スマートフォンだけで口座開設から株式取引までを気軽にできる「スマホ証券」が続々と登場している。ネット証券とは何が違うのか?LINE証券やSBIネオモバイル証券など、スマホ証券が提供するサービスを詳細に紹介。どのような人におすすめなのか解説していこう。
1,スマホ証券とは?ネット証券とは何が違うのか?
近年は30代~40代のビジネスパーソンを中心に、インターネット取引専業の「ネット証券」が口座数を伸ばしている。このネット証券と「スマホ証券」とは何が違うのか。
主な違いは、「スマホだけで全てが完結する」「少額から取引できる」「取扱商品が限定されている」の3点だ。
違い1,スマホだけで完結する――口座開設から取引までパソコン不要
スマホ証券はパソコンがなくても、スマートフォンさえ持っていれば利用できる。スマートフォンに専用アプリをダウンロードしたら、口座開設申込から入出金指示、投資情報の入手、取引、残高照会まで実行できるのだ。
ネット証券のスマホアプリも高機能化が進んでいるが、現在も、パソコンで使用する高機能取引ツールや分析ツールの代替としての位置付けであり、情報量や機能性は取引ツールには及ばない。
一方でスマホ証券では、全てのサービスがスマホ利用を前提に設計されている。そのため、パソコンを使わずにスマホだけで資産運用をしたいという人は、スマホ証券での口座解説を検討したい。
違い2,少額取引が基本――単元未満株や1,000円取引など
ネット証券の株式取引は、単元株(100株)単位で取引するのが基本である。株価800円の株式であれば、最低投資金額は800円×100株=8万円、さらに取引手数料と消費税が上乗せされる。SBI証券「S株」、マネックス証券「ワン株」、auカブコム証券「プチ株」のように、単元未満株取引(100株未満、整数倍の株数による取引)サービスを提供しているネット証券もあるが、これはあくまでサービスの一環である。
それに対して、スマホ証券の株式取引は、1株単位での売買、あるいは指定した金額に応じた株数を購入するスタイルが多い。そのため、スマホ証券で1回の取引で必要になる投資金額は、1株800円の株式の場合、1株×800円=800円、これに格安の取引手数料と消費税が加算される、もしくは手数料無料で売買できる。
単元株単位での売買が主流のネット証券に比べて、スマホ証券なら1回の投資金額は圧倒的に少なく済む。まずは、お小遣い程度の金額で投資を始めたいという人にはぴったりだろう。
違い3,取扱商品数が限定されている――商品選びに迷わない
ネット証券が取り扱う金融商品は、株式の国内現物取引と信用取引、外国株取引、債券、投資信託、先物・オプション、FX、NISA口座取引、iDeCoなど多彩だ。取扱商品が多いネット証券では、さらにCFDや金・銀・プラチナ取引、暗号資産まで取引可能である。
商品ラインアップの豊富さに加えて、さまざまな種類の商品や新しいサービスが次々に提供されており、ある程度の専門知識と経験がないと、新商品のスムーズな取引もままならない。
一方でスマホ証券には、こうした複雑さがない。取扱商品は国内株式のみ、あるいはテーマ投資のみなど、少数に限定されていることが多い。スマホ証券では、投資する商品を決める手間や時間、専門知識や商品知識を学ぶ時間を大幅に省くことができる。
2,スマホ証券の4つのメリット
取引金額や商品構成など、ネット証券のスペックとは大きく異なるスマホ証券であるが、違いが明確だからこそ、それがスマホ証券特有のメリットにもなる。ここでは、スマホ証券を象徴する際立ったメリットを4つ紹介しよう。
メリット1,余裕資金が少なくても少額で取引できる
余裕資金が少なく、ネット証券での取引を断念した経験のある人でも、スマホ証券ならいつでも思い立ったときに取引を始められる。
先程紹介した通り、スマホ証券の商品設計は、少額投資を前提としている場合が多い。そのためユーザーは、例えば数千円程度の投資金額しか用意できなくても、リアルな株式取引を経験できる。
メリット2,少額なので損失リスクも軽減できる
1回の投資金額が少額なので、仮に株価が下落しても損失は限定的となる。無理な投資で大きな損失を被ることは少ないので、とりわけ投資初心者にとっては、スマホ証券を使うこと自体が安全弁になる。
メリット3,専門知識が不足していても取引を始められる
ネット証券で投資を始める場合、最低限の商品知識、企業分析方法あるいはチャート分析方法などを学んでからでなければ、銘柄選びも滞ってしまう。リスク管理ができなければ、大きな損失を出す可能性も高くなる。
