も安いものを選ぶ

ETFの主なコストは信託報酬なので、これが安ければ運用にかかるコストを抑えられる。

同じ指標に連動する中国ETFが複数あれば、迷わず信託報酬が最も安い銘柄を選ぼう。これによって、信託報酬による利益の圧迫を最小限に抑えられる。

チェックポイント2,流動性の高い銘柄を選ぶ

売買したいタイミングで希望する条件で取引ができることは、継続的に取引が行われる市場取引の大きなメリットだ。このメリットを担保するのは、流動性の高さだ。中国ETFにおいても、それは変わらない。

ETFの流動性を確認するには、「出来高(売買高)」や「売買代金」を見るといいだろう。出来高が極端に少ない銘柄は避けたほうがいい。中国ETFの銘柄ごとの取引状況は、ネット証券サイトにログインして、個別銘柄ページで確認できる。

チェックポイント3,純資産額が大きい中国ETFを選ぶ

複数の銘柄の中からどれを選ぶべきか迷ったら、候補に挙がっているETFの純資産額を比較して、純資産額が大きいETFを選ぶようにしよう。

純資産額が大きなファンドは効率的に分散投資を行うことができるため、リスク分散効果が高くなる。人気があり、継続的に取引が行われるため、保有期間中に上場廃止になるリスクも低い。

純資産額が小さなETFは出来高が少なく、上場廃止になるリスクもある。上場廃止になると、預けた資産は時価評価額で返還されるが、値上がり益は期待できない。

3,初心者におすすめの中国ETFTOP10!経費率0.10%のトラッカー・ファンド・オブ・ホンコンなど

ここからは、実際にETFを購入する際に参考になるランキングや銘柄の詳細を解説していく。

楽天証券サイトの検索機能を使って、香港証券取引所に上場する香港籍のETFを絞り込むと29件が抽出された。29件を経費率が低い順に並べ替えて、上位15銘柄程度に絞り込む。この中から、極端に出来高が少ない、純資産総額が小さいなど、円滑な売買に支障をきたす銘柄を除外すると、上位10銘柄は以下のようになる。

おすすめの中国ETFTOP10(2020年7月22日終値ベース)

順位 銘柄名
<コード>
最低買付金額
(1香港ドル
=13円換算)
経費率 出来高 純資産総額
(1香港ドル
=13円換算)
1 トラッカー・
ファンド・
オブ・ホンコン
<02800>
1万
2,680
香港ドル
(16万
4,840円)
0.1% 5,041万
1,461口
859億3,795万
香港ドル
(1兆1,171
億9,335万円)
2 ハンセン・
インデックス・
ETF<02833>
2,540
香港ドル
(3万
3,020円)
0.1% 62万
7,100口
450億1,835万
香港ドル
(5,852億
3,855万円)
3 バンガード・FTSE・
アジア
(除く日本)ETF
<02805>
2,420
香港ドル
(3万
1,460円)
0.2% 6万
9,500口
4億7,441万
香港ドル
(61億
6,733円)
4 ミレーアセット・
ホライゾンズ MSCI 
中国 ETF<03040>
3,790香港ドル
(4万
9,270円)
0.31% 4万口 8億1,693万
香港ドル
(106億
2,009万円)
5 バンガード・FTSE・
アジア
<除く日本>
高配当株式ETF
<03085>
2,010香港ドル
(2万
6,130円)
0.35% 7,550口 2億8,515万
香港ドル
(37億
695万円)
6 iシェアーズ・コア
MSCI チャイナ・
インデックス ETF
<02801>
5,976香港ドル
(7万
7,688円)
0.36% 7万
4,481口
8億573万
香港ドル
(104億
7,449万円)
7 ミレ―アセット・
ホライゾンズ・
ハンセン高配当利回り ETF<03110>
2,370
香港ドル
(3万
810円)
0.39% 5,200口 1億1,673万
香港ドル
(15億
1,749万円)
8 db xトラッカーズ
MSCI ワールド
インデックス
UCITS ETF<03019>
6,500
香港ドル
(8万
4,500円)
0.45% 1,125口 3,867万
香港ドル
(5億
271万円)
9 iシェアーズ MSCI
エマージング・アジア・
インデックス ETF
<02802>
1万1,244
香港ドル
(14万
6,172円)
0.59% 9,800口 3,591万
香港ドル
(4億
6,683万円)
10 ハンセン・エイチ・
シェア・
インデックス・
ETF<02828>
2万710
香港ドル
(26万
9,230円)
0.65% 369万
845口
223億
3,961万
香港ドル
(2,904億
1,493万円)

