2020年12月8日11時すぎに小林芳彦さんに直接聞いた最新の相場観と戦略をご覧下さい。(提供:羊飼いのFXブログ※チャート付き)

現在の為替相場の傾向や相場観

羊飼いのFX突撃取材
(画像=PIXTA)

現在の米ドル/円は、レンジながら、イメージ的には落ちそうで落ちないといった状況だ。先週も述べたが、本邦輸出企業のドル売りが下がってきている状態がまだ継続しているように思える。現状、104円台後半付近まで下りてきている感じだ。目下最大の問題は、今日明日で本当の山場を迎えているポンド。10日(木)から始まるEUの首脳会談前に通商交渉の決着をつけなければならないわけで、そこで各国の首脳に対して、英国との交渉は失敗し、12月末に合意なき離脱になるという話をしなければならなくなるだろう。よってバルニエEU首席交渉官は、「9日(水)が期限」という言い方をしているのだと思う。つまりボールは英国が持っており、合意に関して楽観視は全くしていないという見解だと見ている。英国も合意なき離脱に向けて準備しているという言い方をしているので、結局ここまでお互いに交渉を重ねてきて、それぞれに妥協できない状況の中で合意は無理だと思っている。よって形式上頑張ってやったけれども結局ダメで、最後は時間切れで合意なき離脱に突入という流れになると思っている。欧州も英国も文化的にクリスマスを返上で交渉をすることは考えづらい。日程で言えば来週18日(金)が海外勢にとっての、実質年内最終日で、さらに言えば本格的にマーケットに流動性があるのは今週末11日(金)までだろう。ポンドは対円でも対ドルでも下落の可能性があると思っている。

現在の為替相場の戦略やスタンス

今週の米ドル/円予想レンジは103.00~104.75円。戦略的には、買いより売りから入りたい。日足のチャートを見ると、90日移動平均線、200日移動平均線、一目均衡表の雲が全てローソク足の上にあり、全てが下落方向なので、トレンド的にはまだ売りだと思っている。ただ、クリスマスが近いので、どこまで下攻め出来るかという気もしなくもないが、買い上げていって105円台をどんどん上に上がるだけの材料はないだろう。具体的には売ってつぶれたところを103円ミドル手前で半分、ミドル割れて突っ込んだところ、103.20円付近で残りを利食うようなイメージを持ちつつ、そこまで行かなさそうなら手前で買い戻しても良さそうだ。

小林芳彦
1979年3月慶応義塾大学商学部卒、同4月株式会社協和銀行入行。 外国為替研修生・営業店外国為替業務経験後、1987年から本店資金為替部調査役。 インターバンク(フォワード)ディーラー・カスタマーデスクヘッドなどを歴任後、1989年10月よりクレディスイス銀行(資金為替部長)、1997年クレディスイス・ファーストボストン銀行(シニアセールス)、1998年バイエリッシェ・ヒポ・フェラインス銀行(為替資金部長)、2001年バンク・オブ・アメリカ(為替資金部営業部長)で当局を含め、数十社の法人顧客を担当。「ユーロマネー誌(日本語版)」顧客投票「日本のディーラー・ベストセールス部門」を6年連続第1位、過去7回受賞。「短期為替予測部門」を5年連続第1位受賞。

羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
羊飼いのFXブログ」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。