スマホ証券はネット証券に比べると取扱商品が少なく、その分銘柄選びも簡単だろう。そのうえ、投資金額も少額なので、「とりあえず始めてみる」ことも可能。実際の取引を行うと、企業動向や株価推移にも興味がわくようになり、経験を積むことで相場観も養われる。専門知識が不足していても取引を始められる環境は、初心者にとって好都合だ。
メリット4,スマホだけで気軽に始められる
スマホがあればパソコンが必要ないので、自宅にパソコンがないという人も中にはいるだろう。資産運用のためにパソコンをわざわざ買うとなると、初期投資だけで5万〜10万円ほどかかってしまうことも。スマホ証券は先ほど解説したように、スマホだけで全て完結するので、パソコンを用意し、通信環境を整える煩わしさもない。
また、スマホ証券各社のホームページを見ると、親しみやすい文体や読みやすいレイアウト、ポップな絵柄で、親しみやすい雰囲気を演出している。手続きやヘルプページもスマホに最適化されているので、普段パソコンよりもスマホに慣れ親しんでいるという人は、スマホ証券の方がスムーズに使えるだろう。
3,スマホ証券6社の特徴を比較!LINE証券、SBIネオモバイル証券、PayPay証券(ペイペイ証券)など
では実際にスマホ証券で取引を始めたいと考えたときに、どの証券会社で口座開設をすればよいのだろうか?スマートフォンだけで全てが完結できることを前提とした証券会社の中から、代表的な6社をピックアップした。各社の特徴やメリット、デメリット、サービスのスペックなどを分かりやすく紹介しよう。
現時点では余裕資金が少ない、もしくは株式投資の専門知識もあまりないが、これから株式投資を始めてみたいという人は、以下の情報をチェックすることから始めよう。(2020年10月8日現在)
1,LINE証券――LINEアプリからお手軽投資ができる
LINE Financialと野村ホールディングスが共同出資しているスマホ証券会社。人気の高いSNSツールであるLINEアプリを立ち上げて、アプリ内で取引するのが最も大きな特徴だ。
2019年8月の営業開始から1年間で、新規口座開設数は30万口座を超えた。設立当初は、主な顧客層として20代~30代の株式投資初心者を想定していたが、2020年9月末現在の新規顧客の約4割が投資経験者であることが分かっている。
・LINE証券の基本情報
項目 | 内訳 |
運営会社 | LINE証券 ※出資割合:LINE Financial 51%、野村ホールディングス 49% |
取扱商品 | 国内株式(単元未満株、ETF、REIT、信用取引)、投資信託、FX |
サービス内容 | 「いちかぶ」(単元未満株取引)、つみたて投資など |
注文方法 | 【単元未満株取引】LINE証券が提示する価格 【信用取引】成行注文、指値注文 【投資信託】金額指定、口数指定 【つみたて投資】1,000円以上、1円単位 【FX】条件付注文各種 |
取引時間 (東証立会日) |
【日中取引】9:00~11:20、11:30~12:20、12:30~14:50 【夜間取引】17:00~21:00 |
取引手数料 (税込) |
【買付】無料 【売却】売買代金に応じて、99円~1,771円 |
特徴 | LINEポイントあるいはLINE Payの使用可 |
サポート体制 | ・「よくあるご質問」 ・LINEの公式アカウントからAIチャットでサポート |
・LINE証券のメリット
LINE証券にはさまざまなメリットがあり、以下のように、スマホ証券らしからぬ本格的な商品や、ネット証券にはないサービスが魅力になっている。
・上場企業でも、数百円の資金があれば1株から購入できる(サービス名「いちかぶ」)
・「いちかぶ」は業界唯一、夜間取引(17:00~21:00)でも即時注文、即時約定可能
・LINEポイントやLINE Payを使って購入できる
・取扱銘柄が多彩(東証に上場する普通株式やETF、REIT、約3,700銘柄)
・信用取引やFXも取引できる
・スマホ証券としては投資情報が豊富
・LINE証券のデメリット
簡単さを追求した証券会社であるため、ネット証券並みの高度な取引に対応していないのがデメリットといえる。例えば、単元未満株取引の「いちかぶ」ではLINE証券が提示する価格で約定することや、信用取引の注文方法は成行注文と指値注文の2種類だけで、条件付注文は使用できないことなどが、これに該当する。
・LINE証券がおすすめなのはどんな?
