2020年10月9日12時過ぎに西原宏一さんに直接聞いた最新の相場観と戦略をご覧下さい。(提供:羊飼いのFXブログ※チャート付き)

現在の為替相場の傾向や相場観

羊飼いのFX突撃取材
(画像=PIXTA)

米大統領選挙が実施される年において、投票の1カ月前の10月は選挙戦に大きな影響を与えるサプライズが起こることがある。 そして今回の大統領選においても、10月に入りマーケットでは「オクトーバー・サプライズ」が話題になっていた。そんな中、今回の「オクトーバー・サプライズ」はトランプ米大統領自身の感染という展開となり、マーケットは大混乱。重症化しやすい74歳という高齢、かつ不健康なファストフードの食生活であの肥満体形。加えて、ホワイトハウス内で集団感染が発生という事態に発展。ところが5日(月)、トランプ氏はワシントン近郊のウォルター・リード米軍医療センターから退院し、3日ぶりにホワイトハウスへ戻るという驚きの展開に。そして、すぐに選挙戦に戻ると発表し、新たな「トランプ劇場」が繰り広げられた。

現在の為替相場の戦略やスタンス

話題をマーケットに戻すと「トランプ感染報道でリスクオフ、退院でリスクオン!?」という流れに。つまり多くの金融市場参加者はどちらの政党を支持していることとは別に「トランプ氏勝利で株高、バイデン氏の勝利で株安」とみていることになる。しかし、多くの国民は株安を誘引する大統領より、株高に導く大統領のほうを支持するのは当たり前なのでこのコンセンサスは民主党としては困るわけだ。そこで、先週辺りから新しい考え方が浮上。それはトリプルブルーで、リスクオンの「株高、円安」という考え方だ。「トリプルブルー」とは、バイデン氏が大統領選で勝利し、そして上下両院とも民主党が制すること(民主党のシンボルカラーはブルー)。基本的には「減税公約のトランプ氏と増税公約のバイデン氏を比較すると、トランプ氏勝利でリスクオン、そしてバイデン氏勝利でリスクオフになるのは当然。しかしバイデン氏が勝利し、上下両院とも民主党が勝利すれば、民主党案の2.2兆ドル規模の追加経済対策への期待が高まる。そこで(いったん増税のマイナス効果は忘れ)、トリプルブルーでも株高という考え方が増えてきているというか、そういう考え方を浸透させようとしている報道が増えてきている。これは米大統領選に向けての新しいコンセンサスといえる。なぜなら、この文脈に沿えば、次期大統領にバイデン氏が選ばれたとしても、トリプルブルーであれば、バイデン氏勝利でも株高ということになるからだ。一方トランプ氏の再選は通常株高だとされていたが、民主党が上下両院を制した場合は、「ねじれ議会」となり、リスクオフになるという考え方になる。4年前も米大統領選直前になってヒラリー氏圧勝というコンセンサスが固まった後、結果はトランプ氏の勝利だった。今月はまだ「次のオクトーバー・サプライズ」が出そうなので、ヘッドラインにふりまわされて収益を落とすことがないようにしたいところ。週末を控えていることもあり、スウィングポジションは一旦様子見したい。

西原 宏一(にしはら こういち) 株式会社ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行に為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任した後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。ザイFX!にて「西原宏一のヘッジファンドの思惑」を連載中。

羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
羊飼いのFXブログ」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。