ランキング表を見ると、経費率が低いETFは出来高が多く、純資産総額も大きく、人気があることがわかる。1売買単位の最低買付金額も数万円程度のものがあり、自分の予算に合わせて選ぶことができる。

人気のあるETFなら、今後も安定的に運用されることが見込まれるので、長期保有でのんびり値上がり益が出るのを待ったり、分配金を楽しみに保有したりするのもいいだろう。

第1位,トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン<02800>――香港市場を代表するH株で構成

投資運用会社は、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・アジア。本ETFの設定は1999年11月で、比較的早い時期に上場した中国ETFだ。対象指標は、ハンセン・インデックス社が算出・公表している「香港ハンセン指数(恒生指数)」で、香港市場のインデックスとしては最も古い株価指標の一つである。

ハンセン指数は香港証券取引所を代表するH株33銘柄で構成されており、トラッカー・ファンド・オブ・ホンコンはハンセン指数のパフォーマンスに連動するように運用されている。経費率は0.1%であり、中国ETFの中では最低水準に設定されている。

売買単位は500口、2020年7月22日終値ベースでは、最低買付金額は1万2,680香港ドル(16万4,840円相当。以降、すべて1香港ドル=13円で円換算)である。直近1年間で分配金は2回、1口当たり0.87香港ドル(約12円)が支払われている。

第2位,ハンセン・インデックス・ETF<02833>――香港ハンセン指数に連動

2004年9月に設定されたファンド。「香港ハンセン指数」のパフォーマンスに連動するように運用されている。同じくハンセン指数を対象指標とするトラッカー・ファンド・オブ・ホンコンと同じく、経費率は0.1%と最も低い。

売買単位は100口、最低買付金額は2,540香港ドル(3万3,020円)である。分配金の支払いは年4回、直近1年間で1口当たり0.76香港ドル(約10円)が支払われている。

第3位, バンガード・FTSE・アジア(除く日本)ETF<02805>――FTSEアジアパシフィック・インデックスに連動

バンガードが運用する香港市場に上場するETF。「FTSEアジアパシフィック(除く日本・オーストラリア・ニュージーランド)インデックス」に連動する投資成果を目指して運用されているファンドであり、日本以外のアジア地域が投資対象。

FTSEはロンドン証券取引所の100%子会社で、インデックスプロバイダー。バンガード・FTSE・アジア(除く日本)ETFの対象指標は、FTSEが算出・公表している「FTSEグローバル・エクイティ・インデックス・シリーズ(GEIS)」の派生インデックスである。

売買単位は100口、最低買付金額は2,420香港ドル(3万1,460円)。分配金の支払いは年4回、直近1年間の1口当たり分配金総額は0.37香港ドル(約5円)である。

第4位,ミレーアセット・ホライゾンズMSCI中国 ETF<03040>――MSCI中国指数に連動

香港の独立系投資運用会社、ミレーアセットの「ホライゾンズ」シリーズのETF。MSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出・公表する「MSCI中国指数」のパフォーマンスに連動するように運用されている。MSCI中国指数の構成銘柄は、すべて中国株式である。

売買単位は100口、最低買付金額は3,790香港ドル(4万9,270円)。直近1年間の分配実績はなし。

第5位,バンガード・FTSE・アジア<除く日本>高配当株式ETF<03085>――日本、AUS、NZを除いたアジア各国の高配当銘柄で構成

バンガードが運用する中国ETF。対象指標は、FTSEが算出・公表する「FTSEアジアパシフィック(除く日本・オーストラリア・ニュージーランド)ハイディビデンド・イールド・インデックス」である。本指数は日本、オーストラリア、ニュージーランドを除くアジアの国々の高配当銘柄ばかりを集めて構成されている。

売買単位は100口、最低買付金額は2,010香港ドル(2万6,130円)である。直近1年間の1口当たりの分配金総額は、0.73香港ドル(約10円)。

第6位, iシェアーズ・コアMSCIチャイナ・インデックス ETF<02801>——香港市場のH株やレッドチップ、本土市場B株で構成

ブラックロックが運用するiシェアーズシリーズのETF。「MSCIチャイナ・インデックス」のパフォーマンスに連動するように運用されている。MSCIチャイナ・インデックスは、香港証券取引所に上場するH株、レッドチップ株、P株、および上海証券取引所と深セン証券取引所のB株で構成されている。

