LINE FXは野村ホールディングスとLINE Financial が共同開発したFXサービス。短時間で口座開設できることや、LINEと連携させて相場変動などを知ることができるのが特徴だ。このLINE FXのメリットやデメリットについて、わかりやすく解説していこう。
1,LINE FXの特徴は?
最初に、LINE FXにはどのような特徴があるのか見てみよう。
特徴1,LINEの特性を活かしたサービス展開
LINE FXは、LINEの特性を活かしたサービスやサポート体制が魅力だ。
FX口座開設もLINE証券の口座があれば、最短1分で開設できる。もちろん、口座の開設は無料だ。
またLINEのメリットを活かしたサービスも展開。通知して欲しい情報、知りたい情報を指定すれば、その情報だけをLINEで通知してくれる。経済指標や相場の変動をLINEで知らせてもらえるため、取引のタイミングを逃すことが少なくなるだろう。
わからないことや困ったことがあった場合のサポート体制も充実しており、AIチャットもしくはお問い合わせフォームでいつでも問い合わせることができるため、初心者でも心強い。
特徴2,FXの基本的操作は一通り揃っている
LINEの金融サービスというと、専門業者に比べてサービスが整っていないのでは?と思う人もいるだろう。しかし口座維持手数料、取引手数料、出金手数料、ロスカット手数料、即時手数料といった、各種手数料が無料であるだけでなく、成行や指値などの注文方法はもちろんのこと、逆指値など、注文方法も豊富に用意されている。
基本的な取引がスマホから簡単にできるのは、忙しいビジネスマンにとっては嬉しいだろう。
LINE FXの基本情報
LINE FXの会社情報のFXサービスの取引ルールは、以下のとおりだ。
LINE FXの基本情報一覧表
会社情報 | 会社名 | LINE証券株式会社 |
FXサービス名 | LINE FX | |
設立 | 2018年6月1日 | |
資本金 | 200億円(資本準備金を含む) | |
自己資本規制比率 | 1,536.3%(2020年6月末) | |
口座開設数 | ―(公開情報なし) | |
預かり残高 | ―(公開情報なし) | |
口座 | 口座開設手数料 | 無料 |
口座管理手数料 | 無料 | |
入出金・振替 | 入金方法 | クイック入金、銀行振込 |
クイック入金手数料 (即時入金) |
振込手数料(会社負担) | |
出金日数 | 営業日の15:00までの出金は翌営業日、 土日祝日を含み、それ以降の出金は翌々営業日付 |
|
出金手数料 | 無料 | |
クイック入金 提携金融機関数 |
三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、 ジャパンネット銀行、楽天銀行、 住信SBIネット銀行、ゆうちょ銀行 |
|
ツール | PC版取引ツール | なし |
PC版チャート 分析ツール |
なし | |
スマートフォン版 取引アプリ |
LINE FX | |
取引 | 通貨ペアの種類 | 10種類 |
最低取引単位 | 1万単位 | |
注文1回当たりの 取引上限 |
トルコリラ/円、南アフリカランド/円 2,000万通貨 上記以外の通貨ペア1,000万通貨 合計2,000万通貨 |
|
レバレッジ倍率 | 25倍 | |
取引手数料 | 無料 | |
ロスカット手数料 | 無料 | |
注文方法の種類 | ストリーミング注文、成行注文、指値注文、 逆指値注文、OCO注文、IFD注文、 IFD-OCO注文、全決済注文 |
|
スリッページ | 事前設定可 南アフリカランド/円 1銭単位 上記以外の通貨ペア 3銭単位 |
|
ロスカット事前 通知と方法 |
証拠金維持率が140%を 下回ったときプレアラート、 証拠金維持率が120%を 下回ったときアラート、 証拠金維持率が100%を 下回ったときロスカットとなり、 事前にLINEメッセージで通知される |
|
追加証拠金発生水準 | 決済等により損失の額が差し入れている 証拠金の現金残高の額を上回った場合 |
|
追加証拠金 入金猶予期限 |
速やかに当該現金不足の額以上の現金を 入金する必要がある |
|
ロスカット発動水準 | 証拠金維持率が100%を下回ったとき | |
FXによる 利益と課税 |
「先物取引に係る雑所得等」 として申告分離課税(20.315%) |
|
サポート体制 | 無料でAIチャット、 または問い合わせフォームでサポート |
2,LINE FXのスプレッドやスワップポイントは?
