不動産投資の情報収集をしていると「宅建士資格を取得した方がいいのか」について、悩まれる方もいると思います。
本稿では、宅建士資格の概要と得られるメリットについてご説明します。宅建士以外にも、不動産投資で活用可能な資格を紹介しますので、是非お役立てください。
宅建士の資格の概要
宅建士とは正式には「宅地建物取引士」で、不動産の売買や賃貸物件の斡旋などを行える資格です。不動産の取引は動くお金も大きいため、専門知識のない顧客が理不尽な契約を結んでしまわないよう、顧客に対し重要事項の説明などのサポートをする必要があります。
資格を取得しただけでは宅建士と認められず、宅建士資格に合格し、各都道府県で登記手続きをすれば、取引士証の交付が可能です。
なお、宅建士として登録するためには不動産取引に関する実務が2年以上必要で、実務経験がない場合は登録実務講習を受講する必要があります。
宅建士資格は例年の合格率が15%前後と、難易度が高いのも特徴です。合格には専門的な知識を学ぶ必要があるため、場合によっては専門学校や通信講座の受講するケースもあります。
宅建士資格を取得するメリット
不動産投資を行うにあたり、宅建士資格を取得するメリットは以下のようなものがあります。
- 交渉力が増す
- 法律や税に関する知識を得られる
- 仲介なしで物件の売却が行えるようになる
交渉力が増す
不動産投資では、売り手・買い手・金融機関など様々な相手との交渉が必要です。宅建に関する知識を有しておけば、購入を検討している物件の問題点や正確な値段などを自分で見抜けるようになりますので、交渉を有利に進められます。
また、不動産投資で金融機関に対し融資を申し出る際、宅建士の資格を所持していれば審査にも通りやすくなる可能性があります。
法律や税に関する知識を得られる
宅建士の資格取得には、不動産だけでなく「権利関係」「法律関係」「税金関係」の幅広い知識を勉強します。そのため、宅建士資格を取得すれば、不動産投資において専門的な領域の業務を専門家に依頼するケースも少なくなるでしょう。
仲介なしで物件の売却が行えるようになる
不動産投資で物件の売却を行おうと考えた際、宅建士が所属している仲介会社に依頼するケースが多くあります。2,000万円の物件の売却を仲介してもらった場合、仲介手数料が約66万円前後と高額です。
しかし、仲介会社に依頼する理由は法的なものではなく、不動産売却が専門知識を必要とする取引だからです。そのため宅建士の資格を有していれば、自分で物件の買い手探しと交渉を行えますので、仲介手数料を節約可能となります。
宅建士の資格取得で出来る仕事
宅建士の資格を取得し、以下のような実務を行えるようになります。
- 不動産に関係する重要事項の説明
- 重要事項説明書の作成
- 不動産売買などに関する契約書の作成
不動産に関係する重要事項の説明
前述のように不動産投資では、一度に動かす金額が大きくなるケースがあります。そのため、損害が発生した場合の負債額も大きくなります。
それを防ぐため、物件などの損害状況や権利関係に関する説明を顧客に対して事前に行う必要があります。宅建士資格を取得しておけば不動産投資家本人がこの業務を行えるようになるのです。
重要事項説明書の作成
宅建士が説明しなければならない重要事項の数は多いため、口頭ではなく「重要事項説明書」を作成します。宅建士資格を取得しておけば、この重要事項説明書を自分の記名と押印で作成し交付できます。
不動産売買などに関する契約書の作成
不動産売買では、取引の内容を書面化した契約書も必要です。重要事項説明書と同様に、宅建士の資格を保有しておけば、不動産取引に必要な契約書を自分の記名と押印で交付可能になります。
その他の不動産投資で役立つ資格一覧
以下の項目からは、宅建士以外にも不動産投資で役に立つ資格についてご紹介します。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー(以下FP)は、お金に関する問題を取り扱える資格で、国家資格と民間資格の両方があります。
国家資格はFP技能士と呼ばれ、3級から1級まで存在する資格です。FP技能士を取得することで、不動産だけでなく「貯蓄」「保険」「投資」などのお金に関する分野の相談を受けられます。
民間資格は「AFP(アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー)」「CFP(サーティファイドファイナンシャルプランナー)」の2種類が存在し、どちらも2年ごとの資格更新の義務がある点でFP技能士と異なります。
どちらかと言えば、FPに関する資格は民間資格の方が専門的です。
不動産投資においては、不動産に関する知識以外にも相続や保険といった、お金に関するノウハウも求められますので、FPは不動産投資とマッチ度の高い資格と言えます。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、土地や物件の価格を評価するための資格です。難易度は弁護士・税理士と並んで文系資格の最難関であるものの、取得すれば「土地利用」「不動産を担保に入れた融資」「遺産相続」などの場面で業務を行えるようになります。
しかしながら、資格取得にかかる勉強時間は2,000時間とも言われていますので、不動産鑑定を専門にと考えている場合を除き、資格取得を目指すメリットは薄いと言えます。
土地家屋調査士
土地家屋調査士は、土地の測量などを行い、法務局に不動産情報の表題登記を行うための資格です。表題登記を行えるのは土地家屋調査士のみですので、不動産業界においては重宝される存在と言えます。
不動産投資では、新築物件を建てる際に「不適合接道・再建築不可物件」を再建築可能な物件にするための合筆で、同期を行うことになります。合筆自体は資格がなくても行えるので、勉強だけでもする価値があります。
公認ホームインスペクター
公認ホームインスペクターとは、住宅診断に関する知識を証明する資格です。取得すれば、物件の「屋根」「外壁」「室内」「床下」などの劣化具合を確認できます。
自分でインスペクションを実施できると不動産の正確な値付けが可能です。また、不動産の売却を行う際の査定のため、依頼を受けることも出来るようになります。
建築士
建築士は、建造物の設計や管理を行える国家資格です。不動産投資においては、建築士資格を取得すると、購入した物件の大規模なリフォームなどを自分で行えます。
しかしながら、取得には教育機関で指定科目の修了認定を受けることが条件となりますので、取得までの時間は大幅にかかります。
司法書士
司法書士は、法律に関する書類の作成や手続きを行うための国家資格です。不動産投資においては、不動産の登記を行う際に司法書士の資格が必要になります。
しかし、合格率は3%と、登記を行うために取得するには非効率な合格難易度です。
税理士
税理士資格を取得すると、申請・申告などの税金に関する業務を行えるようになります。税理士資格の勉強をすると、所得税や相続税などの分野にも強くなります。
資格取得までの難易度が高いため、不動産投資をメインで行う場合はあまりお勧めではありません。(提供:YANUSY)
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