暗号資産取引のソリューション開発を行うINX Limited (INX)は20日、セキュリティートークンの新規株式公開(IPO)を開始すると発表した。

これによりINXのIPOは、SECに登録された最初のトークンセールとなる。

INX
(画像=月刊暗号資産)

公式発表によると、最大1億3,000万のINXセキュリティトークンのIPOを行い、最低投資額を1,000ドル、1トークンあたり0.90ドルと設定し、募集は2020年8月24日以降に開始するとされている。

調達した資金は主に規制下で暗号資産、セキュリティトークン、およびそれらのデリバティブを含むブロックチェーンを用いた資産取引をするINX Trading Solutionsの継続的な開発と運営、現金準備基金の設立に充当する予定とのこと。

2017年に設立されたINXは英国・ジブラルタルに拠点を置く民間企業で、2018年に初めてIPO計画を明らかにし、2019年8月に米国証券取引委員会(SEO)に目論見書の草案を提出している。

同社を牽引しているのは、Alan Silbert(アラン・シルバート)氏で、顧問にはビットコインセキュリティーサービス・CasaのCTOであるJameson Lopp氏や、Blockstreamの最高戦略責任者Samson Mow氏、取締役にはNASDAQ元副会長のDavid Weild氏、投資家にはライトコインを開発したCharlie Lee氏など、暗号資産や金融業界の著名人が名を連ねている。

これまでICOやSTOといった資金調達を行う場合、多くの事業者はSECへの通知を行っていなかった。

そのためSECはトークンによる資金調達を行なった事業者を相手取り、未登録証券を違法販売したとして多数の訴訟を起こしている。

一部の事業者はSECへの登録要件を回避するため、裕福な投資家に資金調達の存在を事前に教え、後にSECへ通知を送っていた。

しかしINXが行うIPOでは、SECに登録されたトークンをIPO形式で資金調達するため、画期的である。また通常IPOは確立した収益のある企業が立ち上げるが、INXはまだ製品化前の段階でありIPOとしても異例となる。

これら募集に係る目録は、証券取引委員会のウェブサイトから無料で閲覧することができる。

なお、有価証券に関する登録届出書はSECに提出されているが、まだ有効にはなっていないという。

この効力が有効になるまではトークンの販売は行われず、買い付けの申し込みもできないとINXは説明している。(提供:月刊暗号資産