LINE FXのスプレッドとスワップポイントを、主要通貨ペア別に見てみよう。
LINE FXのスプレッド
FXにおけるスプレッドは、実質的な取引手数料だ。この幅が狭ければ狭いほど、取引時の手数料は少なくなり、利益も得やすくなる。LINE FXでは、業界でも最狭のスプレッドを設定。キャンペーンが行われることもあり、その際にはさらに幅が狭くなることもある。
過去のキャンペーン時と通常時のスプレッドをまとめておこう。
通貨ペア | 通常時 | キャンペーン時 |
米ドル/円 | 0.2銭 | 0.1銭 |
豪ドル/円 | 0.7銭 | 0.4銭 |
ポンド/円 | 1.0銭 | 0.6銭 |
ユーロ/円 | 0.5銭 | 0.3銭 |
ユーロ/米ドル | 0.4pips | 0.3pips |
NZドル/円 | 1.2銭 | 0.9銭 |
南アランド/円 | 1.0銭 | 0.8銭 |
トルコリラ/円 | 1.7銭 | 1.5銭 |
ポンド/米ドル | 1.0pips | 0.6pips |
豪ドル/米ドル | 0.9pips | 0.4pips |
LINE FXの主要通貨ペア別スワップポイント
FXでは異なる2つの国の通貨を交換して利益を得るが、このとき2つの通貨の金利も交換されている。国ごとに金利に差があるため、差額を調整しなければならないからだ。この金利差の調整額が、スワップポイントである。
低金利の通貨を売り、高金利の通貨を買えば、スワップポイントを受け取ることができる。例えば、Aという通貨とBという通貨の金利差が2.0%のペアを100万円分購入した場合、1日で約54円のスワップポイントを受け取ることができ、1年間保有すれば2万円にもなる。
このスワップポイントは各FX会社で定められており、LINE FXでは以下のようになっている。
通貨ペア | 買い | 売り |
米ドル/円 | 24 | -33 |
ユーロ/円 | -30 | 21 |
英ポンド/円 | 21 | -39 |
豪ドル/円 | 12 | -30 |
NZドル/円 | 24 | -33 |
南アランド/円 | 0 | 0 |
トルコリラ/円 | 66 | -87 |
ユーロ/米ドル | -0.69 | 0.6 |
英ポンド/米ドル | -0.18 | 0.09 |
豪ドル/米ドル | -0.12 | 0.03 |
3,LINE FXの4つのメリット
スプレッドとスワップといったFX口座選びの基本を紹介したが、次からはLINE FXにあるさまざまなメリットのうち、特徴的な5つを解説していこう。
メリット1,LINEで情報が通知される
経済指標や為替レートに動きがあった場合など、取引に必要な情報をLINEで通知してくれるサービスがあるのは大きなメリット。
FXは常にマーケットが動いているが、24時間張り付いているわけにはいかない。情報を得るためには、定期的にHPなどを開いたり、ニュースを検索したりしなくてはならないが、自動的に通知がくれば、確認の時間をかなり短縮できるはずだ。LINEをする感覚で情報を得ることができるのは、忙しいビジネスパーソンなどにとって便利だろう。
通知にはお得なキャンペーン情報、指定レート通知、入出金完了通知なども届くので、取引のタイミングだけでなく、取引に関連する多くの情報をスムーズに届くようなサービスが満載だ。
メリット2,スプレッドが最狭水準
FXを取引する場合、スプレッドの幅が狭ければ狭いほど、利益は増える。LINE FXは、業界内での最狭水準のスプレッドを誇っている。
キャンペーンなども行うこともあり、その際のスプレッドはさらにお得に設定されている。参考までに各社のスプレッドを比較しておこう。
通貨ペア | LINE FX 通常時 |
LINE FX キャンペーン時 |
DMM FX | GMクリック証券 FXネオ |
米ドル/円 | 0.2銭 | 0.1銭 | 0.1銭 | 0.2銭 |
豪ドル/円 | 0.7銭 | 0.4銭 | 0.4銭 | 0.7銭 |
ポンド/円 | 1.0銭 | 0.6銭 | 0.6銭 | 1.0銭 |
ユーロ/円 | 0.5銭 | 0.3銭 | 0.3銭 | 0.5銭 |
ユーロ/米ドル | 0.4pips | 0.3pips | 0.3pips | 0.4pips |
NZドル/円 | 1.2銭 | 0.9銭 | 0.9銭 | 1.2銭 |
南アランド/円 | 1.0銭 | 0.8銭 | 0.8銭 | 1.0銭 |
トルコリラ/円 | 1.7銭 | 1.5銭 | 取扱なし | 1.7銭 |
ポンド/米ドル | 1.0pips | 0.6pips | 0.6pips | 1.0pips |
豪ドル/米ドル | 0.9pips | 0.4pips | 0.4pips | 0.9pips |
キャンペーン中であればDMM FXと同じ、通常時でも業界大手のGMOクリック証券と同じスプレッドに設定されている。
メリット3,手軽に口座を開設できる
