蘇州市と中国人民銀行は、予約抽選を経て蘇州市民に合計2,000万元(200元×10万)のデジタル人民元(DC/EP)を12月11日の20:00に発行するデジタル人民元パイロットテストを予定。

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深センの羅湖地区でのデジタル人民元(DC/EP)のパイロットテストと比較すると蘇州市は4つの特徴があります。

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本稿では蘇州市で行われるデジタル人民元(DC/EP)パイロットテストについて解説し、その現状と課題について考察していきます。

※各省で行われるパイロットテストはデジタル人民元(DC/EP)に関する研究開発プロセスの一環であり、正式にデジタル人民元が開始されることを意味するものではありません。

目次

  1. デジタル人民元 京东商城(JD.com)でのオンライン決済が可能に
  2. デジタル人民元 M0通貨管理に向けて
  3. まとめ

デジタル人民元 京东商城(JD.com)でのオンライン決済が可能に

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蘇州のパイロットテストではオンライン支払いが追加されることから販売者(B)/消費者(C)向けのデジタルウォレットの提供が行われます。

当選した場合には「デジタルRMBアプリ」を使用して12月11日の20:00から12月27日の24:00まで蘇州の指定された商業施設(約10,000店舗)で使用することが可能です。

また、京东商城(JD.com)を通じてオンラインでの購入にも使用可能であり、今年9月には中国人民銀行デジタル通貨研究所とJD Digital Technologyが協業を発表したように京东商城(JD.com)によるデジタル人民元エコシステムの拡大に今後は大きな期待が集まることでしょう。

現在、デジタル人民元のビジネスモデルは未成熟な点が多く、プロジェクトの実施には多くの人的資源、資金が必要となるなど参加企業の利益は明確ではありません。

新たなエコシステムの形成には銀行やサービスプロバイダー、各業界の企業などの参画が必要不可欠と言えますが、最近ではState Grid Xiong’an Financial Technology Group、Lakala Paymentが中国人民銀行のデジタル通貨研究所との戦略的協力協定を締結。

中国人民銀行のデジタル通貨研究所は、Didi Chuxing、Meituan、B Station、ByteDanceなどの多くのインターネット企業とさまざまなアプリケーションシナリオでデジタル人民元のエコシステム構築を促進するために協力していると報告され、中国国内では合法的なCBDCの利活用に向けて法的枠組みを改善することが議論されています。

デジタル人民元 M0通貨管理に向けて

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M0(硬貨・紙幣)の代替としてデジタル人民元は定義されているため中国人民銀行の通貨送金に関するポリシーに影響を与える可能性があり、中国におけるM0通貨管理のグレーゾーンの改善に向けて有用性が高く、その機能を大幅に強化することが期待されます。

デジタル人民元は、オンライン支払いと決済コストの削減や小規模経営の商業施設の負担を軽減し、中国の金融包摂の促進における重要な役割を担うともされています。

M1/M2通貨として機能することで金融市場により大きな影響と変化をもたらすとされ、通貨の供給過剰やインフレなどの問題を解決するためのより多くのアイデアを提供する可能性があります。

中国人民銀行は、新技術を適用した場合の抜け穴やセキュリティリスクを慎重に調査しており、ハッカー攻撃などのインターネットやデータベースに関連するリスク/詐欺防止に向けて技術的改善を図っています。

また、最近では中国通貨局と中国人民銀行デジタル通貨研究所は、国境を越えた支払いにデジタル人民元を使用することを検討していることが発表され、中国移動通信連盟のブロックチェーン専門委員会の議長であるChenXiaohua氏は下記のように述べています。

「通貨の国際化は、国の特定の段階への包括的な力の発達の産物であり、中国の金融および金融戦略の重要な部分でもあります。国際化を積極的に推進するという文脈において、デジタル人民元は人民元の国際化を支援することができます。中国は徐々に国際経済活動への参加を増やし、他国との協力や交流を深め、細分化された産業や分野での中国の声を高め、人民元の国際化を推進していきます。」

まとめ

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量的緩和による法定通貨の価値下落はデジタル資産市場の成長を支える1つの要因となっています。

CBDCが発行されることで、人々は紙幣を用いた決済から解放され、それに伴いエコスシステム内のあらゆる構成要素が大きく変化していくことでしょう。

中国はその真っ只中におり、時代に先駆けた蘇州市での取り組みは今後の資本市場を形作る中でも大きな影響力の獲得につながると考えられます。(提供:STOnline