金への投資は、初心者でも十分に可能です。初心者向きに少額から積み立てられる純金積立は、特に人気があります。金に投資するメリットや他の資産運用方法と比較して金に投資する意味を理解すれば具体的な投資商品も選びやすくなるでしょう。今回は、初心者向きの金の投資方法や商品を紹介するとともに金へ投資するメリットや純金積立と他の資産運用方法のメリット・デメリットについて解説します。

初心者におすすめの金の3つの投資方法と投資商品

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(画像=PIXTA)

投資初心者が金に投資する場合は、少額から手軽に始められる以下の3つの投資方法がおすすめです。

・純金積立
・金投資信託
・金ETF

純金積立

純金積立は、毎月1,000円から金に投資ができる金への投資方法です。投資された金額分の金を貯めていき、金地金の現物を保管。一定量が貯まったら現物の金を受け取ったり売却したりします。初心者にとって分かりやすく少額から始められる点がおすすめの理由です。ネット証券会社の中で純金積立ができる会社は、SBI証券、マネックス証券、楽天証券の3社です。

金投資信託

金関連の投資信託も少額から投資できる投資方法です。また金関連の投資信託にはさまざまな種類があり、選択肢が豊富な点も魅力の一つ。投資信託は1口100円から始められる商品も多く、紹介する3つの投資方法の中でもさらに少ない金額からの投資が可能です。金関連の投資信託は、例えば以下のようなものがあります。

・三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)
・ピクテ・ゴールド、iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンドなど

購入手数料無料のノーロードの投資信託や投資信託を保有している間ずっと必要になる信託報酬が安いかどうか、為替ヘッジあるかどうかなどの判断基準で商品を選んで投資します。三菱UFJ 純金ファンドは、2020年11月12日時点で純資産総額443億7,700万円と順調に純資産を伸ばしている国内でも人気の金関連の投資信託です。

金ETF

金関連のETFは、金関連の投資信託に似ていますが証券取引所に上場しており株式と同じような感覚で取引できる金融商品です。例えば金ETFの中でも純金上場信託(愛称:金の果実)<1540>の場合、2020年11月12日時点で1株6,060円という少額から投資することができます。国内で販売されている金ETFの中で唯一金の現物転換ができるため人気です。

金ETFは上場しているため透明性が高く信託報酬も低めに設定されている点が魅力です。

金に投資するメリット・デメリット

そもそも金に投資するメリットとデメリットには何があるのでしょうか。整理して簡単に解説します。

金に投資するメリット

金に投資するメリットは、主に以下の4点です。

・換金性が高い
・インフレや政治経済の混乱に強い
・現物で保有できる
・価値がゼロになることがない

例えば不動産の場合、換金するために売却したいと思っても実際に売れるまでには時間や手間がかかります。しかし金の場合、貴金属店などに持ち込めばすぐに換金できる点が魅力です。また金そのものに価値があるため、価値がゼロになることはありません。そのためインフレや政治経済の混乱にも非常に強く「安全資産」「有事の金」と呼ばれることも多く「現物が所有できる」という満足感も金に投資するメリットです。

金に投資するデメリット

一見メリットばかりに見える金への投資ですが以下のような3つのデメリットもあります。

・利子や配当がない
・現物は紛失や盗難の危険がある
・保管コストがかかる

株式や投資信託、預金のように利子がつかず配当もない点は金へ投資するデメリットです。安全資産だからと全資産の多くを金に変えてしまうと資産運用面で厳しくなるため、金は自己資産の10~15%程度にしておくと良いとも言われています。また現物の金を手元で保管すると紛失や盗難リスクがある点、これらのリスクを避けるため別の場所で保管する場合は保管コストがかかる点もデメリットです。

純金積立と他の資産運用方法の特徴を比較 

初心者の場合、純金積立を選択する人も多い傾向です。しかし純金積立と他の資産運用方法は、それぞれどのような特徴がありどれを選べばいいでしょうか。以下に比較表として6つの資産運用方法をまとめました。

比較項目 投資信託 株式投資 不動産投資 債券投資 純金積立
運用の手軽さ
投資に必要な額
100円から

数万円から

不動産購入
費用が必要

10万円から

1,000円から
リスク分散
毎月積立可能
×
一括購入
×
一括購入
×
一括購入

毎日積立・
毎月積立
リスク ・価格変動
・為替変動
・価格変動
・倒産
・災害
・空室
・倒産
・発行元の信用 ・価格変動
・為替変動
元本保証 × × × × ×
※株式投資については単元株について記載しています