スマホ専用の取引ツールの使いやすさ、なじみのあるLINEアプリから取引できる環境は、まさに初心者向きである。
また、これまで多忙でなかなかパソコンの前に座って取引できなかった投資経験者にもおすすめしたい。LINE証券を使えば、多少簡略化されるものの投資情報の獲得や実際の取引が、移動中などスマホで可能だ。新規顧客の約4割が投資経験者である事実からも、LINE証券の裾野が広いことが分かる。
2,SBIネオモバイル証券(ネオモバ)――月額定額使用料で取引し放題!Tポイント投資も可能
SBIネオモバイル証券、通称ネオモバは、SBI証券とTポイントプログラムを運営するCCCマーケティングが共同出資したスマートフォン完結型の証券会社。運営会社のもつ強みを、取扱商品やサービスに最大限に生かしたスマホ証券である。
・SBIネオモバイル証券(ネオモバ)の基本情報
項目 | 内訳 |
運営会社 | SBIネオモバイル証券 ※SBI証券とCCCマーケティングの共同出資 |
取扱商品 | 国内株式、FX 、iDeCo、ロボアド自動運用 |
サービス内容 | 単元株取引、S株(単元未満株)取引、 ひとかぶIPO 、WealthNavi for ネオモバ |
注文方法 | 金額指定、株数指定(成行注文、指値注文)、定期買付 ※S株の株数指定は成行注文のみ |
単元株(取引所取引)の 注文受付時間と 取引成立時間 |
【注文受付時間】 24時間(15:00~15:15とメンテナンス時間を除く) 【取引成立時間】 取引所立会時間中(9:00~11:30、12:30~15:00) ※土日、祝祭日を除く |
S株の 注文受付時間と 約定タイミング |
【注文受付時間/約定タイミング(原則1日3回)】 0:00~7:00/当日前場始値 7:00~10:30/当日後場始値 10:30~13:30/当日後場終値 13:30~24:00/翌営業日前場始値 ※名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所に単独上場している 銘柄の約定タイミングは1日2回 (前場始値と後場始値)。後場終値では売却のみ可能。 |
FXの取引時間 | 【夏時間(3月の第2日曜日から)】 月曜日7:00~翌5:30 火曜日から土曜日6:00~翌5:30 【冬時間(11月の第1日曜日から)】 月曜日7:00~翌6:30 火曜日から土曜日7:00~翌AM6:30 |
取引手数料(税込) | 月額サービス利用料 220円(下限)~5,500円+100万円ごとに1,100円加算 (上限なし) |
特徴 | TカードとのID連携で、 ・毎月の取引でTポイント付与 ・たまったTポイントで投資 |
サポート体制 | ・「よくあるご質問」 ・「かんたんガイド」 ・「ネオモバチャットサポート」(24時間対応) ・オペレーターによる対応(平日8:30~17:00) |
・SBIネオモバイル証券(ネオモバ)のメリット
SBIネオモバイル証券にはさまざまなメリットがあるが、主だったものとしては
・1株から株式を購入できる単元未満株取引
・100円から積立投資できる定期買付
・SBI証券のサービス(S株、ひとかぶIPO,iDeCoなど)も利用可能
・ロボアドサービス「WealthNavi for ネオモバ」
・Tポイントと連携
という5つだ。スマホ証券ならではの、有名企業の株式を1株から購入できるサービスや、株式を100円から積立購入できる「定期買付」が最大の魅力。
またネット証券最大手のSBI証券が提供する商品やサービスを利用できるのも、ネオモバを使う大きなメリットだ。SBI証券が取り扱う「S株」と、IPO抽選に1株単位で参加できる「ひとかぶIPO」、SBI証券が運営する低コストの個人型確定拠出年金「iDeCo」にも、ネオモバならスマホだけで簡単に投資できる。取扱銘柄数も多く、普通株式やETF、REITも取引可能である。
おまかせ資産運用の「WealthNavi for ネオモバ」も利用できるので、ネオモバ1社で分散投資も簡単だ。
他にもネオモバの総合取引口座と手持ちのTカードをひも付けると、取引でTポイントが付与されるだけでなく、たまったTポイントを国内株式やFXの投資に使用できるという、ポイントプログラム面での利点もある。
・SBIネオモバイル証券(ネオモバ)のデメリット
デメリットとして覚えておきたいのは、手数料が月額定額制なので、使わなくてもコストが発生してしまうこと。取引量が少ないと手数料が割高になってしまうので、口座を開設したら、積極的に取引しないと元が取れないので要注意だ。
・SBIネオモバイル証券(ネオモバ)がおすすめなのはどんな人?
