テーマの潜在的な「奥行」を掘り下げる

「すり合わせ9ボックス」は、1on1の前の準備やあとの振り返りに使ってもいいですし、部下と一緒に見ながら1on1を進めるのもいいでしょう。いずれにせよ、上司がやるべきことは、各ボックスを深くすり合わせることと、各ボックス間をつなげることです。

「ボックス」と呼んでいる通り、それぞれのテーマには奥行があります。奥のほうには、部下自身が言語化できていない、潜在的な思いがあるはずです。

ですから、「どうしてそう感じたの?」「なるほど、ではこういう視点では?」などと質問を投げかけて、各ボックスを深くすり合わせることが必要です。

すると、部下が話すことに納得できないことも出てくるでしょうが、それはむしろ歓迎すべきこと。「すり合っていない」ことが認識できたというのは、大きな進歩だからです。

それを踏まえて、上司から見えているものを押しつけるのではなく、伝える、あるいは合意点を探るなど、対応ができます。そして、例えば「過去」の「業務」を振り返って、この1週間の成功経験や失敗経験を洗い出したら、「未来」の「業務」の改善につなげる。

また、その経験が部下の能力をどう伸ばすかという「パーソナリティ」のボックスに話をつなげ、さらに「将来キャリア」のボックスにつなげる、ということもできるでしょう。こうして、ボックスのテーマを活用しながら対話を行ない、部下を支援しましょう。

世古詞一(サーバントコーチ代表取締役)
(『THE21オンライン』2020年11月11日 公開)

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