イーサリアムの開発会社ConsenSysが、J.Pモルガンが開発した企業向けブロックチェーンプラットフォームであり、オープンソースソフトウェア(OSS)である「Quorum(クオラム)」の買収を完了したことを発表した。
Quorumはイーサリアムをベースに開発されており、取引の秘匿化やアクセス制御機能が備えられた許可型のブロックチェーンだ。
過去にはルイ・ヴィトンと協力し高級ブランドの真贋証明に使用され、300以上の銀行が加入するリアルタイムな銀行間情報ネットワーク(INN)などに用いられるなど、様々なユースケースが見られている。
今回の買収によりConsenSysの全ての企業向けイーサリアムプロトコル技術はQuorumブランドと統合され、開発者は基礎となる技術スタックを選択できる。またQuorumはOSSのまま他の主要なブロックチェーン製品と相互運用が可能になるとしている。
ConsenSysとJ.PモルガンはEnterprise Ethereum Alliance(EEA)の設立を主導した他、イーサリアムのクライアントであるHyperledger BesuのLinux Foundation導入支援、Quorum上に構築された企業向けのアプリケーションを共同開発するなど、長い間協力関係を持っていた。
ConsenSysのCEOであるJoseph Lubin(ジョセフ・ルービン)氏は両社の協力関係について、「イーサリアム最初のブロックが採掘され、ConsenSysが設立される前からお互いが協力している」とし、多目的なパートナーシップを今後も継続していくと語っている。
J.PモルガンはConsenSysによる買収に加え、ConsenSysへの戦略的投資を行うと発表文で述べており、開発者が次世代ネットワークを構築し、企業がより強力な金融インフラの立ち上げができるようサポートしたいとのことだ。ただし、具体的な金額までは明らかにされていない。
ロイター通信によると、JPモルガンのブロックチェーン担当でグローバルヘッドであるUmar Farooq(ウマル・ファルーク)氏はインタビューで、「Quorumチームは買収後もJ.Pモルガンに残り、今後1年間は移行支援に従事する。その後、他のブロックチェーンプロジェクトに取り組むことになるだろう」と語っているという。(提供:月刊暗号資産)