売買単位は200口、最低買付金額は5,976香港ドル(7万7,688円)である。分配金は年1回、直近1年間の1口当たりの分配金総額は0.29香港ドル(約4円)。

第7位, ミレーアセット・ホライゾンズ・ハンセン高配当利回りETFF<03110>――ハンセン指数構成銘柄のうち高配当利回り銘柄で構成

ミレーアセットが運用する香港籍のETF。対象指標は「ハンセン高配当株式インデックス」であり、香港証券取引所に上場する高配当利回り銘柄で構成されている。

売買単位は100口、最低買付金額は2,370香港ドル(3万810円)。直近1年間で分配金は1回、0.11香港ドル(約2円)の分配を実施している。

第8位, db xトラッカーズMSCIワールドインデックスUCITS ETF<03019>――先進国23ヵ国の大型・中型株で構成

ドイツ銀行が運用する「db xトラッカーズETF」シリーズのETF。対象指標である「MSCIワールド・トータルリターン・ネット・インデックス」のパフォーマンスに連動するように運用されている。本指数は、主に先進国23ヵ国の上場株式の85%を占める大型・中型株で構成されている。

売買単位は125口、最低買付金額は6,500香港ドル(8万4,500円)である。直近1年間の分配実績はない。

第9位, iシェアーズMSCIエマージング・アジア・インデックス ETF<02802>――構成銘柄は日本を除くアジア新興国の中型・大型株

ブラックロックが運用するiシェアーズシリーズの中国ETF。「MSCIエマージング・アジア・インデックス」を対象指標とする。MSCIエマージング・アジア・インデックスの対象地域は、日本を除くアジア地域の新興国市場である。構成銘柄には同地域全市場の大型・中型株が含まれ、同地域全体の時価総額の約85%を占める。

売買単位は200口、最低買付金額は1万1,244香港ドル(14万6,172円)。直近1年間に1回、0.76香港ドル(約10円)の分配金が支払われている。

第10位,ハンセン・エイチ・シェア・インデックス・ETF<02828>――構成銘柄はハンセン指数に採用されているH株

ハンセン・インベストメント・インデックス・ファンド・シリーズの香港籍ETF。対象指標は、「ハンセン中国企業(H株)指数」である。ハンセンH株指数は、香港ハンセン指数構成銘柄のうち、厳選されたH株(香港市場に上場する登記地が中国本土の企業)40銘柄で構成されている。

売買単位は200口、最低買付金額は2万710香港ドル(26万9,230円)。直近1年間に2回、1口当たりの分配金総額は2.52香港ドル(約33円)支払われている。

4,購入するときの2つの注意点――香港ドル以外の基準通貨と節税対策

上記のおすすめ銘柄TOP10以外にも、経費率、出来高、純資産総額を総合的に見て合格点の銘柄を見つけたら、以下の2点についても検討してほしい。

注意点1,基準通貨が香港ドル以外の銘柄はできれば避ける

おすすめ銘柄TOP10には、香港ドルが基準通貨になっている銘柄を選んだ。香港籍のETFには、銘柄によっては基準通貨が香港ドルではなく、中国元や米ドルの銘柄もある。このような銘柄は、場合によっては為替スプレッドが余分にかかってしまったり、仕組みがわかりにくかったりすることがあるので、避けておいたほうがいいだろう。

香港ドル以外の通貨が基準通貨になっている銘柄を購入する際には、事前に利用するネット証券に、為替振替の流れや為替スプレッド、分配金の受取通貨などについて確認しておこう。

注意点2,分配金の節税対策にはNISA口座を利用する

香港証券取引所に上場しているETFには、分配金が出る銘柄がある。香港では、原則的に分配金は非課税だ。しかし、国内では受け取った分配金から、その都度所得税や住民税が徴収される。

せっかくの分配金を減らさないように、非課税口座のNISA口座で中国ETFを買い付けることをおすすめしたい。NISA口座では売却益も非課税なので有利だ。

5,香港市場から、中国ETFで気軽に世界中の企業に投資する

香港証券取引所に上場しているとはいえ、中国企業に関する情報の少なさや、外交上の不安要素もあり、中国の個別銘柄への投資を躊躇する人もいるかもしれない。

しかし、インデックス型ファンドのETFであれば、大きなリスクを負うことなく、香港市場から世界中の成長企業に分散投資ができる。

香港市場は基本的に非課税なので、長期保有を前提としたETFなら、為替リスクを最小限に抑えながら資産形成ができるはずだ。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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