これらの資産運用方法について各特徴を順番に解説します。

投資信託の特徴

・メリット:プロに運用を任せられる、少額から投資可能、時間的なリスクの分散
・デメリット:手数料が高い、価格変動リスク、為替の影響を受ける場合も

投資信託は、プロの投資家であるファンドマネージャーが顧客から預かった資金を使って運用し、利益を上げることを目指す金融商品です。投資信託は100円からという少額からの投資が可能で毎月積立投資もできるため、初心者が投資を始めるのに適しています。毎月一定額を積み立てると基準価額が高いときは少量、安いときは多量の投資信託を購入することが可能です。

そのためトータルで見るとリスクが分散され購入タイミングを検討せずに投資を続けることができます。投資信託は、プロの投資家に運用を任せる分、直接自分で株式などに投資するよりも手数料がかかります。投資信託を購入する際の手数料は、主に購入手数料と投資信託を預けている間発生する信託報酬ななどです。ただし購入手数料が無料の商品もあります。

長期運用を考えている場合は、信託報酬が可能な限り低い商品を選ぶとよいでしょう。

株式投資の特徴

・メリット:ハイリターン、株主優待がある、配当がある
・デメリットハイリスク、投資した会社の倒産リスク

株式投資は企業の業績や経済状況などによって大きな値上がりが期待できたり株式優待や配当を受け取れたりする点が魅力の資産運用方法です。紹介している資産運用方法の中でもハイリスクハイリターンタイプに分類されます。投資を始めるための金額は数万円からで投資信託や純金積立よりは多く必要です。

また投資した会社が倒産するなど、場合によっては価値がなくなり紙切れとなってしまうリスクもあります。

不動産投資の特徴

・メリット:安定した家賃収入が期待できる、転売による売却益も
・デメリット:災害リスク、空室リスク、業者倒産リスク

不動産投資は、キャピタルゲインとインカムゲインという2種類の利益が狙える資産運用方法です。キャピタルゲインとは転売による売却差益、インカムゲインは購入した物件を賃貸に出すことによって継続的に受け取る賃料収入の利益のことです。安定した家賃収入が得られれば定期預金などよりも大きな利益が得られる場合もあります。

ただし不動産取得のために大きな初期コストが必要になることや災害に遭った場合のリスク、入居者が確保できない空室リスク、管理を任せている会社の倒産リスクはデメリットです。また家賃収入を得るつもりで購入した不動産でも不動産の価格が大きく崩れると売却したときに損失が出ます。そのため不動産の値動きについてはこまめに確認しなければなりません。

債券投資の特徴

・メリット:比較的安全
・デメリット:信用リスク

債券投資は比較的安全な金融商品です。国や会社が資金を集めるために発行する有価証券で、期日が来れば必ず額面の金額と利子をつけて変換されます。ローリスクローリターンですが、期日前に解約すると、元本割れのリスクも。債券は単純に購入するだけなので初心者でも簡単に投資できる方法です。

また発行元の国や会社が経済的に破たんして支払えなくなるという信用リスクがある点はデメリットです。デフォルトに陥る可能性はそう高くはありませんが、債券を購入する際は発行元の信用リスクを確認する必要があります。

純金積立の特徴

・メリット:安全資産の金に少額から投資可能、時間的なリスクの分散
・デメリット:株式や投信と損益通算できない、業者倒産で現物が確保できないリスク

純金積立の特徴は、安全資産の金に少額から投資できる点です。投資信託の積立投資と同じく時間的なリスクの分散が可能で、購入タイミングも一定なので初心者が始めやすい点も魅力と言えます。金は政治不安やインフレにも強く、大きく価値を損なう可能性が低いでしょう。ただし価格変動リスクがある点は抑えておきましょう

また純金積立の裏で確保されている現物の金は、基本的にドル建てで売買されます。そのため、日本円で純金積み立てをしていると、どうしても為替変動リスクがある点にも留意しましょう。ここまで見てきた他の資産運用方法に比べ純金積立は安全資産の金に少額から投資できることが最大の魅力です。

金への投資を始めるなら純金積立から開始してみよう

初心者が金に投資するなら少額から始められる投資方法がおすすめです。本記事で紹介した純金積立、金関連の投資信託、金ETFはいずれも少額から投資できるため投資初心者に向いています。金は、他の資産に比べて安定した価値があり、他の投資対象(株式、投資信託、他の商品など)とは値動きが違います。

そのため、安全資産として全資産の10~15%程度は金にしておくとリスク分散となるため、おすすめです。金への投資方法に迷う場合は、現物の金を一定額購入し続ける純金積立を検討しましょう。毎月1,000円ずつから積み立てることができるため、自分のペースで資産形成できます。

新型コロナウイルスの影響でいまだに世界の政治や経済は不安定な状況ですが、このようなときこそ少しずつ金への投資を始めてみてはいかがでしょうか。

※2020年11月13日現在の情報をもとに執筆しています

文・藤森みすず
大手Slerにてシステムエンジニアを経験後、フリーランスのライターに。FX・保険・不動産・フィンテックなど、金融に関する記事を多く手掛ける。

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