Tポイントを日常的にためている人は、ぜひとも検討したい証券会社だ。またTポイントをためているけれど、良い使い道がないと感じている人にもおすすめである。使わないでたまりっぱなしのTポイントを資産運用に回すことができ、初心者ならばいい実践経験になるはずだ。
3,PayPay証券 ―― 米国株や差金決済取引も数タップで取引できる
ソフトバンク、みずほフィナンシャルグループ、モバイル・インターネットキャピタルなどが出資するスマホ証券がPayPay証券だ。
PayPay証券は、「株式投資がはじめてな方でも、手軽に簡単に株式の世界を楽しめる」を理念に掲げて設立された、スマホ証券の先駆け的存在。実際に利用者の約7割が、PayPay証券をきっかけにして、新たに投資を始めている。
・PayPay証券の基本情報
項目 | 内訳 |
運営会社 | PayPay証券 ※ソフトバンク、みずほ証券などによる共同出資 |
取扱商品 | 国内現物株式、米国現物株式、CFD |
サービス内容 | 日米株、つみたてロボ貯蓄、10倍CFD、 日本株CFD、ボーナス運用、誰でもIPO |
注文方法 | 金額指定 |
取引時間 | 【日本株】9:00~14:59(東証昼休み中も取引可能) 【米国株】原則24時間 【10倍CFD】8:00~翌6:00、夏時間は7:00~翌5:00 【日本株CFD】月曜~金曜9:00:10〜14:59:00 |
手数料相当額込 (スプレッド) |
【日本株】取引所立会時間内は基準価格×0.5% ※上記以外の時間は基準価格×1.0% 【米国株】現地時間9:30~16:00、 日本時間23:30~6:00 (夏時間22:30~5:00)は基準価格×0.5% ※上記以外の時間は基準価格×0.7% 【CFD】無料、別途各種調整額の受払あり |
特徴 | PayPayとの連携やボーナス運用ができる |
サポート体制 | ・「よくあるご質問」 ・メールによる問い合わせ |
・PayPay証券のメリット
PayPay証券の主なメリットは
・1,000円から株式購入可能
・米国株取引可能
・CFDの取扱もあり
・つみたてロボ貯蓄
・PayPayボーナスでポイント投資
・だれでもIPO
の6つとなる。従来のような単元株単位ではなく、少額の金額単位(1,000円から)で株式を購入できるのが一番の特徴であり、メリットである。
国内現物株取引だけでなく、PayPay証券ならではの取扱商品や便利なサービスも用意されている。それが米国株取引、CFD、つみたてロボ貯蓄の3つ。
他のスマホ証券では取引できない米国株取引ができることはPayPay証券最大の強みだ。
また差金決済取引のCFDも取り扱っている。日本株に資金の5倍の金額で取引できる「日本株CFD」や、資金の10倍の金額で日米の代表的な株価指数、日経225または米国500に投資できる「10倍CFD」も利用できる。
さらにAIが運用してくれる「つみたてロボ貯蓄」は、裁量取引が苦手な人でも1,000円単位で金額を指定すれば、自動的に投資運用可能である。
PayPay証券の出資会社にはソフトバンクが名を連ねている。系列の強みを生かした「PayPayボーナス運用」もPayPay証券のメリットの一つだ。これはキャッシュレス決済の「PayPay」と連携しており、特典やキャンペーンで付与されたPayPayボーナスを人気の米国ETFで自動運用できるというもの。ボーナス運用利用者がすでに150万人を超えている人気サービスだ。
