2020年12月18日9時過ぎに西原宏一さんに直接聞いた最新の相場観と戦略をご覧下さい。(提供:羊飼いのFXブログ※チャート付き)

現在の為替相場の傾向や相場観

羊飼いのFX突撃取材
(画像=PIXTA)

ブレグジット関連は英・EU間で漁業権を巡って対立が続いている。欧州委員会のライエン委員長は、ジョンソン英首相との電話会談後にツイッターに投稿した声明では、多くの問題で「相当な進展」があったとしながらも、漁業権等で相違点を解消するのは非常に困難だろうとコメント。個人的には、「合意なき離脱」を避けるため、「何らかの合意」をするのだろうという見方はずっと変わらないが、漁業権で合意に到達するのは難しいというステージから明確な進展はなし。マーケット参加者の多くも「何らかの合意」期待で、英ポンド/米ドルのロングが増加中。ただ「合意なき離脱」のリスクも残っているのでの週末のリスク管理には注意したいところ。

現在の為替相場の戦略やスタンス

豪ドルが続伸している。今週も鉄鉱石が底堅いことから、豪ドルと相関性の高い豪ドル/米ドルは0.76ドル台まで上昇。豪ドル/円は再び79円に向け反発中。今週の、西原氏と豪州のアセットマネージメントに勤める友人とのトピックは、水素を介しての、日本と豪州の関係について。

------------オーストラリア/日本:水素燃料の未来に向けた連携------------
2050年までに水素を主要の動力とすることを国家として目指している日本は、その協力を豪州に求めている。Forbes誌によると、豪州自身も石炭の輸出に依存している状況から抜け出すことを望んでおり、同国の鉱山で取れる低品位炭を水素に変換し、液化させて日本に輸出する形で両国が協力し合うクリーンエネルギー政策は、彼らにとっても恩恵となる。オンライン雑誌、The Diplomatによると、日本は2025年までに20万台、2030年までに80万台の水素自動車を走行させる目標を掲げている。日経アジアンレビューのウェブサイトによると、2019年12月、日本は、液体水素を輸送するために設計された最初の運搬船を発表した。ビクトリア政府のウェブサイトによると、その船は2021年に豪州のビクトリアのヘイスティング港へ向 けて最初の商業航行を行う。ビクトリアは、日本企業のコンソーシアムが豪州初の水素液体化工場を建設している場所である。2019年11月に公表された豪州の国家水素エネルギー戦略によると、水素の輸出は、2040年までに約27億米ドルの経済的な利益をもたらし得る。さらに、他の水素製造プロジェクトも、世界中で進行中である。豪州の報告によると、韓国も同様に、水素資源の活用を推し進めることに関心を持っているという(出所:Indo-Pacific Defense Forum)。
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先日来日したモリソン豪首相の来日の目的は、菅総理と「中国に対し、日本と連携する」というトピックが主眼なのだろうが、この「水素燃料に関しての連携」を確認するという目的もあった模様。ここまでの水素の話題は、かなり長期に渡るプロジェクトについてであり、直近のマーケットに大きな影響があるわけではない。ただ為替への影響を考えれば、豪州は「水素の生産者」、日本は「消費者」という立場になるため、豪ドル/円の買いということになる。鉄鉱石の高騰、日豪の水素事業の報道も加わり、豪ドル/米ドル、豪ドル/円の押し目買い継続。

西原 宏一(にしはら こういち) 株式会社ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行に為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任した後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。ザイFX!にて「西原宏一のヘッジファンドの思惑」を連載中。

羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
羊飼いのFXブログ」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。