「iDeCoで毎月積み立てているけれど、運用成績がどうなっているか心配」という人もいるでしょう。iDeCoの中でも投資信託の商品の価格は一定ではなく、上がることも下がることもあります。

今回は、iDeCoの運用成績をどうチェックすればいいか、どのように向き合ったらいいか、を解説します。

iDeCoは頻繁に運用成績を見なくても問題ない

iDeCo,運用成績
(画像=PIXTA)

結論から言うと、iDeCoの運用成績は頻繁に確認する必要はありません。

長期の積立投資なので短期で売買することはない

iDeCoで積立投資をする目的は、老後のための資産を形成すること。株式やFXの短期トレーダーのように、毎日売買するような投資スタイルとは違います。

数万円を毎月積み立てて、年間で数十万円、10年で数百万円といった資産を築いていくのが一般的です。短期で売買することがない以上、毎日のように運用成績をチェックしなくてもまったく問題ありません。

四半期に1回または半年に1回程度、運用成績をチェック

iDeCoの運用成績は、通常は半年に1回、多くても四半期に1回チェックすれば十分です。いつまで経ってもまったく利益が伸びない投資信託があるなら、その時に商品の入れ替えを考えればいいのです。

運用商品を変更することをスイッチングといい、商品の一部を売却して別の商品を購入することになります。売却する際、信託財産留保額が設定されている場合は手数料が差し引かれるので注意してください。

iDeCoの運用成績はここをチェック!

運用成績といっても、具体的にどこを見ればいいのかわからない人も多いでしょう。そこで、iDeCoの運用成績で見るべきポイントを解説します。

・月次単位で運用状況を確認
iDeCo口座を保有している証券会社のサイトにログインすれば、資産の全体の増減や、商品ごとの増減を簡単にチェックできます。

さらに細かく見たい場合は、月次レポートを活用しましょう。これは、運用会社が状況を公表するために任意で毎月発行している運用レポートです。

投資環境がどう変化しているのか、商品の運用状況がどうなっているのかをチェックできます。

・基準価額と純資産額の増減を見る
具体的な数字については、基準価額と純資産をチェックしましょう。基準価額とは投資信託の値段のことで、純資産額は基準価額に販売口数をかけたものです。

基準価額と純資産の関係について、具体例で説明します。Aさん・Bさん・Cさんが、それぞれ10万口・15万口・20万口を購入し、総数45万口のファンド(投資信託)があったとします。

運用会社へ支払う費用を差し引いた純資産総額が90万円だとすると、このファンドの基準価額は、以下ように計算できます。

純資産総額90万円÷総口数45万口=2.0円 1万口当たりの基準価額2万円

基準価額・純資産とも、時系列で見て上昇傾向にあることが望ましいです。月ごとの増減ではなく、半年・1年・3年といった中長期で伸びているかどうかを確認しましょう。

・分配金が出るかどうか
ファンドによっては、分配金が出るものもあります。定期的に収益が得られるメリットがある一方で、基準価額が下がる要因にもなります。分配金が出ることで、純資産額が減少するからです。

分配金は、実質的には投資資金の一部の払い戻しです。基準価額が下がったときは、分配金が出ていないかどうか確認しましょう。

iDeCoの運用成績によってはリバランスがおすすめ

運用結果によっては、リバランスによって商品の構成割合を修正すべきケースがあります。

リバランスとは資産の割合を元に戻すこと

株式・債券・REITなど、資産の中身のことをポートフォリオといいます。運用を進めていくと、当初決めたポートフォリオの構成比率が変わることがあります。

例えば、投資信託で海外株式型と国内債券型のファンドをそれぞれ50%の割合で積み立てていたとします。3年後に海外株式が大幅に値上がりして構成比率が60%、国内株式が40%になった、というようなケースです。各資産の成長率は違うので、大きく成長をした資産の割合が大きくなります。

このようなズレを放置しておくと、リスクの取り方が当初の計画と変わってしまうので修正が必要です。上記の例では、海外株式の一部を売却し、国内株式の買い増しをして、50%ずつの割合に戻します。