「誰でもIPO」は、1株からIPO抽選に参加できるサービスであり、これまでの実績はソフトバンクのみであるが、今後IPOの取り扱いが発表されれば、抽選参加の機会が増える。
・PayPay証券のデメリット
ネット証券に見られるような複雑さや難しさを徹底的に排除している副作用で、投資情報が少ないことと、チャートを使った投資判断ができない点にも注意したい。株式投資を始めたばかりのうちは問題ないが、経験を積んで自分なりに企業分析やチャート分析をしたくなったら、ネット証券にステップアップする必要が出てくるだろう。
また、スプレッド(取引手数料相当額)が若干高めであることもデメリットになる。日本株のスプレッドは基準価格の0.5%(所定の時間外だと1.0%)、米国株のスプレッドも基準価格の0.5%(所定の時間外だと0.7%)に設定されている。
ネット証券の国内現物株式手数料の低額化が進み、米国株の手数料も基本的に約定代金×0.45%(下限0円)であることからすると、為替手数料を考慮しなくてもよいにせよ、若干高めのスプレッド設定だ。コスト最優先の人には、あまり好ましくない。
さらに、即時入金サービスが導入されていないため、入金手数料と出金手数料のどちらも自己負担になってしまうことにも注意したい。
・PayPay証券はどんな人におすすめ?
PayPayを日常的に使っており、ボーナスも適宜受け取っているという人は、PayPayのボーナスを運用に回せる。「いきなり現金は怖いので、まずはポイント投資で……」という人には適しているだろう。
また米国株に興味がある投資初心者は、スマホで取引が完結するPayPay証券をぜひ検討してもらいたい。ネット証券の画面いっぱいに掲載されている経済ニュースやアナリストレポートに尻込みした人でも、PayPay証券なら、手軽にシンプルに米国株を始められるだろう。
4,FOLIO(フォリオ)――テーマ投資やおまかせ投資サービスを使って、簡単分散投資ができる
FOLIO(フォリオ)が他のスマホ証券と一線を画しているのは商品のラインアップ。「テーマ投資」「おまかせ投資」「ROBO PRO」の3商品が用意されており、個別株取引ではなくテーマ投資や完全自動運用サービスのみが提供されているのが特徴だ。
「テーマ投資」では、プロがあらかじめ約80のテーマを選定し、それぞれのテーマにちなんだ10銘柄でポートフォリオが組まれている。ユーザーは気になるテーマを選ぶだけ。適宜リバランスが提案されるので、必要に応じてユーザーがリバランスを判断する。売却時期を決めるのもユーザーだ。いわば、テーマ株投資のイージーオーダーである。
「おまかせ投資」はロボアドによる完全自動運用サービスのことだ。安定運用や堅実運用など、5つの運用プランから一つを選ぶと、ユーザーに最適なポートフォリオが提案される。それを購入すれば自動運用開始となり、リバランスも売却時期もロボアドにお任せできる。
「ROBO PRO」はAI搭載の進化版ロボアド。ユーザーは最適化された共通のポートフォリオを購入し、ROBO PROがリバランスを行いながら、好パフォーマンスを狙って運用されている。 ※2020年1月15日のサービス開始から8月31日までの期間のパフォーマンスは、TOPIX(東証株価指数)が-6.5%。ROBO PROは+11.1%
FOLIO(フォリオ)の基本情報
項目 | 内訳 |
運営会社 | FOLIO |
取扱商品 | 国内現物株式、米国ETF |
