米半導体大手のNVIDIAは18日、イーサリアム専用のマイニングプロセッサをリリースすると発表した。
同社が提供する「NVIDIA GPU」は柔軟にプログラムを書き込むことが可能で、ユーザーは気象シミュレーションや遺伝子の配列決定から、ディープラーニングやロボット工学に至るまで、様々なものに対応できるという。その中には、暗号資産マイニングも含まれる。
同社は今回、イーサリアムマイニングのニーズが増加していることを踏まえ、「Cryptocurrency Mining Processor(CMP)」と名付けられたプロセッサを発表した。
GPUは本来、画像処理などで用いられるものだが、CPUと比べた際に並列的な計算処理を行うことができるため、暗号資産マイニングでも使用されている。
NVIDIAによると、CMPとは別に今月25日に発売されるGPU「GeForce RTX 3060」用のソフトウェアドライバーには、イーサリアムマイニングにおける特定のアルゴリズムを検知してハッシュレートおよびマイニング効率を50%低減させるように設計が加えられているという。
このように最新GPUにマイニング制限を課したのには、本来の利用用途であるゲームでの供給不足により、ゲーマーからの不満が生まれていることが背景として挙げられる。
現在のイーサリアム価格高騰に伴い、マイナーが得る実質的な報酬額も非常に高くなり、利益を得やすい状況となっている。そのため、同社のGPUをマイニング用に入手するケースが多発し、ゲーマーに行き届かないという事態が生まれている。
そういった状況を解消する意味でも、今回イーサリアム専用GPU・CMPが発売されることになったようだ。
既存GPUはゲーマーに、専用GPUはマイナーに供給することで、それぞれのニーズにあった製品を提供できるようになることから、同社の事業拡大にもつながるとの見解を示した。
一方、イーサリアムはコンセンサスアルゴリズムをプルーフオブワーク(PoW)からプルーフオブステーク(PoS)へ移行することなどを盛り込んだ大型アップデート「イーサリアム2.0」を計画している。
アップデートを完了すると現行のマイニング方式で報酬を得ることができなくなるため、今回の専用GPUはイーサリアム2.0がローンチされるまでの駆け込み需要を狙ったものとも考えられるだろう。(提供:月刊暗号資産)