リバランスにおいて、買い増しの際の手数料を心配する人がいますが、ノーロード(販売手数料なし)の投資信託ならコストを気にする必要はありません。また、売却による利益は通常課税されますが、iDeCoは売却益についても非課税です。

リバランスは多くても1年に1回で十分

当初の方針から外れた投資にならないよう、リバランスは定期的に行う必要があります。しかし、3ヵ月や半年程度で大きくズレることはあまりないでしょう。

半年に1回の運用成績のチェックと同時にポートフォリオも確認し、ズレが目立ってきた場合だけリバランスを行いましょう。リバランスは手続きなどの手間がかかるので、通常は数年に1回程度、多くても1年に1回で十分です。

リバランスをしたくない人はバランス型のファンドがおすすめ

リバランスをするのが面倒な人は、バランス型のファンドを検討してください。バランス型とは1本で複数の種類の資産に分散投資をするファンドで、以下のようなものがあります。

・e-Maxis Slim バランス(8資産均等型)
・セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
・iFree 8資産バランス

「e-Maxis Slim バランス」は、海外株式・海外債券など8種類の資産に均等に分散投資をするファンドです。「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、株式と債券の比率が50%ずつです。

バランス型のファンドの場合、リバランスは各ファンドで定期的に実施しているため、加入者が行う必要はありません。ファンドが提唱するポートフォリオに賛同できるなら、バランス型を選ぶのもおすすめです。

ただし、複数のバランス型ファンドで積み立てをしていると、構成比率の計算が複雑になります。リバランスもやりにくくなるので注意しましょう。

iDeCoの運用成績が下がったときに考えておきたい3つのポイント

投資にはリスクがあり、相場の影響も受けるので、思ったような運用成績にならないこともあります。しかし、iDeCoでは目先の成績にとらわれるのではなく、長期的な視野で考える必要があります。

下落相場でも冷静になって思い出したい、3つのポイントについて解説します。

市場が短期的に下落しても焦らないこと

株式市場が短期的に暴落した例はたくさんあります。例えば、アメリカの同時多発テロ事件(9.11)やリーマンショック、東日本大震災などです。

国内外のショッキングな出来事で相場が大きく下落しても、その後元に戻るケースが多いです。アメリカの株式市場も数十年単位で見れば、1940年代から現在までずっと成長を続けています。

短期的に下落することはよくあるので、焦る必要はありません。

iDeCoの購入はドルコスト平均法を実践していくこと

ドルコスト平均法は、定額購入法とも呼ばれます。一度に購入せずに時間を分散して、一定額を投資していく手法です。

ドルコスト平均法では、価格が安い時は購入量が多くなり、高い時は少なくなります。 購入単価を平準化することができ、高値掴みを避けられるのがメリットです。

iDeCoも長期積立であるため、ドルコスト平均法を実践していく投資手法と言えます。相場の変動に合わせて売買を繰り返すような投資スタイルではありません。

運用成績があまりに悪い場合はファンドの入れ替えも検討

iDeCoでは相場が下落傾向でも、むしろ安い値段で買えるチャンスと考えるべきです。短期的な下落に惑わされず、そのまま積み立てを継続していくことが重要です。

ただし、ファンドの成績は好調・不調が分かれるものなので、不調なものをずっと放置するのはNGです。定期的に運用成績をチェックし、思うような結果が出ていないファンドは入れ替えも検討しましょう。

運用成績をたまにチェックしながらiDeCoで積み立てていこう

iDeCoで投資する目的は、長期積立によって老後のための資産を形成することです。短期間で売買する投資ではないので、各ファンドの運用成績を頻繁にチェックする必要はありません。

運用成績の確認は半年に1回程度、たまに行う程度で十分です。ただし、資産のポートフォリオが大きく変化している場合は、リバランスも検討しましょう。

文・安藤真一郎(ライター・ファイナンシャルプランナー)
主に金融系ライターとして活動し、2019年に2級FP技能士資格を取得。マネージャンルで役立つ情報を、初心者にも分かりやすく解説することを心掛けています。関心分野は、キャッシュレス決済、積立投資、ポイ活、節約術など。

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