サービス内容 | テーマ投資、おまかせ投資(米国ETF)、 ROBP PRO(米国ETF) |
注文方法 | 【テーマ投資】 1テーマ1万円代(ミニテーマの場合)から金額指定 成行注文のみ 【おまかせ投資】 10万円以上1円単位の金額指定 【ROBO PRO】 10万円以上1円単位の金額指定 |
【テーマ投資】 購入注文受付時間/ 取引タイミング |
① 18:00頃~翌営業日8:45→前場寄り付きで取引 ② 8:45~12:15→後場寄り付きで取引 ③ 12:15~14:30→大引けで取引 |
【テーマ投資】 売却注文受付時間/ 取引タイミング |
① 14:30~翌営業日8:45→前場寄り付きで取引 ② 8:45~12:15→後場寄り付きで取引 ③ 12:15~14:30→大引けで取引 |
【おまかせ投資】 【ROBO PRO】 購入・売却 注文締切時間 |
日本時間18:00締切、当該営業日中に執行 ※日本市場と米国市場の営業日の場合 |
手数料(税抜) | 【テーマ投資の取引手数料】 1銘柄の売買代金×0.5%(最低手数料50円) 【おまかせ投資/ ROBO PROの運用報酬料】 ・組み入れられたETFの時価総額 (3千万円以下の部分)×年率1.00% ・組み入れられたETFの時価総額 (3千万円超の部分)×年率0.50% |
サポート体制 | ・「よくある質問」 ・メールによる問い合わせ 随時受付 ・フォリオカスタマーサービス受付時間 平日12:30~15:00 |
・FOLIO(フォリオ)のメリット
FOLO(フォリオ)のメリットは上記に挙げたサービス展開にひも付くものとなる。自ら銘柄の詳細をリサーチして、買うタイミングを図って……といった手間が省ける点が共通する大きな利点だ。
「テーマ投資」では、時間と手間のかかるテーマや銘柄の絞り込みプロセスを省いて、プロが厳選したテーマを選んで購入するだけでよい。株式相場やポートフォリオのパフォーマンスを日々確認しながら、利益の出る売却タイミングを自分で判断するので、運用の醍醐味を味わうことができる。
「おまかせ投資」なら、運用プランさえ選べば、あとは投資経験がなくても、あるいは放置したままでも、ロボアドがプロ並みに自動運用してくれる。
「ROBO PRO」はAIを活用して、たいていのロボアドでは難しいダイナミックなリバランスを実現し、TOPIX(東証株価指数)を大幅に上回るパフォーマンスをはじき出している。
リスクもあり、時価評価額の年率1.0%(税抜)の運用報酬料も発生するが、投資初心者には不可能なアグレッシブな運用ができるので利用価値は高い。
・FOLIO(フォリオ)のデメリット
メリットの裏返しとなるが、FOLIO(フォリオ)には裁量取引をしたい人の選択肢がないことがデメリットだろう。
注目のテーマ投資にも注意点がある。テーマ投資では一つのテーマにちなんだ10銘柄が選定されるので、一つのテーマを選べば分散投資ができる。ところが、話題にのぼるようなテーマ株は、すでに株価が割高になっている可能性がある。テーマが共通しているので、環境が悪化すると一斉に株価が暴落するリスクもある。
さらに、1銘柄の売買代金×0.5%(税抜)の手数料であり、最低手数料は50円(税抜)だ。1テーマは10銘柄で構成されているので、片道分で最低でも500円(税抜)もの手数料がかかることになる。
旬なテーマと銘柄に投資できるが、コストパフォーマンスが悪くなる可能性があることを承知しておきたいところだ。
・FOLIO(フォリオ)がおすすめなのはどんな人?
