つみたてNISAは一般のNISAやiDeCo(イデコ)と同様に、個人の資産形成を支援する税制優遇制度だ。つみたてNISAはいつでも資金を引き出すことができ、iDeCoに比べて自由度が高い。今回はつみたてNISAで資金を引き出す方法と注意点について解説しよう。

1.つみたてNISA(積立NISA)は長期的な資産形成に有効

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(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

つみたてNISAは、2018年にスタートした税制優遇(非課税)制度だ。目的は長期・積立・分散投資による個人の資産形成の支援だ。そのため投資できる商品は長期・積立・分散投資に適した投資信託と上場投資信託(ETF)に限定される。

少額から利用でき、商品を選びやすい点で投資初心者におすすめである。有利に資産形成を進めたいという人は、以下の3つのメリットをぜひ参考にしてみてほしい。

メリット1……最長20年間の運用期間中に得られる収益は非課税

つみたてNISAを利用して投資信託を購入した場合、最長20年間の保有期間中に受け取る分配金と、値上がり後に売却して得られる譲渡益(売却益)はすべて非課税になる。

例えば毎月3万3,000円ずつ、年間39万6,000円を20年間積み立てしたとしよう。年利3%で運用できた場合、792万円の投資元本に対して、積立金額は約1,083万円まで増える。

通常の積立投資であれば、運用益に対して約20%の税率が課されるので、最終的には約58万円の税金を支払わなければならない。つみたてNISAであれば非課税であり、その差は大きい。

メリット2……少額から自動的に積立投資できるため続けやすい

つみたてNISAは定期積立の仕組みを利用するため、続けやすいこともメリットに挙げられる。自身にとって無理のない金額を設定し、自動的に投資できる。

短期的な値動きに一喜一憂すると、途中で売却してしまうこともあるだろう。投資額が限られていることはデメリットでもあるが、比較的少額ならば必要以上に値動きを意識しなくて済むはずだ。

メリット3……いつでも資金を引き出せる

つみたてNISAで購入した商品はいつでも売却でき、資金をすぐに引き出せる。積立は続けることが重要だが、必要なタイミングで柔軟に活用できる点は大きなメリットといえるだろう。

個人が利用できる税制優遇制度としては、ほかにiDeCo(個人型確定拠出年金)もある。しかしiDeCoは老後資金準備を目的とした制度であり、原則60歳までは資金を引き出せない。iDeCoを利用する場合は、長期間資金が固定される点に十分注意しなければならない。

2.つみたてNISA(積立NISA)の資金の引き出し方

つみたてNISAで資金を引き出す方法は実に簡単だ。つみたてNISA口座内で保有している投資信託を、通常通りに売却(解約)すればよい。証券口座に入金された解約代金を出金すれば資金を引き出せる。

つみたてNISAの対象商品は、ETFを除き購入時手数料と売却時手数料が0円のノーロードファンドのみであり、売却時に証券会社に手数料を支払う必要はない。ただし、商品によっては信託財産留保額が必要になることがある。

信託財産留保額は、投資信託を継続して保有する投資家との公平性を保つための費用である。解約代金を支払うために投資信託の中の資産を売却する際にかかる費用を、投資信託を解約する投資家自身が負担するものだ。

信託財産留保額が必要な投資信託を解約する場合、一般的に基準価格の0.1~0.3%程度が解約代金から差し引かれる。新たに支払う必要はないが、受け取れる金額が減少するので、確認しておこう。

3.つみたてNISA(積立NISA)で資金を引き出すときの4つの注意点

いつでも資金を引き出せることはつみたてNISAのメリットでもあるが、安易な引き出しは避けたほうがいい。資金を引き出すときには次に挙げる4点に注意し、慎重に判断しよう。

注意点1……購入した商品を売却してしまうとその非課税枠は使えない

つみたてNISA口座で購入した商品を売却(解約)した場合、その分の非課税枠で新たに商品を購入することはできない。「最長20年間非課税で保有できる」のは、購入から売却せずに保有し続けた場合のみである。

つまり売却した時点でその非課税枠に対する優遇は受けられなくなる。一時的にお金が必要になって資金を引き出すと、後で元に戻すことはできない。

注意点2……資金の途中引き出しはつみたてNISA(積立NISA)のメリットを損なう

つみたてNISAは投資資金を引き出すことなく、長期・積立・分散投資を実践することでその真価を発揮する。投資対象も長期保有に適した商品に限られている。資金を途中で引き出してしまうと、複利効果が薄れて利益が減り、せっかくの非課税メリットを損なってしまうリスクがある。

毎月3万3,000円ずつ20年間にわたって積み立てを行い、年3%で運用した場合、資金を途中で引き出すことによって、20年間で得られる運用益は次のように変わってくる。

  投資元本 20年間の運用益
20年後に資産の全額を引き出し 792万円 約291万円
10年後に資産の全額を引き出し 約130万円
5年ごとに資産の全額を引き出し 約61万円
楽天証券「積立かんたんシミュレーション」を用いて筆者作成

上記の結果はシミュレーションによるあくまで一例だ。10年目に資産の全額を引き出した場合、20年間資金を引き出さなかった場合と比べて得られる運用益は半分以下にまで減る。

5年ごとに資金の全額を引き出した場合には実に230万円も減る計算だ。非課税で保有できる期間は投資した年から最長20年間だが、それ以降は課税口座に移管し保有できる。自身で資金を引き出さなければ、運用益はさらに増えていく。

全額でなかったとしても、資産の引き出しは運用にマイナスになる。つみたてNISAを利用する目的、お金が必要な時期は人によって異なるが、つみたてNISAから資金を引き出すのは最後の手段だと考えておくのが賢明だ。預貯金やほかの金融資産を用意しておくことがおすすめだ。

注意点3……信託財産留保額が必要になる投資信託がある

前述の通り、資産を引き出すため投資信託を解約するとき、商品によっては信託財産留保額が必要になることがある。信託財産留保額の相場は基準価格の0.1~0.3%程度であり、通常はそれほど大きな負担にはならないケースが多い。しかし、保有する商品や今後購入する商品の信託財産留保額は、確認しておきたい項目だ。

注意点4……運用損失が出ても損益通算や繰越控除はできない

投資信託は元本保証ではなく、損失が出ることもある。つみたてNISAでは、損失が出てしまうと非課税メリットの恩恵を受けられなくなるだけでなく、「損益通算」や「繰越控除」もできない。

損益通算とは運用により損失が出た場合、他に保有している株式や投資信託で利益が出ていれば、その利益と損失を相殺できる仕組みのことだ。損益通算しきれない損失があれば、翌年以降に損失を繰り越し、翌年以降の利益と相殺することもできる(繰越控除)。

つみたてNISAでは運用による利益だけでなく「損失」もないものとされるため、これらの仕組みを利用できない。つみたてNISAで資金を引き出す際は、損失が出ているタイミングを極力避けたほうが良いだろう。

4.つみたてNISA(積立NISA)は資産に流動性を持たせたい人向け

つみたてNISAは、比較的簡単に資金を引き出すことができるため、資産に流動性を持たせたい人に向いている。逆に引き出しやすさがデメリットになる人は、iDeCoや貯蓄性のある生命保険、年金保険など、あえて資金を引き出しにくい方法を利用するのもひとつの策だ。

執筆・竹国弘城
証券会社、保険代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®︎

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