最短3分で口座が開設できると言われているLINE FX。「本当なのか?」と思うかもしれないが、本当に短時間で口座を開設できるような工夫がなされている。
スマートフォンでQRコードを読み取ると、LINE証券のページに飛ぶので、時間に無駄がなく、あとは必要事項を入力すればいい。実際の手続きは3ステップで行うことになる。
①口座開設の申し込み
②本人確認書類(運転免許証、保険証など)、およびマイナンバーの提出
③審査
④口座開設完了通知
口座開設完了通知が届いたら、取引を始められる。
すでにLINE証券の口座を持っている場合は、②のステップなしで口座を開設できる。
メリット4,チャートがわかりやすい
LINE FXはスマホ専用のFX会社。「チャートを見ることができるといっても、パソコンより見にくいのでは……」と思うかもしれないが、パソコンにも劣らない見やすさ、操作性を誇っている。
パソコンと同じく高機能チャートで取引することができ、移動平均線やボリンジャーバンドなど、計11種類ものテクニカル指標を利用できる。パラメーターの設定を変更できるため、自分だけのオリジナルの設定で取引することもできる。
注文はリアルタイムチャートを確認しながらワンタッチで済む。タイムミングを逃すことなく、スピーディーに取引できるのでストレスがないはずだ。
4,LINE FXの3つのデメリット・注意点
口座を開設する際はメリットだけでなく、デメリット・注意点もしっかり押さえておきたい。
デメリット1,通貨ペアが少ない
日本国内にFX会社は数多くあるが、各社取り扱っている通貨ペアは、20~30ペア程度のところがほとんどだ。LINE FXが取り扱っている通貨ペアは10ペア(2020年9月14日現在)なので、やや少ないという印象を受けるだろう。
取扱いのある10ペアは、米ドル/円、豪ドル/円、ポンド/円、ユーロ/円、ユーロ/米ドル、NZドル/円、南アフリカランド/円、トルコリラ/円、ポンド/米ドル、豪ドル/米ドル。
通貨ペアが少ないと選択肢が少なくなるため、確かにデメリットと言える。しかしラインナップを見てもらえばわかるように、なじみのある通貨ペアはしっかりカバーされている。
比較的情報を得やすい国のみを扱っているのは、逆に初心者にはうれしいポイントだろう。
デメリット2,取引単位が大きい
LINE FXの取引単位は、1万通貨だ。他の会社では、最低取引単位が1,000通貨というところもある。
米ドルだと1ドル×1万通貨=で1万ドルなので、約105万円(2020年9月14日現在)を動かすことになる。
「現在の為替レート×取引数量÷レバレッジ」で、証拠金を計算してみよう。例えば1ドル105円のときに1万通貨、レバレッジ25倍で取引を行う場合は、105円×1万通貨÷25倍=4万2,000円になる。つまり円/米ドルの取引をするためには、最低でも4万2,000円が必要になるということだ。
これはレバレッジを最大にしたときの金額なので、初心者は避けるべきだろう。まずは少額からお小遣い感覚で取引したいと考えた場合、ハードルが高くなってしまうのではないだろうか。
デメリット3,デモトレードのサービスがない
FXを取り扱っている会社の多くが、実際に取引を体験するお試しサービスやデモトレードを提供している。デモトレードで事前に取引を体験しておくことで、ツール操作に慣れることができるため、操作に迷うこともなくなるし、注文ミスを防ぐこともできる。用意されている場合は、ぜひとも利用したい。
しかし、LINE FXではデモトレードが提供されていない。実際に自分のお金が動くため、ツールに慣れないうちは、その都度確認しながら取引をしなければならない。
5,LINE FXがおすすめなのはどんな人?忙しい会社員や初心者に
スマホからいつでも気軽に取引ができ、自動売買もできることから、LINE FXはFXを始めてみたいが、時間がないため最初の一歩を踏み出せなかった会社員に向いているだろう。経済情報などもタイムリーに通知されるため、本業の仕事にも大いに役立つ可能性がある。
取り扱い通貨ペアが10ペアと他社に比べて少ないのはデメリットだが、「10ペアから選べばいい」と考えることもできる。特にFXに慣れていない初心者は、通貨選びで迷うことは少なくなるはずだ。
LINE FXが取り扱っている10ペアに思い入れがあり、できるだけスプレッドの幅が狭いところで取引したい人にも向いている。スマホに慣れている若い世代が受け入れやすいことは、言うまでもない。
これらをまとめると、以下のようになる。
1.FXに興味のある初心者
2,忙しい会社員
3.他の通貨に浮気をしない、特定の通貨ペアを取引したい
4.少ない金額で大きな利益を得たい人
5,PCよりもスマホ操作に慣れている
1〜5のどれか一つでも当てはまるなら、LINE FXを検討してほしい。
執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。
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