株式投資で資産形成してみたいけれど、とにかく時間がないという人にとって、FOLIO(フォリオ)は心強い選択肢の一つになる。手数料は高めだが、銘柄を選択する時間を大幅に削減して、早々に運用を開始できる。運用管理も全て任せたければ、おまかせ投資やROBO PROを選べばよい。
これまで「忙しくて株式投資をやる暇がない……」という人にも投資機会を提供してくれるサービスだ。
5,STREAM(ストリーム)――売買手数料0円!独自のコミュニティも主催
STREAMは、スマホ証券の中では類を見ないほど本格的な株式投資ができる証券会社だ。現物株式の取引所取引と信用取引については、ネット証券レベルの充実したサービスを提供している。
また、このサービスの際立った独自性は、STREAMが主催するオンラインコミュニティとオフラインコミュニティ「STREAM CAMP」にある。オンラインコミュニティでは、STREAMのユーザー同士が集い、株取引の情報交換を行って、それぞれの投資活動に生かすことができる。
オフラインコミュニティの「STREAM CAMP」は毎月、東京・大阪・名古屋で開催されており、①STREAMに口座開設、②STREAMポイントが累計2,000ポイント、という2つの条件を達成すると参加権利を得られる。
ゲストから投資について学んだり、ワークショップをとおして参加者同士で情報をアウトプットしたりして、株投資知識の定着を目指している。
・STREAMの基本情報
項目 | 内訳 |
運営会社 | スマートプラス |
取扱商品 | 国内株式 |
サービス内容 | 現物株式取引、信用取引、 単元未満株式買取請求/単元未満株式売却サービス |
注文方法 | 成行注文、指値注文、逆指値注文 ※執行条件(寄付、引け、不成)あり |
注文受付時間 | 基本、24時間 ※メンテナンス時間を除く |
取引手数料 | 現物取引と信用取引、全て無料 |
特徴 | ユーザー同士のオンライン/オフラインコミュニティ完備 |
サポート体制 | ・「よくあるご質問」 ・お客さまサポートWEB 随時受付 ・カスタマーサポートセンター 平日8:30~17:30(祝日、年末年始を除く) |
・STREAMのメリット
このサービスのメリットは
・手数料が完全無料
・コミュニティ参加で取引に使えるポイント付与
の2点。
STREAMでは「STREAM-株取引アプリ」を使って、東証一部、二部、マザーズ、ジャスダック銘柄の売買ができるが、現物も信用も手数料は何時でも何回でも実質無料だ。株式投資の大きなコストである手数料を無料にできるのは理由がある。
東証が取り扱う銘柄を取引する場合、東証立会取引という東証内で行う取引と、東証立会外という東証外(ダークプールと呼ぶ)で行う取引がある。STREAMではSMART取引というシステムを使用し、まずは東証外に注文が出される。東証外取引では東証内の取引よりも有利な価格で約定することもあり、その差分(=東証外での有利な価格での約定―東証内での一般的な価格)をSTREAMが手数料として徴収するという仕組みだ。
1万円の注文を出し、8,000円で東証外約定した場合、2,000円分が手数料となる。ユーザーが負担するコストは0円でも、STREAMには利益が入るというわけだ。
また、手数料以外にもコミュニティに参加することで得られるメリットもある。コミュニティにはコミュニティポイント制度が設けられており、コミュニティ内でのフォローやコメントなどのアクション全てがポイント化される。累計ポイントごとにいくつかのクラスに分けられて、クラスに応じた信用取引の金利優遇が受けられるのだ。
コミュニティに積極的に参加するだけで、リアルな取引に基づいた銘柄の評価を目にしたり、投資経験者の知見を学んだりできるうえに、取引コストも抑えられる。まさに、一挙両得のユーザーだけの特典だ。
・STREAMのデメリット
STREAMでは単元株単位の本格的な株取引ができる反面、単元未満株については売却と買取請求しかできず、売買取引ができない。株式や投資信託のつみたて買付制度も設けられていない。少額投資できる商品がないため、利用できるのが単元株取引に十分な余裕資金のある人に限られるのだ。これがSTREAM最大のデメリットになるだろう。
他にも取扱商品が国内株式だけで、外国株や投資信託、FXなど、他に選択肢がないのも、S残念な点として挙げられるだろう。
・STREAMはどんな人におすすめか?
