帝国データバンク
(画像=PIXTA)

コミットメントライン契約締結136社
~ 新型コロナ背景に前年の5.2倍に ~

はじめに

コロナ禍を背景に、上場企業の資金調達に伴う情報開示が増えている。上場企業では、現時点において新型コロナによる重大な影響を受けていなくても、今後の業績見通しの判断が難しい状況に置かれているため、手元資金を厚めに確保するケースが多くなっているようだ。資金調達の手段は様々だが、近頃上場企業の適時開示情報でよく目につくのが「コミットメントライン契約」の締結。同契約の特徴は、企業が金融機関と契約を結び「あらかじめ設定された期間」かつ「融資枠内」であれば審査なしで融資を受けられる約束(コミット)をする契約で、金利とは別に手数料がかかるものの、スムーズな資金調達が可能になるとともに金融機関と当該企業の関係性を判断するひとつの指標となる。

帝国データバンクでは2020年1月1日から7月31日までの適時開示情報から、コミットメントライン契約の締結を公表した上場企業を集計した。同様の調査は今回が初めて。

■コミットメントライン・・・一定期間において貸出極度を設定し、その範囲内であれば何度でも資金の借入・返済ができる融資形態

調査結果

1 コミットメントライン契約の締結を公表した上場企業は、2020年1月1日から7月31日までに累計136社判明。そのうち新型コロナの影響への備えを理由としたことが確認できたのは84社

2 コミットメントライン契約の合計金額は約1兆7933億円。そのうち新型コロナの影響に備えた契約金額は約1兆1044億円

3 業種別に社数をみると、「サービス業」が34社で最多。次いで「その他」33社(「その他」は持ち株会社31社を含む)となった。契約金額の合計では「その他」が最多(約6214億円)となり、次いで「製造業」(約4807億円)となった