部下の感情を汲み取れない「機械型」

人とのコミュニケーションが苦手で、積極的に人と交わろうとしない傾向があります。融通が利かないため、周囲との軋轢も起こしがちです。また、興味関心の幅が極端に狭く、自分の興味のある仕事しか担当したがりません。

そのため、部下の担当業務に興味がなければ、相談にも応じず、放置します。反対に、部下の仕事に興味があれば、事細かに口を出して介入しようとするなど、両極端になりやすい。

自分がこのタイプかどうかチェックするには、部下への接し方を振り返ってみましょう。放任主義か、あるいは過干渉か。両極端に振れている場合は注意が必要です。

【チェックリスト】
□靴の汚れが目立つ
□興味の幅が狭く、他人に無関心
□普段は物静かなのに、突然キレることがある>
□机が異様に汚い、あるいはクリップ1つもない整頓ぶり
□融通が利かない、冗談が通用しない

相手を「敵」と認識すると感情的に攻撃する「激情型」

感情の起伏が激しく、自分でコントロールすることができません。自分の期待通りに動かない部下や、ミスをした部下に対して、怒りを爆発させます。典型的な「パワハラ上司」です。

ただし、このタイプは部下にだけ高圧的な態度を取るわけではありません。人の好き嫌いが激しく、相手を「敵か、味方か」で判断し、「敵」と見なせば誰に対しても攻撃します。

その意味で、打算的ではないのです。もし自分は怒りの感情が態度や表情に出やすいと気づいたら、アンガーマネジメントやアサーティブなコミュニケーションを学んで、相手に配慮した接し方を身につけましょう。

【チェックリスト】
□お気に入りの部下を、突然目の敵にするようになった
□ロジックよりも、好き嫌いで判断する
□数年前の出来事で抱いた怒りや恨みを忘れない
□職場や会社の人の悪口を話し出したら止まらない
□些細なことで必要以上に怒る

「自分の優秀さ」をアピールし続ける「自己愛型」

他人から注目を集めたい、「あの人は有能だ」と称賛されたい、という意識が強いのが特徴です。自分の存在をアピールするために、電話の声が必要以上に大きかったり、自慢話を延々としたりするので、周りは辟易しています。

できる人間だと思われたいので、仕事の手柄は独り占めし、自分のミスは平気で部下に押しつけます。また、他人を見下す発言をすることで、「できる自分」を演出し、正当化しています。

このタイプは、周りの人には一目瞭然ですが、本人がそうだと気づくのは難しいかもしれません。ただ、4つのタイプの中では、部下のメンタルヘルスへの悪影響が少ないのが救いです。

【チェックリスト】
□電話の声が大きく、周囲が仕事に集中できない
□「仕事の安請け合い&丸投げ」を得意としている
□風邪を引いているときもマスクをしない
□いつも「忙しい」をアピールしたがる
□部下の成果も「自分のおかげ」と認識する

部下を自分の出世の道具としか見ていない「謀略型」

自分の目的を達成するためなら、部下の気持ちなどお構いなしに、部下を自分の道具のように使います。「それで組織の業績が上がるなら何が悪い」と考え、良心の呵責がない確信犯です。

4つのタイプの中で最もタチが悪いと言えます。さらに厄介なことに、部下を踏み台にしているにもかかわらず、本人の成果は上がるので、上層部から評価されやすい。スピード出世を果たした人や、組織での評価が高い人には、このタイプが潜んでいるケースがあります。

このタイプは、自分で気づいていても、確信犯ですから、そう簡単には変わらないでしょう。

【チェックリスト】
□ノルマの達成を何よりも大切にしている
□邪魔だと感じた部下を躊躇なく切り捨てられる
□仕事で追い込まれた部下を助けることはない
□表面上は温和だが、何を考えているかわからない
□部下には嫌われているが、上役には気に入られている

見波利幸(日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事)
(『THE21オンライン』2020年11月12日 公開)

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