SNSによるコミュニケーションが日常的であることに加えて、将来の資産形成のために本格的に株式投資を始めたい人、あるいは、銘柄分析方法や投資手法も含めてしっかり学びながら投資をしたい人には、STREAMは最適だ。
STREAMなら手数料完全無料、さらに、スマホで株取引も完結できるので、多忙なSNS世代の投資初心者にはぴったりである。
6,CONNECT(コネクト)――大和証券グループのスマホ証券、NISA取引もOKで取引回数に応じて手数料無料も
CONNECTは、2019年4月に設立されたばかりの大和証券グループの新しい証券会社である。スマホで完結、少額分散投資可能、シンプルで分かりやすいアプリと商品設計など、スマホ証券のエッセンスが凝縮されている。
CONNECTが提供するのは、「投資未経験者が気軽に投資経験するために、スマホの操作性に主眼をあてたサービス」。そのため、専用のスマホアプリの機能や取扱商品はかなりシンプルに絞り込まれている。
・CONNECTの基本情報
項目 | 内訳 |
運営会社 | CONNECT ※大和証券グループ本社の100%子会社 |
取扱商品 | 国内株式、単元未満株式 |
サービス内容 | 現物株式取引、単元未満株式取引 |
注文方法 | 【国内株式】 ・委託取引 ・成行注文、指値注文 【ひな株】 ・CONNECTとの相対取引 ・提示価格で即時約定 |
取引時間 | 【国内株式】 記載なし 【ひな株】 9:00~14:55 |
取引手数料 | 【国内株式】 一律売買代金×税込0.033%(上限660円) ※月間10回分の無料クーポンあり 【ひな株】 取引所が提示するリアルタイム株価×0.5% ※約定価格に含まれる |
サポート体制 | ・「よくあるご質問」 ・チャット→随時対応 「お問い合わせ」 ・チャット(オペレーター)→平日8:30~16:30 ・LINEチャット→24時間 ・LINEチャット(オペレーター)→平日8:30~16:30 ・問い合わせフォーム→翌営業日以降回答 |
・CONNECTのメリット
CONNECTのメリットは
・スマホ証券らしい操作性
・シンプルな商品ラインアップ
・NISA口座も開設可能
・安いて手数料
・ポイント投資サービスも用意
の5点に集約される。
スマホ証券後発組の利点を生かして、スマホアプリは投資初心者が使いやすいと感じる操作性と、見やすさを追求したシンプルな画面。
取扱商品もいたってシンプルである。国内株式(単元株取引)とひな株(単元未満株式)の2種類だけで、煩わしさがない。どちらもNISA口座で非課税運用できるのが魅力だ。
投資初心者が対象の証券会社なので、手数料もかなり抑えられている。国内株式では月間10回までは取引手数料が無料になるクーポン配付、月額サービス利用料もなし。11回目以降の取引は、一律売買代金の0.033%(税込)。月数回程度の取引なら手数料無料だ。
約定価格に含まれるひな株の手数料相当額は、業界最安水準のリアルタイム時価×0.5%に設定されている。国内株式とひな株、どちらの手数料も、とにかく分かりやすい。
またポイント運用サービス「StockPoint for CONNECT」も用意されており、ゲーム感覚で楽しみながら投資体験できる気の利いたサービスだ。いろいろなポイントを集めて、興味のある銘柄を選んだら、ポイントを使って投資する。株価の変動に合わせてポイントも増減し、たまったポイントを実際の投資に利用できる。本物のお金を使った投資に不安を感じる人は、StockPoint for CONNECTのポイント投資から始めてみるとよいだろう。
・CONNECTのデメリット
シンプルさを追求したスマホアプリと商品設計なので、必要最低限の情報しか得られないのがデメリット。
CONNECTのアプリだけを見ていても、株式相場全体の流れや経済動向、企業分析情報などは把握しづらい。投資経験を積むなら、他の証券会社のサイトで学ぶ必要がある。
・CONNECTはどんな人におすすめ?
株式投資に興味はあるけれど、難しいことは避けて、とりあえず実際に投資をしてみたいという人には最適だ。「ひよこ社長のまちづくり」などの投資ゲームも用意されているので、楽しみながら投資に接してみたい人にもおすすめしたい。
4,スマホ証券の賢い使い方――お手軽投資が本格的な株式投資の入り口になる
スマホ証券が提供するスマホアプリは、スマートフォン1台で、口座開設から入出金操作、銘柄選び、注文、残高照会まで、全ての処理を完結できるように設計されたお手軽便利ツールだ。専門知識がなくても直感的に操作可能で、難解な専門用語もあまり使用されていない。何より、使い慣れたスマホで取引できる気軽さが株式投資の近寄りがたさを和らげてくれる。
多くのスマホ証券会社では、1株から取引できる単元未満株取引、あるいは1,000円程度の少額から取引できる少額投資サービスを提供しているのも、初心者には心強いだろう。これまで難解そうでチャレンジできなかった株式投資でも、自分に合ったスマホ証券と出会えたら、気軽に始められるのではないだろうか。
執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。
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