iDeCo(イデコ)は老後資金準備を行う人を対にした税制優遇制度で、積立投資と長期運用が基本であるため運用商品を頻繁に売買したり入れ替えたりする必要はない。しかし、運用状況の定期的な確認とメンテナンスは必要だ。運用状況の確認や管理には、気軽に利用できるスマホサイトやアプリの活用をおすすめしたい。
1.iDeCo(イデコ)の運用資産は定期的な確認とメンテナンスが必要
iDeCoを運用する場合、最初に毎月の「掛金額」と「どの商品にどのくらいの割合で投資するか」を決める。その後は毎月口座から掛金が引き落とされ、指定した商品に指定した割合で投資される仕組みだ。
iDeCo(イデコ)の運用状況は3~6ヵ月に1回の頻度で確認する
iDeCoで投資信託などの価格変動型商品を運用する場合、自身の運用状況を定期的に確認することが大切である。ただしiDeCoは長期投資が前提なので、毎日運用状況を確認してもあまり意味はない。確認する頻度としては3~6ヵ月に一度程度が目安だ。
iDeCoの運営管理機関からは年1回程度、iDeCoの運用状況の報告書が送られてくる。その時期を基準に3ヵ月、6ヵ月ごとなど、自身が確認する月を決めておくとよいだろう。
iDeCo(イデコ)の運用状況で確認する5つのポイント
iDeCoの運用状況はどう確認すればよいのだろうか。押さえておきたいポイントは次の通りである。
・資産残高
・拠出額累計額(これまでの掛金の合計額)
・損益
・保有している各資産の価格の推移(なるべく長期のチャートで、価格が上昇しているかを確認)
・資産配分(掛金の投資配分と保有する資産評価額に大きなずれがないかを確認)
iDeCoの各資産の価格の推移については、短期的に値下がりしていても問題はない。長期的に値上がりが見込める商品であれば、むしろ安く購入できるチャンスである。
一方、長期のチャートでも値下がりが続いている商品には注意が必要だ。運用商品を変更する「スイッチング」や投資配分を減らす「配分変更」も検討すべきだろう。
iDeCoは資産ごとに運用成績が違ってくるため、当初決めた掛金の投資配分と、保有する資産評価額にズレが生じることもある。
例えば国内株式は20%上がっているが、海外債券は20%下がっているという場合だ。iDeCoの保有する資産に占める各商品の割合が当初の投資配分とずれてしまうと、想定以上に値下がりすることもある。
影響が大きかったり、なかなか解消されなかったりするようであれば、「リバランス」を検討したい。リバランスは保有する商品の評価額が当初の投資配分になるよう、値上がりして割合の高くなった商品の一部を売却し、売却代金で相対的に割合の低くなった商品を購入する方法をいう。
家計の状況に応じてiDeCo(イデコ)の掛金額の変更も検討する
iDeCoの掛金額は年1回変更できる。長い運用期間中には家計のコンディションも変化する。iDeCoの掛金の負担が重くなったり、掛金を増やす余裕ができたりしたときは、状況に応じて掛金額の変更を検討しよう。
ただしiDeCoに拠出した資金は、原則60歳まで引き出せない。教育資金や住宅資金など、60歳までに必要な資金の準備に支障がないかも、定期的に確認しておこう。
2.iDeCo(イデコ)の資産や運用状況はスマホサイトやアプリを活用……SBI証券、楽天証券、auアセットマネジメント
iDeCo(イデコ)の資産状況や運用状況は、口座を開設した金融機関のサイトでいつでも確認できる。中にはスマホで簡単に運用状況の確認や手続きができる専用サイトやアプリを提供している金融機関もあるので、ぜひ活用したい。ここでは一例を紹介しよう。
SBI証券……スマホサイトでiDeCo(イデコ)の資産状況や運用指図も可能
SBI証券はiDeCo取扱金融機関の中でiDeCoの加入者数がN0.1だ(2019年9月時点)。SBI証券のiDeCoにはiDeCoのサービス提供開始時からあるオリジナルプランと、低コストにこだわったセレクトプランの2つがあり、利用者はどちらかを選択し運用することになる。
SBI証券が提供しているiDeCo専用スマホサイトでは、移動中や外出中など、スマホからいつでもどこでもiDeCoの資産残高や損益状況を確認できる。スマホ専用の見やすい画面で掛金の配分変更やスイッチングもできるため便利だ。
楽天証券……iDeCo(イデコ)の運用状況を確認できるスマホサイトを提供
楽天証券が提供しているiDeCo(イデコ)専用スマホサイトも、アプリのような感覚で利用できるデザインが魅力だ。投資対象であるファンドの詳細な情報や、これまでの運用資産の推移をグラフやリストですぐに確認できるので、隙間時間にも使いやすい。
サイトの運営管理機関である「日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社(JIS&T社)」とのデータ連携を行うために、利用開始時には初期設定が必要である。その後は面倒な入力なしで情報の確認や掛金の配分設定・変更、スイッチングなどの手続きがスムーズに行える。
auアセットマネジメント……iDeCo(イデコ)の運用状況を確認できるアプリを展開
auグループの資産運用会社であるauアセットマネジメントは、iDeCo専用アプリ「auのiDeCo」「カブコムのiDeCo」を提供している。シンプルでわかりやすい表示と操作性は専用アプリならではだ。すぐに運用状況を確認できるほか、資産配分の調整も簡単に行える。
3.iDeCo(イデコ)専用アプリを利用すれば運用シミュレーションも楽
前述のiDeCo専用アプリ「auのiDeCo」や「カブコムのiDeCo」では、職業、年収、年齢、掛金額を入力すれば、運用成果や節税額のシミュレーションが可能だ。iDeCoの掛金額を変えると運用成果がどう変化するかを視覚的に確認できるため、掛金額を決める際の参考になる。
またiDeCoの運用開始後には、投資商品を変更した場合のシミュレーションもできる。資産配分の調整を考えたときにも活用しておきたい。
上の画像は40歳(年収700万円)の会社員がiDeCoの拠出金額を毎月2万円、1万5,000円とした場合の積立金額や節税額をシミュレーションした結果だ。auのiDeCoではau IDを登録すれば運用残高に応じて毎月Pontaポイントをもらえるのだが、このアプリではPontaポイント数までわかりやすく表示してくれる。
4.iDeCo専用のスマホサイトやアプリをかしこく利用しよう
iDeCo専用のスマホサイトやアプリは便利でわかりやすい。これから投資を始めようという人にはおすすめだ。ただし利用できる金融機関は限られている。
iDeCoの金融機関を選ぶときに重視すべきポイントは、取り扱う商品や利便性、口座管理手数料などだ。iDeCoのアプリは便利なサービスだが、アプリがないという理由で、その金融機関を検討から外す必要はない。iDeCo専用アプリの有無はiDeCo口座を開設する金融機関を選ぶ要素のひとつとして、検討してみるとよいだろう。
執筆・竹国弘城(ファイナンシャルプランナー)
証券会社、保険代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®︎
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